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読書記録『とるにたらないものもの』

江國香織

何気なくポッドキャストを聴いていたら、江國香織さんの『とるにたらないものもの』というエッセイが素晴らしいと流れてきた。私はそういうものに影響を受けやすいタイプである。今回も導かれるまま大人しく図書館に行って借りてきた。
パーソナリティの紹介していた『食前酒と食後酒』『フレンチトースト』も良かったが、それ以外でふたつメモしておく。


カクテルの名前 

 つくづく思うのだけれど、私は名前にまどわされるたちだ。本でもCDでも、タイトルだけでどうしても欲しくなることがしばしばあるし、たまに買う馬券も半分は馬の名前で買う。
 最たるものがカクテルだ。私はカクテルが好きでよくのみにいくのだけれど、カクテルの何が好きかというと、名前が好きなの。味はあんまり好きじゃない。

p33

とても共感できる。本をタイトル買いすることも多いし、競馬に行くなら気に入った名前の馬を応援するだろうと思う(まだ行ったことはないが)。
私はアルコールに弱い。でもお酒を飲めたらきっとカクテルを名前で選ぶだろう。そしてあんまり好みの味じゃなかったなと思いながら頑張って消費する。それを飽きもせず繰り返すのだと思う。大して旅行に行くわけでもないが、地名のついたものに惹かれるのも、行ったことのない土地により興味をもつのもすごくわかる。旅行に行かないからこその憧れかもしれない。
私にとってのカクテルの名前は色の名前かなと思う。色というと広すぎてぼんやりするなとは思うが、文具、コスメ他あらゆるものをその色が好きかどうかより色の名前の印象で選んできた。きっと今後もそうだろう。最近のマイブームはマニキュア。OSAJIの呼び声とrihkaのchatonがお気に入りだ。声が、子猫ちゃんが爪に乗るなんてなんと楽しい事か。


黄色

 黄色は大人の色だと思う。
 ぱきっとしたあかるさがいいのだ。にごりのない黄色。
 五十歳になったとき、にごりのない黄色のブラウスを着こなせることが、ちょっとした目標になっている。

p57

ぱきっとしたあかるい黄色。とても素敵だと思う。黄色が似合う人に憧れる。それも大人の人だといっそう素敵に見える。
3月に勇気を出してパーソナルカラー診断に行った。そのとき、明るくシアーな黄色のカーディガンを購入した。プロに似合うと言われて買ったし春らしく可愛いと思っているのだが、なんだか明るすぎて落ち着かず、まだ着ることができていない。せっかく良い服を買ったのだから、さらっと着られたら格好いいのに。
そういえば黄色の良さを意識し始めたのは『太陽のパスタ、豆のスープ』で黄色のル・クルーゼが登場したときだったと記憶している(やっぱり影響されやすい)。私の身の回りのものは目が落ち着く青ばかりである。でも、10年ほど前から黄色のル・クルーゼへの憧れは未だ色褪せない。とはいえ買ったとしても今の私に使いこなせる気はしない。料理の腕はおいておくにしても、黄色のパワーに負けてしまいそうだ。もう10年、20年経てば変わるのだろうか。私の五十歳までの目標にしておこうかしら。

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