Vol.66 ”あい”で溢れるまちの眼鏡屋「メガネの三愛」
メガネの三愛 代表 倉知忠良さん
美唄の商店街を通ると、ふとお洒落なお店に目が留まる。看板には「メガネの三愛」と書かれている。今回はその眼鏡屋を営む、倉知忠良さんにお話を伺った。
屋号「三愛」の由来
店名である三愛には、3つの”あい”が込められている。
1つ目が、目の“eye”。
2つ目が、人との出会いの“逢い”。
そして、仕事に対する愛情の“愛”。
”あい”というのは、先代であり創業者であるおじがずっと口にしていた言葉である。創業以来これらの想いを大切に、挑戦を重ねてきた。
航空自衛官から眼鏡屋へと大転身
一度は出身である美唄を離れ、航空自衛隊に所属をしていた倉知さん。
あるとき将来的な仕事に悩んでいて、商売やお客さんと日常的に関わる仕事を挑戦してみたかったと話す。それを美唄で眼鏡屋を経営していたおじに相談したところ、背中を押されてて、お店を継いだ。
それから美唄に戻ってきて25年ほどになる。
人口2万人のまちで眼鏡屋が成り立つわけ
人口が減っていくまちに戻って商売をするということに対して、当時は不安でいっぱいだった。「そもそもお客さまの数が都会と比べると少ない。さらに高単価の眼鏡を選んでくれるだろうか。」
というのも美唄と同等の規模のまちで、メガネの三愛と同じようなブランドを扱っているお店は全国を見てもほとんどなかった。少なくとも5万人くらいのまちじゃないと、眼鏡屋として成り立たないと思われていたのだ。
それでも目の前のお客さんに真摯に向き合い続けていると、徐々に美唄の可能性が見えてきたという。今ではお客さまの約75%が市内の方。さらには3歳から100歳を超える方が利用している。ときには、フランスやドイツの眼鏡も取り寄せることも。そういったブランドを揃えられるということが、どれだけ地域の方に愛されていて、購入する人がいるという証拠だ。
お客様と接するときに意識にしているのは、満足のいく体験をしていただくために、常に一歩先の提案をすること。今悩んでいることや言葉に表出している不安だけでなくて、お客様のことをしっかり観察して理解し、何もおっしゃらなくても最適な提案ができるよう向き合い続けている。
地域とのつながりがあってこそ、仕事も生活も支えられてきた。だからこそ地域を支えられる存在でありたい。地域に恩返しがしたい。
眼鏡屋の2階でさらなる”あい”をつくる挑戦
そんな思いで倉知さんは、今回新たな挑戦を始めた。
眼鏡屋が入っている建物2階の元喫茶店のスペースを改装して、雑貨など置くセレクトショップを2023年の12月にオープンさせたのだ。
これまで眼鏡屋としてでは関われなかった方にも使っていただけるような空間を作った。コンセプトを考える上で参考にしたのは、美唄にある大好きでよく通う美術館「アルテピアッツァ美唄」。
このスペースで個展を開くというのも良し、気軽に遊びに行くのも良し。この新しい空間がどう使われていくのか、どんな色に染まっていくのか、想像ができない。それでもまちの人と一緒につくっていくことに、本人が一番ワクワクしている。
店舗情報
社会が1ミリメートルでも良くなると信じることに使わせていただきます。一緒に今と未来を創っていけたら最高に嬉しいです!