見出し画像

異世界転生が、なぜご都合主義と呼ばれるのか考えてみる

ここ10年くらいで一気に作品数が増えたジャンル。

それが異世界転生ものです。

テンプレートとしては以下の通り。

●日本では冴えない主人公が、異世界ではチート級の能力を身につけている
●大抵事故死
●美男美女の異性に思いっきり好かれる
●周りの人がみんな優しい
●敵も結局仲間になる
●飛ばされた異世界では最強と呼ばれる敵を、一瞬で倒してしまう
●主人公は「僕、何かしちゃいました?」なスタイルを貫き通す
●日本で生きてきた知識をここぞとばかりに使う
●異世界に生きる人々は、なぜか食事に気を使っていない(調味料が塩だけ、など)
●大抵ヨーロッパな雰囲気
●主人公には出世欲がほぼ無し⇒農家になったり薬剤師になったり、貴族だけど辺境に引きこもったり。。

ざっとあげただけでこんなにある。

でも、アニメというか創作物というのは多かれ少なかれ、ご都合主義で描かれています


例えば『ドラゴンボール』。
主人公の孫悟空は地球人ですらありません。
当たり前に、他のキャラより強いです。

例えば『ONE PIECE』。
父親は革命家、おじいさんは海軍中将。
そして、ルフィが食べたゴムゴムの実は、結果特別な実でした。

例えば『NARUTO』。九尾を宿してて、親は火影。

要するに、圧倒的に皆さん、血筋が良いのでございます。


恋愛漫画では、むかーーしから地味な主人公と人気者の異性はセットになってます。

なぜだかクラス1のイケメンが「おもしれー女」となり、クラス1の美女(ギャル)が「なーんか気になるヤツ」となってしまうのです。

『ハリーポッター』は突然ホグワーツから手紙が届くし、『魔女の宅急便』では衣食住を提供してくれるオソノさんと出会う。

エンタメにはご都合主義があふれている。


ではなぜ、異世界転生ものだけに「嫌悪感」を抱いてしまいがちなのか。


一般の主婦が勝手に推測してみました。


1:主人公に魅力がない

異世界ものでも面白い作品は多々あります。そういった作品では、主人公がすごく魅力的に描かれている場合がほとんどです。

先ほどあげたテンプレートがありますが、そこから少しも逸脱せず、他作品と似たりよったりの主人公だと、読んでいる(見ている)人からすれば「またか・・・」という気持ちになります。

異世界に住んでいる住民に対して、上から目線の主人公が多いのも気になります。

2:主人公が努力している描写がほとんどない

努力といっても、死に物狂いで何かをしろというわけではありません。

チート級の能力を持っている主人公というのは、先ほどあげたジャンプ作品しかり、山ほど存在してます。

ですけれど、その能力におごることなく、必死で頑張っている描写が多いんです。

「天下一武道会」「中忍試験」「ハンター試験」などなど。
特にジャンプ作品は試験が多い。

確かに主人公には特別な力があって他の人よりは強いけれど、今の段階ではまだ最強ではないという設定だから面白いんですよね。

食べて強くなる、というのも、かなり簡単に強くなれるということで。
努力とはまた別だと思います。


3:周りがみんな優しすぎる

私も優しい物語、世界観は大好きです。

ですが、冒険ファンタジーというジャンルが多い異世界転生ものは、バトルシーンも多めです。要するに、敵が存在するパターンが多い。

それなのにも関わらず、周りがみぃぃぃんな絵にかいたように、主人公に優しいのです。
初対面なのに頼りにしてきたり、すぐ信用したり。
冒険者という職業があるくらい、世の中てきには殺伐としているはずなのに、戦闘シーンでは主人公以外、ほぼ裏方にまわるキャラクターたち。

序盤こそ、追放されたり迫害されたりしてますが、その後出会う人の9割が優しいっていうのはちょっとありえません。


4:そこから生まれるキャラクター性の弱さ

みんなが優しいということは、主人公以外のキャラクターに個性が無くなるということです。

人間というのは、いろいろいるから面白いと思いませんか。

イジワルな人、卑怯な人、大声だけど気弱な人、裏で何考えてるか分かんない人。

人間観察というのは、作品を書くうえですごく重要なんだなと、そういうアニメを見ると気付かされます。


5:頭のいい大人がほぼ出てこない

「頭のいい」と言うと語弊があるかもしれません。

ここで言いたいのは、主人公に何かを教えてくれる師匠的なキャラクターという意味です。

その異世界の中で、博識な人。その世界で生きていくためにいろいろ教えてくれる人。

ただ優しいだけじゃなく、きちんと叱って厳しい言葉をくれる人。

そういったキャラクターがあまり出てきません。

なぜなら「主人公が1番知識がある」という設定にしてしまうからです。

いきなり異世界に飛ばされたのに、すぐ馴染んでしまう主人公がほとんどなので、承認欲求が満たされればいいのかもしれませんが・・。

たとえ出てきても、すぐに主人公が追い抜いてしまうので、あまり記憶に残らないというパターンもあります。



とまぁ、つらつらと述べてきましたが、異世界ものを否定しているわけではありません。

先ほど書いたように、面白い作品もちゃんとあります。

この「異世界転生」というまだ新しいジャンル。
「SF」「コメディー」「ホラー」「アクション」みたいな感じでくくってしまえば、テンプレートが出てきても、こんなジャンルだしなって思えます。

そこから、他作品とどう差別化をしていくのか。

やっぱりキャラクター性にあると私は思います。
キャラクターがすごく魅力的であれば、テンプレートでも見れてしまうのです。


私が大好きな『本好きの下剋上』はテンプレートにほとんど当てはまりますが、めちゃくちゃ面白いです。

なぜなら、主人公が魅力的、主人公がすごく努力している、厳しくて頼りになる大人がたくさんいる、サブキャラクターもみんな魅力的、だからです。

元が日本人の大人だから、魔力をため込める、知識もあるというチート級の能力を持ってはいますが、本人が一生懸命に頑張る姿に心惹かれるものがあるんです。


これからもたくさんの転生作品が出てくるとは思いますが、1話だけ見て「またか・・」とならない作品が世に出ることを願っています。


この記事が参加している募集

アニメ感想文

サポートよろしくお願いします!頂いたサポートは保護猫のために使わせていただきます☺️