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快適なランニングの為に①~トップランナーの走りをどう分析するか

アスリートが運動指導者として活躍する為に必要な学びを提供しているメディアです。

前回までは「100mを速く走る為に」というシリーズをお届けしていましたが、今回からはより汎用性の高いランニング指導に関する記事をお届けします。

東京マラソン発足後、ランニング人口は高止まりしており、私設のランニングクラブも盛況と聞きます。

100m走にチャレンジしたいという人よりもマラソンにチャレンジたいという人の方が多いわけですし、ランニング専門の指導者もおられるぐらいです。

しかし、適切な指導がなされているかについては疑問符が付きます。(もちろんまともな人も沢山おられます)

その理由は主に2つ。

ひとつは絶えない怪我

私のもとにも「走ると痛い」という人は多く訪れるのですが、これは走りすぎに起因するパターンよりも、そもそも走り方が悪いというパターンの方が多く見受けられます。

つまり治療をして練習を再開したとて「走ると痛い」の無限ループに陥っている人が相当数存在するということです。

そしてもうひとつは世界との差です。

これはトップカテゴリの話ではありますが、極一部の選手を除いて日本と世界の差はかなり開きがあります。

かつてはマラソンと言えば日本のお家芸だったはずですが、それも今は昔。

身体能力云々と言ってしまえばそれまでですが、冷静に分析すれば世界トップクラスの選手と多くの日本人選手(日本においてはトップクラスの選手も含む)、あるいは市民ランナーでは何かが根本的に違うという点に着目せねばなりません。

またこのことはひとつ目の理由である、絶えない怪我とも関連があります。

不適切な走りは故障に繋がりやすく、かつ記録が伸びにくいということです。

そしてそれは不適切な指導に起因するのではないかと考えている、というのが私のスタンスです。

これは特定個人へのアンチテーゼというわけではありません。

怪我が多いとか記録が伸びないのは指導者の責任。あるいはそういう情報を発信している人の責任です。受け手の問題もありますが、それでも圧倒的に指導者や発信者の問題です。

事実、私のもとに「走ると痛い」という理由でお越しのランナーのフォームはどこか問題があり、その問題を取り除くことで「走ると痛い」から解放されるケースが非常に多く、必然的にベストタイムを叩き出すわけです。

ベストタイムが出たのはご本人の努力の賜物なのですが、やはり努力の方向性を示すのが指導者の仕事です。

ということで、今回からは4回に分けて「快適なランニングの為に」というシリーズをお届けします。

これは指導者なら必ず知っておいて頂きたい話であり、またランナーご自身にもご理解頂きたい話でもありますので、指導者でない方にも分かりやすく書くように努めます。

ちなみに4回シリーズは以下のように書き進めます。


①トップランナーの走りをどう分析するか(今回)

②短距離と長距離の境界を"あえて"曖昧にする

③虚構の走行距離神話

④身体と心が喜ぶリズムとランニング


前置きが長くなりましたが、これより本題に入りましょう!

トップランナーの走りをどう分析するか」です!


ランニングとはそもそも何なのか

いきなりですが、ランニングってなんでしょうか?

そう言われてもよく分からない……という人が多いはずです。

そう、そもそもそこに問題があります。

ランニングとは何なのか?

これが分かっているのと分かっていないのとでは大きく結果が変わります。

これは他のスポーツでもいえることですが、例えばゴルフとは何なのか?ということを考えれば、簡単に言えばボールをクラブで打ってホールに入れるスポーツですね。

ではランニングとは?

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