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アスリートが運動指導者として活躍する為に必要な学びを提供するメディアです。

今回はみんな大好き「腹筋」について考えていきます。


腹筋とは?

ご存じの方も多いとは思いますが、「腹筋」とは俗称であって、正式に「腹筋」という筋肉は存在しません。

あるとすれば、「腹部の筋」です。

多くの方が、「腹筋は6つに割れるものだ」と思っています。

確かにそうなのですが……運動指導者であれば、流石にもう少し踏み込んで考えられるようになっておきたいところです。


腹直筋

6つに割れる、いわゆるシックスパックの筋は「腹直筋」と呼ばれます。

これはあまりにも有名な筋肉ですが、肋骨や胸骨から恥骨にかけて長く伸びています。

あまりにも面積が広いので、力を出す為に「スジ」が入っていて(腱画と呼ばれる)、それが表面上6つに割れていることから、シックスパックと呼ばれます。

つまり、誰もが腹直筋を持っているのですから、誰もが6つに(厳密には10つ)割れているのです。

割れて見えるかどうかは、脂肪がどれだけあるかによるので、腹筋を割るには腹筋運動するというのも、少々おかしな話であると言えます。


腹斜筋

腹斜筋は、いわゆる脇腹の筋肉ですが、正確には「内腹斜筋」と「外腹斜筋」の2層に分かれています。

この内腹斜筋と外腹斜筋が相反する動きをすることで、身体をひねることができます。

しかし、厳密にどこから内腹斜筋でどこからが外腹斜筋なのかという、層の見分けは非常に難しいようですから、ひとまずは同じようなものだと捉えていいのではないでしょうか。

「内腹斜筋だけ意識する!」なんて言う器用なことは出来る必要もないでしょう。


腹横筋

これはいわゆるインナーの筋としてカウントされますが、最も深層にあると言われているのが「腹横筋」で、コルセットのような役割をしていると言われています。

ただ、深層にあるので直接触ったり見たりすることは出来ません。

脊柱の安定(姿勢の安定)に貢献している筋ですが、呼吸にも大きく関与します。


それぞれを分けて考える必要があるか?

機能解剖学ではこれらの腹部の筋を分けて考えます。

厳密に別の筋ですから、それは当然ですし、それぞれの機能や起始停止、神経支配を覚えることはとても大切です。

ただ、それは専門書を見れば分かりますので、あえてここまで詳しくは紹介してきませんでした。

例えば腹直筋は主に脊柱(腰椎)の屈曲に関与しますが、この時、内腹斜筋も外腹斜筋ももちろん働いていますし、腹横筋も関与します。

そして例えば身体をひねる動きでは、内腹斜筋と外腹斜筋が主動筋となりますが、同じように腹直筋も腹横筋も関与します。

もっと言ってしまえば、脊柱起立筋や背筋群も関与します。


教科書に載っていることと実際に起こること

またスポーツや日常の場面で、腰椎を積極的に屈曲させる(腹筋運動)局面がどれだけあるでしょうか。

どちらかというと姿勢を維持することに使われるはずです。


この様に、教科書に載っていることを理解することはとても大切だったとしても、その先のことも考えらるようになることがとても重要です。

もちろん、基礎を理解していないと応用も効かないので、やはり機能解剖学の基本的なところは抑えておく必要がありますね。

教科書も大切、その先も大切、ということを知っておきましょう。

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