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ケンカのススメ、『喧嘩ノ生態』を解剖します


表表紙

2023年11月、文学フリマ東京に出店した作品『喧嘩ノ生態』という本がある。
稀人ハンタースクールという川内イオさん率いる生徒の有志が14人集まり、オムニバス形式で執筆した。

人生背景もバラバラな14人が「喧嘩」について書いた本だ。マジカルバナナではないが、「ケンカと言ったら〇〇!」と言った時に、同じエピソードが出てくるはずがない。個性が尖った人の集まりだから。おのおのが心に思い浮かぶメラメラむかつくシーン、特に今まで人には言ってないがシコリのある話、自分で戦った話、泣く泣く静かにをした話とバラエティー半端ない。ケンカの相手も上司、家族、友人、動物とさまざま。ケンカの時に使うFワードも。とにかく普通じゃない。

そして、推したいポイントはここからだ。「ケンカは良くないこと」「避けたいよね」という固定概念的な見方は終わってみるとどこにもない。「ケンカの百科事典」と言ったら14例しかないのに大袈裟だとなるが、そのくらいケンカのパターンを感じられる。

またケンカの本なのに、この装丁が意外すぎる。パステルカラー。軽やかで優しい雰囲気なので、癒し系の雑貨や恋愛小説などに使われそうだ。なのに、内容はゴリゴリの喧嘩。ガツン、ドカン、ゴゴゴ、ギャー。最初は中身とのギャップを不思議に感じるかもしれない。ただ、読んだ後にもう一度このカバーを眺めると納得だ。なぜなら、喧嘩本なのに優しい気持ちになって終わるからしっくりくる。(自分比)それに加えて、イラストをよく見てほしい。なぜお尻丸出しの人がたくさんいるのか、相撲をとっているのか、太陽の塔の横に岡本太郎なのか。これも読んでもらえたら、内容と絵合わせをしたくなる。



裏表紙

とにかく、こんな本は作ろうと思ってもなかなかできるものではない。取り繕って、をまとって、荒立てないで生きている私たち。でも腹の底ではどうだろう。理不尽さに叫びたくなり、暴れながら怒鳴り散らしたくなることはないだろうか。この本を読むと「私もこんなケンカしたことあった」「これだけは忘れられない」という経験がムクムクと湧き上がってくるかもしれない。それでいいんだと。完全に忘れていた、忘れようとしていた穏やかではない話を引っ張り出して、またムカムカしてみよう。その後どう責任取ってくれるんだ!ということになれば、コメント欄にぶつけてくれてもいい。分かち合おう!

ここまで言って即読んでほしいのはやまやまだけれど、文学フリマ前に内容を少しでも知ってほしくてXに書いたコメントがあるので読んでほしい。個性と相性を感じながらどんなストーリーか膨らませてもらえたら嬉しい。

✏︎ 2点お知らせ ✏︎

※『喧嘩ノ生態』にご興味もたれて、購入ご希望の方はコメント欄にご連絡いただければ対応させていただきます。残り100冊を切りましたので是非!

※現在、東京・荻窪で個展を開いております。お近くの方はいらしてください。
『稀人書店の軌跡〜around the world〜』
場所:本で旅するVia2階ギャラリー
   (素敵な本屋さんです)
日程:2024/1/25(木)- 2/6(火)


稀人書店、初の個展
『喧嘩ノ生態』の他にもユニークな本を揃えています

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