【海外記事メモ】Instagram Lite の発展途上国へ向けたリサーチとデザイン
こちらの記事のメモと感想になります。
Instagramを普段使用しないため知らなかったのですが、主に発展途上国向けとしてInstagram Liteというアプリが開発されたそうです。確か同じFacebookのMessengerでもLiteって昔あった気がします。
通信環境が良くなく、RAMも1.5GB未満とスペック的にも我々が普段使用しているスマホとはかなり劣るモデルを使用するユーザーを念頭に、それでもInstagramの核となるUXは損なわないような開発を行いました。
その背景としては、Instagramがこれまでそういった発展途上の国々に対して十分なサービスを提供できていなかったことにあり、その市場へ最適化させたアプリを開発することで新たな顧客獲得へ乗り出そうというものです。
我々と発展途上国のユーザーとの大きな違い
我々のような先進国向けのユーザーを対象とするデザインは簡単です。
通信環境も、デバイスの性能もよく、ユーザーの技術的な知識レベルも高いです。
一方発展途上国の場合は遅い通信環境で、何年も前のスマホ(RAMが1.5GB以下で画面も小さいもの)を使用しつづけています。さらに、彼らは一人一台スマホを持っているわけではなく家族でデバイスをシェアして利用しています。
当然、ナビゲーションやジェスチャー、一般的なアイコンが意味するものへの理解度も低いものです。スワイプをするジェスチャーや「フィード」と言った言葉は我々にとっては一般的ですが、彼らにとっては全く異次元のものです。
そういった人々を対象に、先進国と同様のUXを提供する必要があります。
明示的なデザイン施策
一般的にタップやスワイプなどのジェスチャーは画面上に操作方法が都度明治されるものではありません。しかし我々はそれらを一般常識として利用することができます。
しかし、Instagramのストーリー画面において、発展途上国のユーザーたちはそのスワイプの操作がわからずどのように画面を進めれば良いのか困惑してしまいました。
そこで、彼らが操作に迷わないようにいくつかのバリエーションをテストして、アローナビゲーションコントロールをつけることにしました。
小さな画面でも見やすいUI設計
発展途上国の市場へ向けては、デバイスの画面の小ささも考慮しなければなりません。
そこで、既存のアプリの画像や文字を小さくしたり、マージンを縮めることでより多くの情報を表示させるようなりデザインを行いました。
上の画像では、プロフィール画像やその横の文字が小さくなり、プロフィール説明欄のマージンも縮められていることで、下のInstagramのメインコンテンツの表示領域を拡大させています。
Lite用の開発ノウハウ・素材をまとめておく
今回の開発で得た知見によって作られたデザイン法則はガイドラインとして明文化しました。また、Lite用の小さいコンポーネントも必要なため、それらも本家のInstagramとは別に作成しました。
幸いなことに本家のInstagramのアイコンなどをそのまま流用できたため新たにデザインを起こす必要はなくリスケールすることで対応できたようです。
また、チームとしてFigmaのライブラリを使っていたことで、アプリ全体の統一感を保つことができました(筆者はFigmaをあまり使ってなく、、このへんのことがよくわかりません。アメリカのビッグテック企業のデザイン環境はみんなFigmaですね、、)
グローバル展開するサービスに対してUIデザイナーができること
この記事に記載されていた発展途上国へデザインを展開する上での障壁は大きく「デバイスや通信環境」と「ユーザーのリテラシー」の2つにあると感じました。
後者に対してはこの記事でも述べられている通り、実際のユーザーへテストを繰り返すことで対処することができました。(ジェスチャーがわからないから矢印ボタンをつける、など)
一方、デバイスや通信環境などハード的な課題に対してはあまりUI側からできるアプローチは少ないのでは、とも思いつつだったのですが、UIの要素の大きさを今一度見直すことで小さい画面でもUXを損なわないような設計をするなどやりようはまだまだあるのだなぁと認識しました。
とにもかくにも、サービスを設計する際は「目の前にいる人(自分のいる国や同じ環境の人)ばかりじゃないよ」ということも頭の片隅に常にいれながらデザインをしなければならないなぁと改めて考えさせられました。
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