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辞めた会社を4年ぶりに訪問した話

6月下旬、私は一通の手紙を書いた。
それは新卒から3年勤めた会社でお世話になった役員へ宛てた手紙。

そしてその半月後、私は最終出勤日から実に4年ぶりに会社へ伺った。
何度も秘書として来客者をご案内し、呈茶対応してきたあの役員応接室に、銀がかった派手な髪色の自分が通されている。
(当時は当然なかったパーテーションがしっかりと設置されていた)

今日はその出来事の事の発端から書いてみようと思う。


なぜ手紙を書いたのか

そもそもなぜその役員の方に手書きの手紙を書き、郵送するに至ったのか。

それは祖母の言葉の影響だった。

6月22日が誕生日の私は、誕生日を迎える2日前にたまたま予定も空いたので祖母の家に遊びにいった。

・・・たまたまを装っているが要は自らお祝いされに出向いたわけだが、心優しい祖母はとても喜んでくれ、お祝い金もちゃんと頂いた。
(突然だったのにいつの間にか手紙を書き、自分のピン写真も同封して渡してくれた祖母はとってもチャーミング。写真同封の理由は謎だ。)

その日、突然改まって祖母に言われた言葉がとても刺さった。


「今までお世話になった人には、しっかりと感謝をし続けるのよ。
いつも繋がっておく必要はないけど、たまに近況を連絡したりしてもらえると、案外嬉しいものよ。
今のあなたがいるのは周りの人たちのお陰様なんだから。」


なぜ祖母が突然その話を切り出したのかはわからないが、そのときはっきりと頭に思い浮かんだのが、当時東京支社長で私を総務課(現在は形態が変わり部署名が変わっている)に内示を出してくれたその役員だった。


「おばあちゃん、私もそろそろ○○(元勤務先)でお世話になった人に近況報告できるくらいになれたのかなって思ってたところだったの」

「あら、そんなのはいつでもいいのよ。でもそう思うなら、連絡したらいいわよ。」


思い立ったが吉日。
そうして私はその翌日、何度も書き直してやっとこさ書いた手紙を投函した。


なぜ手紙にしたか。
正直その役員の方のメールアドレスは知っていたけれど、当時から年賀状にしろ挨拶状にしろ必ずご自身で一筆(それも人によって文章を変え、それなりの文量)書かれていた方で、そこが素敵だと思っていたので手書き一択だった。


自分の名刺を同封してお送りしていたのだが、あっさりショートメールで返事がきたのにはちょっと笑ってしまったけれど、嬉しかった。

ぜひとも遊びにきてくださいというお言葉にすぐに便乗し、直近の空いてる日をお送りした。こうしてすぐに訪問日が決まった。


我が子のような存在

一応説明するとその企業は一部上場の業界大手であり、その方は専務になられていたので役職高い方なのだが、一個人の私のために貴重な時間を割き、とても快く迎えてくださった。

新卒から本当にお世話になった秘書の大先輩も同席してくださり、とにかくたくさん笑いながら、今自分がやっていることの近況報告や、そこに至るまでの経緯をお話しさせて頂いた。

その話の聞き方がさすが商談のプロ…と思わざるを得ないことがたくさんあったのでそれについてもまた書きたいのだが、仕事の話からパートナーはいるのかという話まで(笑)、ざっくばらんに話をした。

(余談だが、私のSNSを事前に見て下さっていて、"クネクネしていたね!!クネクネ!!"というシンプルな感想をくださった。クネクネを連呼されて笑ってしまったけどありがたい。)


過去の話になるが、同期が全国に70人程いる中でたった一人総務配属になり、インテリアの営業やショールーム勤務を夢見ていた私は一瞬で打ちひしがれた。(研修の商材学習は何だったんだ…とも思った。そういうもんであるとまだ割り切れなかった若造だった。)

内示の際に「秘書検一級を目指してほしい」というその役員の言葉が理解できず、「は・・・え?秘書ですか?」と目を丸くして聞き返したのを自分でも覚えている。

今だからこそ分かるが、社会経験もないド新人が役員方と仕事をできることなどめったにない。非常に貴重な経験だったし、今こうして改めて繋がれたのもその時の距離の近さのおかげだったと心底思う。

訪問時、最後にその役員の方が仰った言葉がとても胸に残った。

「辞めていく人はたくさんいるが、辞めた後にこうして顔を見せにきてくれる人はほとんどいないから嬉しかったよ。自分の部下たちは我が子だし、あなたも娘だと思っているからこれからも何かあったらすぐに連絡してきなさい。」

祖母の言葉が思い浮かんだ。
やっぱり連絡してよかった、ありがとう。

その役員は就活の最終面接のときの印象から覚えているが、あちらの世界からあがってきた方…?(失礼)というくらい圧倒的な迫力とオーラがあって、【義理・人情】のお人柄。なにかあったら「仁義切れ!!」というタイプで新人の頃はびびり散らかしていたが、本当に父のような熱い心の持ち主だ。


その役員をはじめ、当時お世話になってその日たまたま会えた方(半分はリモートワークになっていた)にも久しぶりにご挨拶できて、当時はしんどいことも多く不満タラタラ働いていたときもあったけれど、ここで働くことができて良かったなと思った。


いつかお仕事で関わりを持つこともできたらいいな、と思いながら会社を後にした。





ここまでお読みくださりありがとうございました。
今日はすこぶる真面目に書きました。
(どなたが見るか分からずドギマギしてるので←)
また書きます。

maekon









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