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確変するNHK/国葬中継に込めた隠されたメッセージ

前田有一┃映画批評家

この記事は、

パート1
「安倍晋三元首相の国葬を映画批評家が分析したら、NHKのホンネがバレた
件」

パート2
「【安倍氏国葬】"張りぼて祭壇"を映したNHKの意図」

に続く国葬分析記事3部作の完結編です。
早速まいりましょう!

テレビ映えとは真逆の効果だった逆光における人物撮影

このあとは岸田首相はじめ出席者の追悼スピーチでしたが、このときのカメラ位置がよろしくありません。

逆光で写すこと自体は、人物の輪郭を強調する撮影の基本ではありますが、中継映像だと必ずしも正義ではない。

結果を言えば、懐から原稿をとりだすたびに大量の舞い散るホコリが目立ち、岸田首相が何かを強調するたび、飛沫がキラキラと盛大に画面に映し出されてしました。

きわめて不快な「テレビ逆映え」です。

このご時世、飛沫とホコリまみれの葬儀映像とはシャレになりません。

動画撮影では人物ではなく「人物の動き」が被写体になります。上記のようなものは、極力目立たなく撮るのが基本であり、このカメラ位置と光は、プロ集団のNHKによるものとしては、きれいに撮るのと真逆の意図があったのかとさえ思わされるものです。

岸田氏の話が白々しく見えた理由

岸田氏による、安倍氏の右翼的政策への礼賛スピーチは、彼が安倍派壊滅を狙う謀略の黒幕だと知って見ている立場からは、苦笑するほかない白々しい内容でした。

もちろん本人が一番わかっているので、まったく気持ちがこもっていないように見えたのは偶然ではないわけです。

一方、すすり泣きをしながら練りに練った話としゃべりで、会場を感動の渦に巻き込んだのが菅義偉氏です。

友人代表、菅義偉前首相のすすり泣きが感動?

会場では報道陣の一部ももらい泣きをしていたそうですが、ジャーナリストがそんなことで大丈夫かねと私は心配になりました。

政治の世界は「それはそれ」が鉄則であり、菅義偉氏がどんなにすばらしい感動の話をしたとしても、安倍晋三氏を実際にどう思っていたかなんてものとは、全く関係がないとみなすべきなのです。

そもそもまともな政治的常識があれば、菅氏が安倍氏の「友人代表」などとは、悪い冗談としか思えないわけです。

そもそも菅前首相が総理大臣を道半ばで辞めざるを得なかったのは、麻生太郎と安倍晋三が仕掛けた罠にはまって政治的に追い詰められたからです。

長くなるのでここでは詳しく説明はしませんが、note有料記事には書きました。一つだけ言っておくと、岸田首相が安倍派を弱体化させようとしている理由のうち大きな一つが、まさにそのことなのです。

会場の雰囲気にのまれるのもわかりますが、ツイッター民など一般人なら仕方ないにしても、政治の報道をするプロが、あのスピーチでもらい泣きというのはあまりにセンチメンタルすぎて、記者としてはちょっとジョブ適性なさすぎなんじゃないのと批判せざるを得ません。

政治の報道と分析は、もっと冷静に、ときに冷酷に、絶対に騙されない人間がやるべきです。

私に言わせれば、菅義偉氏はこの国葬における最優秀男優賞といったところ。さすがの名役者ぶりを見せつけましたが、それだけのことです。

菅義偉の「恋文」はおなじみのプロパガンダの寄せ集め

菅義偉前首相の見せ場は、「安倍さん、見えていますか」と問いかける場面です。

武道館の外には大勢があなたをしのんで集まっている。聞くと、20代や30代が多いようです──。

と彼は言葉をつづけ、安倍政権時代の有名なプロパガンダ「若者は安倍支持」をさりげなく印象付けています。

これは有名なトリックで、単に安倍政権が10年近く前から延々と続いたので、30代前半くらいまでの人は「安倍首相以外の総理大臣を知らない」「物心ついた時から安倍政権」なだけです。

インスタントラーメンしか見たことがない人に、「あなたにとっておいしい料理は何ですか?」と聞いたアンケートに意味がありますか? という話です。

若者(30代前半以下)は、比較対象をもたないから相対的に安倍政権支持にみえるだけ。かつて安倍政権が好んで使ったプロパガンダです。

むしろ、小泉政権以降、どうしようもない歴代のダメ政権ばかり見てきた40代以降の人に聞いてすら、「安倍が一番悪い」との声が増えていく事実のほうが問題でしょう。比較対象をたくさん持つ人ほど支持率が下がっていく。それが安倍政権の評価です。

菅義偉のプロパガンダに、空席を映して反撃するNHK

さて、この有名なプロパガンダシーンに対し、NHKのカメラマンは即座に反撃しました。

「外には大勢が集まっていますよ」と菅義偉がいった直後に、なんとカメラを武道館の最上階付近のガラガラな客席に向け、パンすることで「あれ、空席だらけじゃね?」と視聴者に思わせたのです。

この国葬、当初は6000人を超える参加者が集まるなどと大ぶろしきを広げたものの、カナダのトルドー首相をはじめ次々と欠席の連絡が入り、ふたを開けてみれば4300人。

当然ながら客席の上層階はガラガラだろうと思っていましたが、さすがに配慮したのでしょう。そこまでカメラは空席を映すことがなかったのです。

ところが寄りにもよって菅義偉の弔辞の感動のクライマックス「天国の安倍さんみてください、こんなにも大勢があなたをしのんで集まっています!」に合わせ、満を持してガラガラの客席を映し出す──。

これを意図的なカメラワークと言わないならば、いったいなんといえばいいのでしょう。

皇族を映すカメラアングルにも現れたNHKの意志

カメラワークといえばもう一つ。皇族による供花の場面で気づいたことですが、秋篠宮殿下とその他の皇族で、NHKはアングルを変えていました。

秋篠宮夫妻を映すとき、カメラはずっとバストアップのままでした。ここで大事なのは、「安倍晋三の写真に拝礼する姿」を一切映していないという点です。

佳子さまなどその他の皇族のときは、写真をいれた構図を普通に使っていましたから、ここは意図的に「皇位継承者」の秋篠宮文仁親王殿下が安倍晋三に頭を下げる絵を避けた、ということでしょう。

普通に見たら見逃すレベルの要素ですが、映像分析のスキルがあれば、こういうところにも安倍晋三あるいは国葬を強行した権力側へのひそやかなレジスタンスのメッセージを感じ取れるわけです。

アナウンサーによるキツい更問い

次に目についたのは、この場面のあとにアナウンサーが解説者に質問した場面です。過去の国葬における皇族の扱いについての、一見無難な質問でした。

これに解説者は、まさに無難を絵にかいたような回答をしました。

このあと、ちょっとした不穏な空気が流れました。アナウンサーはその無難な回答に満足せず、更問いを重ねたのです。

微妙な間のあと別の解説者が「過去の参列者数は9人でした」とフォローしました。

つまり、今回の7人参列が、それより少なかったことを発言したわけです。

あのアナウンサーは、まさにそれを言わせようとしていたのが私にはよくわかったので、この二人目の解説者は空気をちゃんと読んでいるな、さらにいえばマスコミの忖度体質に一矢報いる根性を持っているなと感じました。

この奇妙なやり取りの真意を、これまでの映像演出と合わせて考えると、この番組を作ったNHKの真意も見えてくるかと思います。

まとめ

ここまで読んで、皆さんはどう思ったでしょうか。

一つ確実に言えることは、NHKはタテマエとしては公平性を重視する公共放送ですが、それでもこのくらいのメッセージを込めることはできるということです。

かつて安倍晋三存命のころ、NHKは公共放送とは思えぬ偏った政権寄りの報道ばかりしていました。

その悪弊がすぐに直ると思うほど私は楽観的ではありませんが、国葬中継という大事な番組を担当するスタッフの中に、これまでの忖度体質を快く思っていない人がいることは間違いないと思います。

安倍晋三時代におこった中で最悪クラスの出来事は、ジャーナリズムの破壊だと私は思っています。

この世で最も発信力があるのは権力者(政府)です。彼らは都合の悪いことは隠し、いいことだけをチート発信力で垂れ流します。

これに対抗し、彼らの「不都合な真実」を発信することでバランスをとるのがジャーナリズム、報道の主たる役割です。

ところが安倍晋三と仲間たちは様々な手段でまっとうなジャーナリズムを「マスゴミ」などと印象付ける悪質きわまりない洗脳を日本国民に行いました。

現在の日本はチート発信力を持つ権力者が好き放題、国民をマインドコントロールしている状態です。

だから「報道の自由ランキング」で日本はG7最下位の71位。ケニアやハイチより下で、先進国とは思えぬ有様なのです。

なぜ安倍政権はここまで「上手に」国民を洗脳できたのでしょうか?

おやおや、まるで彼には「洗脳」のプロ集団がついていたかのような……ともあれ、その話はまた別の機会にいたしましょう。

今日の話がツボった方は、ぜひ私のイベントに来てくださいね。

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⇒参考(私が書いた同名の小冊子を、note有料記事にしたものです)
『安倍元首相銃撃事件と国葬報道を映画批評家が本気で分析したら岸田文雄首相による謀略だと判明してしまった件』

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