川中島からエジプトへ
5月の金曜日、小学生とオンラインフィールドワークを行なっている。5月は、長野から世界まで話がつながってしまった。
長野市の戸隠忍者から、どうしてこの地域に忍者が残っているのかを調べているうちに真田十勇士にたどりついた。これについて調べている子は戦国時代について関心のない女の子なので、これを機に戦国時代について調べることにした。(現在真田十勇士について彼女は作文作成中)
戸隠山周辺を探索しながら、真田氏について調べていると、当然ながら、川中島合戦についての情報がいたるところに出てくる。
どうして川中島で戦がつづいた?
戸隠山にピンを置いて、「じゃあ、川中島がどこにあるか知ってる?」とグーグルマッップを画面共有しながら、質問する。
各自検索しながら、川中島の場所を特定。戸隠山南東に流れる千曲川上流にある三角地帯が川中島だと誰かが説明する。
グーグルアースを利用して、川中島の地形を観察する。川中島は土砂が堆積した中洲だということを説明する。
ここ川中島合戦は、上杉氏と武田氏とが数度おこなった戦だ。
だが、どうしてこの地で何度も戦が繰り広げられたか?
この点について小学生とともに深堀する。
・武田氏は、南の今川や北条と争いたくないので北上した。
・上杉氏は、武田氏が北信濃から北上することを嫌った
・川中島は越後全土より収穫できるほど豊かな稲作地帯だった
・鮭や鱒など魚が収穫多い
・鎌倉時代から麦もとれる
・鎌倉時代から戦の地であった
・昭和まで大洪水地帯であった
ライン川をゲルマン人が南下してローマ帝国と争うとか、遊牧民が中国大陸を南下するとか、世界史では、寒冷化のために南下して争いが起こることが多いが、日本史では北上することが多くておもしろいな!と一人興奮する。
千曲川を下るとどこにたどりつく?
千曲川を川下りするとどこにたどりつく?と子供達に質問して、地図で川下りしていく。すると、新潟に入る手前あたりで千曲川は信濃川になる。
ここで信濃川について検索。
・信濃川は、日本一長い川
・流域面積日本第3位
ということを子供たちの頭に叩き込み、(これよく聞かれるので)
「そもそも流域面積って何よ?」と聞くが、みんな答えられないので、さらに検索。
流域面積は、雨や雪水が山から流れ込んでくる範囲のこと。
そこで、信濃川の上流と下流の位置を確認し、どこの山の水が流れ込んでくるのか、確かめる。
世界一長い川や流域面積第1位ってどこ?
世界一長い川を検索すると、ナイル川
流域面積第一はアマゾン川とでる。
ここでそれぞれ長さと面積の数値を調べると、日本と桁違いであることがわかる。
そこでグーグルアースのアマゾン川トレッキングコースを回る。
BGMで熱帯雨林サウンドをyoutubeで流しながらみると臨場感が増す。
ナイル川もアマゾン川も対岸が見えないくらい遠く大きいことを確認。
一人の子が、エジプトガイドのプレゼンテーションをおこなってくれるということで、6月にエジプト作文を書いてもらうことにした。
こうして真田十勇士から川中島そしてエジプトまでフィールドワークした。
次回までに各自調べて作文にまとめてもらうこととしている。
地理や歴史の分け隔てなく日本から世界までアクロバティックに学びながら、こちらとしては、地理や歴史で学校や受験でよく聞かれることをこっそり仕込もうと企んでいる。
いつか「あぁどこかで聞いたなぁ」と思えたら、その後覚えるのが楽になるだろう。また、「なぜ?」と問いながら論理思考を養うことも欠かせない。これは対話のなかで身につけることができるだろう。
地図の読み取りができない子がけっこう多いことも見逃せない。地図の読み取りは空間把握力に関わるので単に社会学習だけではなく、算数の図形問題をやる上でも非常に大事である。
実際地図読めない読もうとしない子を家庭教師していると、いずれ算数の図形問題で苦戦するというケースが後を絶たない。直接的に関係しているのかわからないが、僕はそう観察される。
金曜日オンラインフィールドワークは17時半開始から19時まで。30分フィールドワークしながら話し合った後、30分自習。それから後半戦で深堀か文章化までフォローすることもある。
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前田大介『本で書けない話』
教育・子育てのお悩み相談や多岐にわたる教育活動などのエッセイを毎週連載。 計算や漢字の非公開動画もこのマガジンでこっそり公開していきますー
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