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「眠る前に読む本」としてオススメできるかは、わからないけれど。

ここのところ忙しい日々が続いていたせいだろうか。この土日はぐったりとして、ほとんど布団の中で過ごしてしまった。

やりたいこと、やらなきゃいけないことは山ほどあったのだけれど、「もう、むり。ねむい」と、冬眠から目覚めたくないクマのように布団の中に潜り続けていた。花粉症のせいで、すこし微熱もあった。身体もだるく、思うように動かせない。布団の中でごそごそと寝返りをうってはウトウトする、を繰り返していた。

「眠る前に読む本」と本の帯に書かれていたため、気になって購入したものがあった。

森見登美彦さんの「太陽と乙女」。
森見さんがさまざまな雑誌やあとがきなどに寄稿されたエッセイが収まっている一冊だった。

私は森見さんの作品をあまり拝読していない。「きつねのはなし」と「夜行」の二冊のみ。「夜行」は、本屋大賞にノミネートされていたけれど、スタンダードな森見作品、とは言えないかも知れない。町自体にたぷたぷと含まれている「そら恐ろしさ」を描いた作品だった。

森見作品をそれほど読んでいないのに、「眠る前に読む本」と銘打っていることがおもしろくて、つい手にとってしまったのだ。

眠る前に読む本には、向き不向きがあると常々考えている。
面白すぎて、「寝る間を惜しんで読みたい!」となる長編小説は、多分不向きといえるだろう。だいたい長編小説はたっぷりしたページをめくらせるための趣向がこれでもか! と織り込まれているのだから、おもしろいのだ。ただ、自分に合うか合わないかだけだろう。歴史小説が大嫌いな人に北方謙三の「水滸伝」シリーズをオススメしても、きっと読んではもらえない。また、ファンタジーが大嫌いな人に「ハリーポッター」シリーズを紹介しても、ふん、と鼻で笑われてしまうだけかも知れない。
どちらの長編小説も、眠る時間が惜しくてぐいぐい読んだ覚えがある。どちらもおもしろい。

しかし、このふたつのシリーズ、眠る前に読む本、としては最適とは言えなかった。
では森見登美彦さんの「太陽と乙女」は、どうだろうか?

いやはや面白い。おもしろくて、ついつい引き込まれて読んでしまう。けれど、休日の惰眠の友としてはぴったりかもしれない。ひとつのテーマについて、見開き1ページで熱く語って終わるものもあれば、森見さんご自身の作品に対して思うところや、なぜその作品が生まれたのかなどをツラツラと述べている。

さまざまな媒体で発表されたものを、テーマごとにまとめて紹介されているため、書かれた年代はばらばら。そのためか、森見さんおひとりで書かれているはずなのに、何人もの作家さんで紡いだアンソロジーのような気にもなる。

ラブドールの購入を真剣に検討していたかと思えば、ご自身の作品が漫画化されたことに対しての内容について書かれていたり。あらゆる思考が詰め込まれている一冊だった。

眠る前に読む本として、私にとってはぴったり合っていた。けれど、森見作品が好きな人には作品の裏側を見られるような感覚があり、興奮して眠れなくなるかもしれない。
また、森見作品をどれも読んだことがなかったとしても、エッセイとして読むことができるだろう。

ただひとつ、注意しなきゃいけないことがある。それは、この本を読んだあとに森見登美彦さんが書かれた本を読みたくなるに違いない。

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