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恋の伏線は二年前から準備されていた。

動画配信サービスのU-NEXTを見ていたところ、「あなたにオススメ」と紹介されているタイトルに引っかかるものがあった。それは「2016年年の瀬変愛ドラマ おっさんずラブ」

2016年……? 「おっさんずラブ」は2018年上期の大ヒット作品じゃないの?
なにやら妙に気になって、動画の紹介文を読んでみた。
そこには「こんな恋愛、ゼッタイに憧れない⁉︎ 冷や汗タラリの変愛ドラマ」というコピーのもと三夜連続で放送されたらしい、一話完結ドラマがそれぞれ紹介されていた。

そして、そのひとつが「おっさんずラブ」だったのだ。
33歳のモテない男が、上司と部下に告白され恋のライバルメラメラの2人の狭間で困惑。
春田創一を演じる主演の田中圭。春田の上司(部長)役に吉田鋼太郎。
2016年の年末に、すでに「はるたん」は誕生していたのだ。
TV asahiの公式サイトでも「2016年の年末深夜に単発ドラマとして放送され、ネットでも話題をよんだ」ときちんと紹介されている。コアなファンにはすでに知られた作品なのだろう。配信されている2016年末に放送されたという「おっさんずラブ」にもむくむくと興味がわき、見てみることにした。

2016年の段階で、かなり大まかな設定は決まっていた。今年連続ドラマとして放送された「おっさんずラブ」を一週間前に一挙配信で見た私にとってはかなり衝撃的だった。なんというか、粗削りダイジェスト版、といった感じなのである。ごちゃごちゃとした印象はあるのだけれど、それでも話の大筋はほとんど変わらない。決定的に違う点といえば春田を想う年下の部下が牧ではなく落合モトキさん演じる長谷川幸也であり、部長はすでに離婚してバツイチという設定。「わんだほう」自体存在しておらず、幼馴染として春田の相談役である、ちずはいない。2016年バージョンでは代わりに会社の同僚が、ちずに似た役目を果たしていた。また、勤務先も不動産業ではなく文房具メーカー。武川さんの位置づけにあたる人は存在していなかった。一時間では処理しきれないだろう。

設定は大きく違わないけれど、ぎゅっと胸を掴まれるような苦しく、切ない気持ちにはあまりなれなかった。「変愛」というくくりにされているし、男同士のどたばた恋愛コメディという要素が強く感じられる作品だった。

おそらく大きな反響があったのだろう。単発ドラマを再度、きちんと組み立て直したのち、連続ドラマとして発表しているというのは「これはいける」と手ごたえがあったからに違いない。

しかし、この組み立て直しに「切ない、きゅんとする要素を十割増しにしましょう」と、決断した制作サイドは本当にすばらしい。人を好きになることに、男も女も関係ない。好きになったら、やっぱり振り向いてほしいし、自分の隣にいてほしい。その、恋をしてしまった、恋に落ちてしまった純粋な気持ちを上手に、ちりばめてくれた。改めて2018年バージョンの「おっさんずラブ」という作品を好きにならずにはいられないのだ。




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