ページをめくる手は震えているに決まってる
思わぬかたちで、願いが叶うかも知れない。けれど、叶わないかもしれない。
ほぼ日の、この投稿を見たとき思わず「えっ、もしかして、可能性あるかも……」と胸が高まった。
わたしには叶えたい夢がある。
それは「わたしが本を出版したとき、その本の表紙はヒグチユウコさんの絵に描いてもらいたい」というもの。
本を出版する、というだけならば自費出版という手段もある。かたちにこだわらないならZINEなど手軽な方法もある。電子書籍だっていいだろう。
しかし、いまものすごく活躍されていて多忙極まりない、ヒグチユウコさんに装画を描いていただくとなると、話は違ってくる。やはり、どこか出版社を通して依頼せねばなるまい。ということは、やはりわたしはもっともっと文章を書いて、どうにか形にしなければ、この夢は叶わないのだ。
ヒグチユウコさんに表紙の絵を描いてもらいたい一心で文章を書いている、と言っても大げさではない。
しかし。
今回ちいさな可能性が出てきた。
わたしは「ほぼ日の怪談」に投稿し、掲載されたことがある。
2010年8月11日に掲載された「深夜タクシー」
これは、わたしの母が実際に体験した話だ。
いま読み返してみると、文章力がなくて、伝わりにくいところもある。しかし、この怪談話を書いたとき、書きながらも怖くて鳥肌が立ったことも覚えている。
しかしここで問題がある。
「ほぼ日の怪談」は、かなり本気で怖い話が掲載されている。2004年から連載が開始している、夏限定のコンテンツ。毎年50話近くが掲載されている。今回書籍化される「ほぼ日の怪談」に収録される話は120話。書籍に掲載されるには、かなりの倍率をくぐり抜けなければならない。
わたしが望んでいるかたちの「ヒグチユウコさんの装画」とはすこし、違う。本名でも、間詰ちひろ名義でもないハンドルネームで投稿したもの。それは分かっている。しかし、望んでいるものとは、ちがった形だけれどまったく叶わないよりは、確実によい。単なる自己満足だと笑われるかもしれないけれど、自己満足だっていいのだ。高倍率だけれど、掲載されていることをいのるばかりだ。
そして、もうひとつ頭を悩ませる問題もある。
わたしの話が掲載されたかどうかを確認するため、「ほぼ日の怪談」を手にとってみなくちゃいけない。
いや、あたりまえだ。あたりまえのことだけど、ちょっとハードルが高い。
理由は簡単。怖いからだ。ほぼ日で掲載されているものを読み、怖くて思わず閉じたことも何度かある。思い出しただけでも怖い。
うっかりとんでしまうと、いやな人もいるだろうからリンクは貼らないけれど、2005年の「ノート」とか2008年の「友人の別荘」とか。肝試しの帰り道の話とか……。思い出しただけでも、ぞっとする。
これらの身の毛もよだつ怪談と一緒に収録された本を手にとって、ページをめくって確認することすら怖い。もくじを目にすれば分かるかもしれないけれど……。
期待感とと恐怖が混ざり合って、本当にややこしい。発売されるのが今から待ち遠しくて仕方ない。その本を手に取って、ページをめくるとき手が震えてしまうことは違いないだろう。
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