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「なんでもいいよ」は信じるな

なんでもいいよ、という言葉を間に受けて、本当に適度に選ぶと、あとあと面倒なことになるよねえ、としみじみ感じた話です。

昨日、もう20年も仲良くしている友人Rに会いました。

Rは昨年、結婚出産し、今は育休中で実家で暮らしていますが、近々引っ越しすることになっていました。

引っ越し、もうすぐやねぇ。準備は進んでる? と聞いたところ「進んでる、とは言い切れへんなあ」とちょっと笑っていました。

詳しく聞いていくと、旦那さんがおおらか、というか、スケジュールをキチキチ組むのが好きではなく、立会いが必要なガスの開栓だとか、配線関係がギリギリだと。

家具も、何もかもを一新するわけじゃないけれと、この機会に買い替えよう! という話も出るそうなのですが、Rが「何がいい? どれがいいかな?」と聞くと「なんでもいいよ」と言われるそうで。あっ、そう? と、カタログなどをあれこれ見て「じゃあこれにする!」とRが決めものをみせると「これは、どうかなぁ?」と嫌そうな顔をするのだそうです。

「なんでもいいって言っておきながら、めっちゃこだわりがあって、意外と面倒くさい〜」と笑っていました。ただ、何から何までこだわりがあるわけじゃなくて、キッチンまわりとかは「本当に、全く」興味がないらしく、Rひとりで全部決めた、と言っていました。

なんでもいいよ、といいながら急にこだわりを見せるのは、私の夫も同じでした。

我が家では、今の家に引っ越したときに、表札を手づくりしたんです。彫刻刀でコリコリと、苗字を彫りました。(ちなみに、間詰、というのは本名ではありません)

ただ、自作の表札は、木の板の防腐処理などされていませんでした。ある程度ニスなどは塗りましたが、経年劣化には耐えられないものでした。6年ほどで、木がすこしカビたり、粘菌がついたりしていました。

さすがに表札が腐ってるのは、いかがなものかと思い、せっかく作ったけれどその表札は外すことに。ホームセンターなどで表札をつくるカタログなどを検討しました。

夫は「なんでもいいよ」と言って、あまり関心がなさそうでした。けれど、ある程度「これにしよう!」と決めたところで、もともとついていたアクリルのプレートを利用できないかな? と言い出しました。ホームセンターなどで申し込むとプレートを購入しなきゃいけないでしょ? と。それならはじめにあったアクリルのプレートをレーザー加工してくれる業者に頼めばいい、と言い出したんです。

そう思ってたなら、もっと早く提案してくれ! とイラッとしましたが、ホームセンターで購入予定だったものはサイズが少し大きくて、強力な両面テープで貼り付ける、というもの。両面テープも劣化するから、という夫の意見もたしかに一理ある。

そうして、レーザー加工会社をインターネットで調べ、思ったよりも安く加工してもらえるとわかりました。「じゃあそこで作ろうよ。あとは任せるから」と夫も満足したようでした。

ようやく一安心、と思い「じゃあここの会社にお願いするから」と、仕上がりのイメージを夫に見せたところ、
「文字フォントが気に入らない」と言い出したんです。フォントにいちゃもんつけるとは! ちょっとびっくりしました。一般的な明朝体だったのですが。

私が頼もうと思っていたレーザー加工の会社は文字加工は、会社で決まっているフォントしかない。けれど、これ以外の文字で、というならば文字をイラストデザインと捉えてなら加工できると回答してくれました。ただし、費用は文字加工よりも若干高くなるとのこと。

私は、正直なところ、フォントも何も、どうでも良くって、はやく表札問題を終了したい気持ちでいっぱいでした。
会社で使用しているフォントからいくつかをピックアップしてきて、夫の前にずらりと並べました。そこから3つくらい選び、文字が実際にプレートに彫られたらどうなるか見たい、と何枚かコピーをして、紙を切り抜いて、文字の配置を決めたりと、あれやこれやしていました。

私はもう、「なんでもいいよ、あなたの好きにして」という気持ちでしたので、「あ、これでいいやん!」とか「いままでの中では、いちばんいいかも!」など言って、とにかく早く決めてほしいなあ、と適当な相槌をうっていただけでした。

思った以上に試行錯誤を繰り返したのち、夫はようやく納得し、申し込むことができました。やれやれ、としか言いようがない。

お風呂場の壁の色だとか、リビングの床の色だとか、文字フォントだとか。
なんでもいいよって言われだけれど。
実は細かなところで、ギョッとするほどのこだわりがあったりする。

私自身にも、思いあたる節もある。
なんでもいいよって、気軽に聞いたり、言ってみたりするけれど、「ここから、ここまでならば」なんでもいいよ、ということで、鵜呑みにしてはいけないよね、と友人Rと笑いながらも、大きく頷きあった話でした。

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