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大切なお守りである、吉本ばななさんの言葉。(後編)

吉本ばななさんに、お会いして、「ありがとうございます」とお礼を言いたい。(前編はこちら

心のなかでぼんやりと考えていたときに、思わぬ告知を見かけた。

吉本ばななさんと奥平亜美衣さんの「自分を愛すると夢は叶う」出版記念イベントが七月七日に開催されるという。

しかし、はじめその告知を見たとき「ああ、行きたいけど、行けないかもしれない。今回は諦めよう」そう思った。

その告知を見たとき、わたしの父は入院し、手術を控えていたし、その術後の経過がどうなるかまったく分からなかったからだ。先の予定を立てたいけれど、ちょっと、どうなるか分からないし。決められなかった。そのため、そのイベントを見たときには「行きたいけれど、行けないだろう」と、諦めてしまった。

しかし、父の手術は予想していたよりも順調だった。術後の経過についてもいろいろと問題があったし、退院予定日も白紙になってイチからやりなおし、みたいなこともあった。けれど、本人も調子が良さそうだったし、たぶん退院した方が回復が早そうだよね、という流れもできていた。

わりと前向きな状況ができていたときに、Twitterで「出版記念イベントはおかげさまで、ほぼ満席です」とばななさんご本人がツイートされた。

「ほぼ、ってことは、まだちょっとは空いてるのかも?」と思い、申し込みページを見たところ「キャンセル待ち」を受付ていたので、申し込んでおいた。

やむにやまれず、キャンセルする人もでてくるかもしれないし、お会いできるチャンスだ! と、ひとり息巻いていた。しかし何度か「キャンセルの方がいらっしゃいました」というお知らせがくるものの、タイミングが合わずなかなか申し込めずにいた。けれど、一席ぐらい、たぶん入れるはず! そのうち連絡が来るだろう、とおもっていたら「お席の用意ができました」というメールが本当にやってきていそいそと申し込んだ。

「自分を愛すると夢は叶う」という対談本は、吉本ばななさんと、「引き寄せの法則」などを発表されている奥平亜美衣さんの共著だった。正直に言うと、奥平亜美衣さんのことは、ばななさんとの共著ではじめてお名前を拝見したし、「引き寄せの法則」も、名前は見聞きしたことがあるけれど、実際にどんなことかは全然分かっていなかった。

イベントまでに本を読み終えていたので、イベントまでには「引き寄せの法則」についての基本的な考え方は分かっていたけれど、具体的になにか実行してみようか、とまでは思い至らなかった。

イベント当日は、吉本ばななさんと、奥平亜美衣さんが、それぞれ講演をされた後、事前にメールで募っていた参加者からの質問にお二人が答えてくださる、というものだった。

はじめにばななさんがお話しされたことが、本当にすべてを表していた。法則でもなにもないのだけれど、それ以外あり得ない、という内容だった。

お話しされた言葉のあたたかみまではお伝えできないけれど、エッセンスをすこしだけ記しておきたい。

これまで世界中の、たくさんの人にあってきた。そうして、分かってきたことがある。それは、「必ずその人が思っていることを感じる」ということ。じぶんが自分のことを「こういう人だよ」と思っていることが伝わってしまう。自分のイメージをかえることができれば、運命も引き寄せられる。その人がイメージできないものは来ない。リアルにイメージしたものしか、来ない。

本当に、そのとおりだ。

ぼんやりと考えていただけでは、何もやってこない。たぶんそれは「本当には、ならないことだ」と、心のどこかで否定しているからだ。なってほしいけど、無理だよね、と。そう思っていると、それは行動にもつながる。無理だと先手をうって、どこかで諦めていた方が、楽な部分もある。それも分かる。けれど、「よし、ここはひとつ、これを実現させよう」と腹をくくったとき、諦めなくなるし、こつこつやることすら、楽しくなってくるはずだ。そう考えると、引き寄せは何も難しくなくて、ただ、心の底からきめるかどうか、だけのことで何も難しく考えなくて良いのだと思う。「引き寄せの法則」なんてスピリチュアルで、ちょっとあやしい、とかそういうのではない。なにも難しく考えず、「自分自身と約束した。楽しみながらやるしかないよね」と決めて、流れに身をまかせて進むだけなのだ。

奥平さんのお話しされていたことも、ばななさんとほとんど同じで、「自分で決めることが大切。自分がそうしたかったから」という本当の望みをきちんと知ることが大切だとお話しされていた。

その後の、「皆さんから寄せられたお悩みに答えたい」とたっぷり用意された質疑応答は思わず笑ってしまうほど面白かった。デリケートで切実なお悩みを寄せていらっしゃるのだけれど、お二人のやりとりや回転の速さが素晴らしかった。

私自身の重なる悩みとして参考になったものもあったので、いくつかメモしたものを抜粋してみる。

Q. メンタルを強くしたい。強い精神力を持ちたい。

A. 急には強くなれない。けれど、この人と一緒にいると強くなれる、みたいにちょっとずつやっていくしかない。ただ「自分のことしか考えていない」のもだめ。ビクビクした自分がいるとこの場がつまらないかも? と考えると笑顔もでてくるかもしれない。それに、そこまで自分は嫌われていない、と思ってちょっとずつ強くなるしかない。急に「変身したい」と思うから大変に思ってしまう。

Q. 自分の理想像とかけ離れている場合はどうしたらいいか? 例えばジャイアンみたいな見た目だけれど、峰不二子が理想であるとしたら?

A. 峰不二子になりたい、と思うのは自分を好きになりたいから。ジャイアンだから嫌い、と思っているから不二子に憧れている。だけど、峰不二子とジャイアンは同居できる。自分のなかの峰不二子を探せばいいし、その探す過程は楽しいはず。あいつ、ジャイアンっぽいけど峰不二子味もあるよな〜って、いうのはあり得る。

質疑応答に対して一刀両断、というのではなくて、「そこで悩んじゃうのはもったいないよ。もっと人生を楽しまなきゃ!」というアドバイスが多かった。わたしは何も質問を送っていなかったけれど、当てはまることも多く、うなずくことも多かった。

イベントの最後に、本へのサイン会が行われた。そこで、ばななさんの前に立ち、「ありがとうございます」と、お礼を言うことができた。いつか言えたらいいな、思っていたことだったけれど、その夢は叶った。ただ、涙ぐんでしまい、「noteのどくだみちゃんとふしばな、読んでます!」とか、ハキハキ言えれば良かったのだけれど。握手したばななさんの手はすべすべして、あたたかかった。きれいな石のついた指輪をつけていらした。奥平亜美衣さんも、やさしいエネルギーに満ちていらして、握手していただいた手からは強さのようなものも感じた。

わたしのこれまでの人生で、自分のことが好きだとは言えないことが多かった。けれども、それだけではもったいない。

あと何年生きるかは分からないし、何が起こるかも分からない。けれど、どんな状況であっても楽しく生きる、と自分で決めることはできる。

いま、このタイミングで吉本ばななさんにお会いすることができて、本当に良かった。ばななさんの言葉は、わたしにとっては、いくつになっても「お守り」で、どこに行くにもぶら下げて持っていきたい。

「自分を愛すると夢は叶う」だなんて、ありえないと思う人もいるかもしれない。けれど、わたしは、まず、自分を愛してみようと思う。そうして、どこにたどり着けるかは分からない。けれど、自分で決めたことなのだから、迷わずに進んでいくしかない。その先に、何があったとしても楽しんでやろうと思う。


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