見出し画像

健康って、ある程度まではお金で買えると思う。

自分の身体の状態って、どうなっているかわかりますか? 私は「たぶん、大丈夫」と思っていたら、大丈夫じゃなかったことがあります。自分の身体のことを全然分かってませんでした。きちんとお金を出して検査を受けるのって大切ですよ。

「えっ? ほんとですか?」
2016年の夏。人間ドックの結果を聞いたとき、びっくりしたけれど、なぜだか笑いがこぼれそうだった。

まさか、ピロリ菌が胃のなかに潜んでいたなんて。

人間ドックを受ける半年くらい前から、私は胃の不調を感じていた。

もともと、子どものころから、胃が痛くなることが多々あった。小学6年生の、修学旅行の前々日にキリキリと胃が痛んで病院に行ったことを覚えてる。その時の診断は「神経性胃炎」修学旅行に対して知らないうちに不安を抱えていて、それがストレスになっているのだろう、と。

一泊二日、広島への修学旅行は散々でしたが、帰路に着いたら、ケロリと胃の痛みはなくなって、「なるほどー、これが神経性胃炎っていうことか」と、子供心に納得したのを覚えている。

小学生以降、年に一度か二度とキリキリとした胃の痛みと不調を抱えながら生活していた。神経性胃炎以外にもさまざまな体調不良もあったので、胃の不調はある意味「通常営業」として受け入れてもいた。二十代前半で一度胃カメラを飲んで検査を受けたけれど「キレイな胃です」と言われただけだった。

二年前、35歳になったばかりの1月のこと。
どうにも、胃の痛みが治まらない。今までの「神経性胃炎」は、一過性というか、時が過ぎれば良くなっていたのだ。けれど、この時の胃の不調は長く続いた。かかりつけのお医者様にいき、数種類の胃薬を処方してもらった。
問診のときにいわれたのは「機能性ディスペプシア」という病名だった。はっきりとした原因がないけれど胃の痛みが続く、というもの。「むかしは神経性胃炎とか呼ばれていたものも、これに該当しますね」とのことだった。
たしかに、キリキリと胃の痛みを要する締め切り仕事を抱えていた時期だったし、あれこれ積もり積もっての胃の痛みだと納得した。
ちなみに「機能性ディスペプシア」の症状は以下に挙げたようなもの。

・みぞおちの痛み・食後の胃もたれ感・みぞおちの焼けるような感じ・食事開始後、すぐに食べ物で胃がいっぱいになるような感じ

これらは、私自身におきていた症状と合致していた。あまり痛みが続くようなら内視鏡で検査しましょう、と提案されたけれど、処方された薬が効いたようで、ひどい胃の痛みは徐々に消えていった。

薬が効いていたし、とくに胃カメラでの検査を受けることもないまま、通院を終えたのだった。季節は春をむかえていた。

その数ヶ月後、私は人間ドックを受けることにした。というのも、私は幼いころから人間ドックを受けることに憧れを抱いていた。ドックという聞き慣れない言葉に「改造人間を作る秘密組織なのかもしれない」と胸をときめかせていた。大学生のころに付き合っていた彼氏に、誕生日に欲しいものはあるか? と聞かれ「人間ドック」と答えたこともあった。(そして、その申し出は聞き流された)

35歳にもなれば、だいたい何をされるか分かっている。人間ドックは、自費診療となるため、体調不良で病院にかかるよりも費用がかかる。けれど自分で稼いだお金で人間ドックを受診するのは悪い選択肢ではないだろうと思い、申し込んだ。ちなみに、申し込んだときには胃の不調はおさまっていて、自分では健康になった、と思っていた。

人間ドックは病院によってさまざまなコースが組まれている。値段もピンからキリまで。2万円ぐらいでできるものもあれば10万円を超えるコースもある。

私が申し込んだのは、一般的な健康診断に検便・腹部エコー・胃バリウム検査・婦人科検査(マンモグラフィー・超音波・子宮検診)これで5万円弱程度。安いとは思わない。けれど30代の女性が婦人科検診を受けるとき、不調を訴えなければ自費診療となるケースが多い。マンモグラフィーやら何やらを一度に検査してもらえるなら、このくらいの費用になるかもしれない。

そこで、私は胃バリウムの検査を受けて「ピロリ菌陽性の可能性が高い」と内科医の問診時に言われたのだった。バリウム検査だけでははっきりと特定できないらしい。けれど、胃の内部の状態は健康とは言えないかもしれないと診断されたのだった。そのため、採血の検査項目にオプションとなるけれどピロリ菌検査を追加してもらった。

3週間ほど経過したのち、人間ドックの結果が郵送されてきた。

判定はD。「要治療」と下されていた。

やはり、ピロリ菌が胃の中で暴れまわっているとのことだ。人間ドックの結果を持って、あらためてかかりつけ医に相談に行った。

やはりバリウム検査だけでは不十分なので内視鏡(胃カメラ)をして、胃壁の細胞を検査すること必要だという。こんなことなら、冬に検査してもらっておけばよかったなあと思ったのだけれど、その時にはお薬が効いて痛みは消えたのだし、時間もお金もかかる大げさな検査なんて不必要だと思ったのだ。

しかし、胃カメラの検査を受けた後、診察室で結果を聞いたとき、ちょっと愕然とした。私の胃は「鳥肌胃炎」という症状になっていて胃の3分の1程度はすでに委縮しているのだという。鳥肌胃炎はほおっておくとガンに進行する可能性が高く、ピロリ菌を除菌しないと胃炎は進行していくだろう、という所見だった。

鳥肌胃炎なんて、今までいちどだって聞いたこともない。けれど、放置しておくわけにもいかない。胃の細胞が現時点でガン化していないかピロリ菌の再検査として胃の細胞を生体組織診断の検査をお願いした。

幸い、私の鳥肌胃炎はガン化しておらず、ピロリ菌の除菌をおこなうことになった。除菌自体も、ちょっとした問題があったのだけれど、もうすでに長くなりすぎているので、また別の記事として紹介したいと思う。

私自身過去に胃カメラを受けて何ともないと言われたことや、小学生のころからの思い込みが検査をしようという判断を鈍らせたことは間違いない。医師としても投薬治療で効果があれば、その先の検査をしようという判断は起きないだろう。けれど、人間ドックを受信して「胃にピロリ菌がいる」と診断されなければ、わたしの鳥肌胃炎は悪化していく一方だっただろうし、もしかしたら胃ガンになっていたかもしれない。

健康なときには「健康」は当たり前のものだ。必要以上に「健康」をありがたいとは思わない。高額を払ってまで「念のための検査を受けておこう」という気持ちは生じないだろう。とくに20代後半から30代は、比較的健康体だと考えられているので、検査の補助金みたいなものもほとんど出ない。40代になればピロリ菌検査も乳がん検診も補助金がでて、検査を受けやすくなるのだけれど。

遺伝的な疾患であるとか、治療方法が確立されていない、発生原因が不明瞭な病気もたくさんある。人間ドックを受信した翌月に脳梗塞で倒れてしまった人も知っている。検査ですべてが分かると言えないことも分かっている。けれども、定期的にお金をかけて検査を受けることができれば、大事には至らず治療をおこなえるケースも増えている。

時間もかかるし、お金もかかる。検査を受けたところで「問題なし」と言われる可能性が高い。だからといってムダだというわけじゃあない。「健康体」というスタンプをペタンと押してもらったんだと、納得して暮らしていけばいいのだ。健康管理にお金を払い渋り、後悔するまえに。検査を受ける習慣をつけませんか?




最後まで読んでいただきまして、ありがとうござます。 スキやフォローしてくださると、とてもうれしいです。