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カササギ殺人事件は、二度楽しめる。

本屋さんで何度も見かけても、なかなか手に取れない本はいくつもある。

上下巻で、読むのに時間がかかりそうだとか。海外の翻訳ものも、わたしにはすこしハードルが高い。海外の生活が今ひとつ想像できないことや、登場人物の名前が、なかなか分かりにくいなど。ほとんどわたし自身の読解力の問題だけれど、なかなか手を伸ばして本を取り上げて、レジまで持って行こうと思えない。

しかし、先日購入し、あっという間に読んでしまった本がある。「カササギ殺人事件」上下巻 アンソニー・ホロヴィッツ著、山田蘭訳。

海外翻訳もので、上下巻。わたしが手に取りにくい条件を十分満たしている。けれども、いつもこの本は、本屋さんで平積みされているし、うーん、読んでみようかなあと一度立ち止まるものの、また今度、と見送っていた。

しかし、4月の半ばごろに服部タカユキさんが猛烈にオススメしているツイートを見かけた。

そんなにオススメされているなら、やっぱり読んでみようかなあ。毎回本屋さんで足を止めて、うーんと悩み続ける未来も、目に見えているし。

そう思って、上下巻をえいっと購入した。

購入したものの、すぐに読み出すことはなかったのだけれど、5月の終わりに、初めて読み始めた。

上巻の始まりの数ページは、「うん? 一体どういう展開になるんだろう?」と、あんまりよくわからないまま読み進めた。これは、下巻の始まり、下巻の最後のあたりにも読み返すことになった。いや、多分、読んだ人はみんな「え? どういうこと?」と思わずにはいられない仕掛けがされていて、はあぁあああと、深いため息をつかざるを得ない。

上巻と下巻では、同じ話だけれど、まったく違う話が展開されていて「一度で二度美味しい」とはこのことだなと、唸るしかない。

何か感想めいたことを書くと、それがどう関わってしまうかわからないので、うっかり感想もかけない。ただただ、「面白かった」としかいえない。

上巻は、ちくちく読み進めていたのだけれど、下巻に入ったところから、読むのを止められなくなった。ちょっとした用事があって、一日有給をとって休んだのだけれど、用事に面している以外の時間は、ずうっと本を手放せなかった。

いやー。本当に面白い。アガサクリスティーのオマージュと紹介されていて、「いや、アガサクリスティーの推理小説読んでないから、分かんないし」と、買うのを躊躇していた。オマージュの部分がわからないと、楽しめないのかもしれないと。でも、全然そんなことはない。オマージュにあたる箇所がわかる人には、さらに楽しみが増える、ということだ。なんなら一冊で三度楽しみがある、ということだろうか。もちろん、知らないから楽しめないというわけじゃあない。わたしはすっかり魅了された。

あーーー、おもしろかった。今まで知らなかったアンソニー・ホロヴィッツの作品を、これから読めるのも楽しみでしかたない。




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