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アスリートに必要な自己分析byうさみ

Madoyaca代表の宇佐美円香です。

私はスポーツメンタルトレーニングを事業の1つにしており、ソフトテニス競技を中心に全国の小学生から大人まで指導させていただいています。
また社会人大学院生として、スポーツメンタルトレーニングの専門家になるためにスポーツ心理学を研究中でもあります。

こちらの記事は前回の記事に引き続き、

スポーツメンタルシリーズの第3弾。

こちらの図の中にもある「自己分析」について

基本的なメンタルトレーニングの流れ

極力簡単に説明していきます。


ここでいう「自己分析」は自分自身の心理的なことに対するものに限定してご紹介します。

緊張・興奮とパフォーマンス

私自身もメンタルトレーニング講習会の中で、特に競技レベルの高い選手を対象に教えるのが「逆U字仮説」です。

このスライドの図をここにも貼り付けると

参考:『スポーツメンタルトレーニング教本 三訂版 』
日本スポーツ心理学会編 pp.109-113 大修館書店(2016)

図の中の「逆U字」になった部分の中央には最適な心理状態として、いわゆる「ゾーン」が存在しています。

人にはそれぞれ最適な心理的なゾーンがあり、
緊張興奮や覚醒などの心理状態が高すぎる場合、一般的に「あがり」の状態になり、焦りなどの心理的反応や力み、震えなどの身体的反応が出てきます。
逆にゾーンに対して緊張興奮や覚醒などの心理状態が低すぎる場合、一般的に「さがり」の状態になり、注意が欠如した、気の抜けた状態になります。(意外と競技力が高い選手にさがりやすい選手も多く、ピンチの時にスイッチが入る人もいます。)

アスリートが常に安定したパフォーマンスを出して成績を残すためには、できる限りゾーンの状態に近づけて試合に臨むことが必要です。
その日の体調や環境によってうまくゾーンに入れていない時には、心理的コンディショニング(別記事で紹介予定)を用いてゾーンに入るようにしなければ、常にパフォーマンスを安定させることができません。

この逆U字仮説の難しいところは、この心理的ゾーンは個人によって全く異なるものになってくるところです。

種目差も非常に大きく、例えば
クローズドスキル(環境が安定し予測がしやすい)の強い体操競技、バスケットボールのフリースロー、ゴルフのショット、テニスのサービスなどでは、心理的ゾーンが左側寄り(緊張興奮の度合いが低い方)にくる傾向があります。
逆に、オープンスキル(環境が変化し環境への適応することが求められる)の強い格闘技やサッカーのようなコンタクトスポーツ、テニスやバレーボールなどのネット型スポーツなどでは、心理的ゾーンが右側寄り(緊張興奮の度合いが高い方)にくる傾向があります。

その上で、選手の個性や気質によっても心理的ゾーンの位置が変わってくるので、この逆U字仮説の話は選手一人一人が自分で、若しくは指導者やメンタルトレーナーと一緒に探していくことが必要です。

心理的ゾーンを探すために行うものの1つとして、ピークパフォーマンス分析があります。

クラスタリング

ピークパフォーマンス(パフォーマンスがとてもいい状態)分析の代表例として、ここではクラスタリングという手法を紹介します。

尽誠学園でのクラスタリング

準備するもの

・A3画用紙
・鉛筆または黒いペン
・付せん(形はなんでもOK)

クラスタリングの手順

クラスタリングの例
  1. 画用紙の中央に最近、自分が経験したよいパフォーマンスを書きます。(たとえば、全国大会で優勝した、最高タイムを出したなど)

  2. なぜ、そのときよいパフォーマンスをすることができたのか、その要因だと思うことを付せんに書いて、1.で書いたもののまわりに貼っていきます。どんな気持ちで試合に臨んだのか、試合前にどんなことを考えたのか、試合を行っているときはどんな気持ちだったのかを書くとよいでしょう。それ以外でも朝ご飯に大好きな目玉焼きが出た、夜10時までに寝たなど、食事・睡眠・生活面のことを書いてもOKです。

  3. その表を見ながら、どんな状態になると自分はよいパフォーマンスが出せるか仲間や家族、指導者と話し、気づくことがたくさんあります。

クラスタリングも、基本的には競技レベルが高い選手に対して行うことが多いです。少なくとも、本番の試合でいいパフォーマンスを発揮したという実感が出てくるレベルの選手、という表現もできます。

もしそこまで競技レベルが高くなくて、あまり試合で勝ったことがないという場合は、練習でよくできたときのことを思い出してください。
最初は、付せんにたくさん書けないことがほとんどです。なぜなら試合のことで頭がいっぱいで、そのときの気持ちは思いだせないことが多いからです。

でも何度か繰り返しているうちに、試合前・試合中に自分の心を見つめるクセがついてくるので、そこから時間をかけて、よいパフォーマンスを出せたときの心の状態にするには、どうしたらよいか探っていくことをオススメします。

今回はとてもパフォーマンスが良かった試合についてのクラスタリングを紹介させていただきましたが、逆に思いどおりにいかなかった試合についても同じような方法で振り返ることも必要です。これはよいパフォーマンスをするために、何をやるべきか明確になるからです。
ただうまくいかなかった試合についてのクラスタリングを行うのはシーズンオフか大切な大会が終わった直後がよいと思います。試合前に悪いイメージを思い出してしまうのはよくないからです。

次回は心理技法の「セルフコントロール」についての記事を書きます!お楽しみに!


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オンラインサロン「ココロの教室」

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