見出し画像

オフィスにおけるフリーアドレス制の落とし穴

どうしても職場に気持ちと身体が向かず、休職期間が延びています。

甘えなのかな?という気持ちも起きますが、以前に2度復帰しようと試みました。

1度目はとんでもない胃痛がおき、救急搬送寸前(なんとか自力で病院へ)までいってしまったので断念。
2度目は、復帰の診断書を書いてもらうも、その日からそれまでに無かったパニックのような発作が出るように。

そこから仕事のことを忘れて過ごすようにして、最近やっと元気になったかなと感じています。過去振り返っても、ここまで身体に出たことがなかったので、とりあえず健康優先でいようと思っています。

もし復帰するにしても、退職するにしても、何が原因だったのか?何が嫌だったのか?を考えないと前進できないと思うので、元気になってきたタイミングで、これまで避けていた原因追求に向き合ってみました。

まず、何が原因だったのかについてですが、身バレしても嫌なのでこれは割愛させてください。ぼんやりとですが、自分の気持ちに蓋をし続けてきたことが長期的に心に負荷をかけ、そこにパワハラめいたことがドンッとやってきて、先に身体に異常が起きて休み始めてしまいました。

フリーアドレス制がやってきた

そんな状態のなか、どうしたら復帰したいか?を考えてみると、1つ大きなことが思い当たりました。

5年間働いていたのですが、途中から「フリーアドレス制」が導入されたのです。

フリーアドレスとは、図書館の閲覧室のように、社員が個々に机を持たないオフィススタイル
-Wikipediaより引用:「フリーアドレス」

そしてその導入を進めるプロジェクトリーダー的なものに抜擢されたのです。抜擢というものの、「若手が主導しました」という冠をつけたかったんだろうという魂胆が透けて見えていましたが。

余談ですが、こういうところをはじめ、「良い職場なんですよ」「トップダウンでなく、フラットな関係を築いているんです」「職場仲が良くて、楽しいです」という雰囲気を押し付けられ、その同調圧力が強めでした。

最初は楽しく働いていたし、やりがいも感じていました。ずっと働きたい!とも思っていたし、時間外の勉強会もなんでも参加していました。

でも、職場に馴染んでくるとその同調圧力的なものに疲れてきました。

仲良くないといけない、クリーンな職場でないといけない、いつでも楽しそうに仕事をしないといけない。前回の記事じゃないですが、それを自分にインストールして働いていたように思います。

話を戻しますが、フリーアドレス制が導入された我が職場。

当時は「働き方改革」という言葉が多く聞かれるようになっていたため、その流れに乗った形です。Google社や総務省の一部の部署でもやってるらしい!との噂を聞きつけてのことです。

やったことは、ざっくりこんな感じ。

1人1台充てられていた事務机を撤去し、フラットな机を設置。
デスクトップからノートパソコンに変更。
空きスペースに立ちスタイルの机を設置。
個人の荷物はロッカーにまとめて収納。

これにより、個人的に変わって良かった点だけ先に述べておきます。

・デスクトップからノートにしたことで、みんなの顔が良く見えるようになった。
 
 
 

以上です。笑
ほんとうに無いんです。今思い返すと。

本来、フリーアドレス制が導入される目的は次のようなものが多いです。

・コミュニケーションの促進
・普段関わらない人との交流による新規アイデアの閃き
・電子化による紙ベース書類の削減
・(シフト制や営業職の人などの)デスク数削減による省スペース化
・その日の業務に合わせて環境を選ぶことによる生産性の向上
(あくまで私が取材、調査した上での見解です)

コミュニケーション、交流をメインに置いているところが多かった気がします。

何がまずかったのか?

さて、それを踏まえたうえで、自社のフリーアドレス化は何が問題だったと感じたか、述べていきます。あくまでも私の見解です。職場のみんなが思っていたかどうかはわかりません。

■ 1人当たりのデスクスペースが減少
■ 仕事の様子が他人に見えない
■ 選ぶことによる「決断疲れ」

1人当たりのデスクスペースが減少

事務机を撤去して新たに導入した、というか、他の部屋にあった机を持ってきたわけですが、これがとても小さかったのです。

事務机の幅が120cmだったのに対し、新しい机は(確か)150cm、そして1つの机に2人掛けというスタイルでした。さらに奥行きも減少したため、ノートパソコンとはいえ、まだまだ紙書類も扱う仕事だったので非常に狭く感じました。

オフィスのデスクサイズについて調べてみると、次のような記事が。

デスクの横幅標準サイズは、1200mmです。
それ以上になると大きいと感じますし、それ以下ですとコンパクトなサイズになります。
■ 1000mm以下
非常にコンパクトなサイズになります。デスクトップではなくノートパソコンを使っている人、営業職などでデスクに座っていることの少ない人に向いています。
逆に、紙の資料などを多く使う人には向いていません。
■ 1200mm
最も一般的なサイズです。デスクトップパソコンを置いても余裕があるので、電話を置くこともできます。文房具や書類を広げて仕事をしても大丈夫です。
■ 1400mm
通常よりもやや大きめのサイズです。図面や資料をたくさん広げて仕事をする人に向いている大きさです。
■ 1500mm以上
モニターを2つ以上置いたり、大型のパソコンを使う人に適したサイズです。もしくは役員クラスの人が使うような大きさのデスクです。
引用:しょくばデザイン|オフィスデスクの選び方のポイント

うちの職場は、1人当たり驚異の75cm!!!

職場には数名、横に大きい方もいらっしゃったので、それはそれはもう・・・という感じでした。

机の大きさを考えるとき、いつも思い出すのがtumblrでスキしたこの言葉。

小さい頃から母親の教えで「作業するときは大きな机でしなさいね。小さい机はアイディアを小さくするから」が染みつきすぎて、どんな家に住んでも大きなテーブルが家の真ん中にある。
( 兎村彩野さんのツイート )※元ツイートは削除されたみたいです><

企画制作の仕事だったので、アイデアは大事。アナログで作業することも多いし、書類も電子化が進んでいるわけではなかった。普通に物を置くだけでぐっちゃぐちゃになる机の上で、常に物たちから「片付けろ〜」というプレッシャーをかけられているような気持ちでした。

仕事の様子が他人に見えない

自分が新人だった頃はまだ固定席だったので、常に指導係の先輩が隣で仕事していました。それゆえ、困っていると声をかけてくれたり、逆にすぐに聞けたりと、自分の様子を見てくれていて、周りもサポートしやすい状況でした。

しかし、フリーアドレスになるとそうはいきません。

フリーアドレスになってから入社した後輩ちゃんがいました。明るくて元気系だったのですが、半年くらいすると顔色が悪くなってきて、2年目に入るとうつの診断を下されお休みしてしまいました。

はっきりとした原因はわかりませんし、本人にも聞いたわけではないのですが、十分なサポートがないまま次々と仕事が舞い込んできて、真面目な彼女は全部一人でこなそうとして潰れてしまったのではないかと思います。

これは私たちの反省でもありますが、新人さんが慣れるまでは、指導係の先輩は常に横に居るべきでした。
理由があれば毎日同じ席で同じ人の隣に座ったっていい。プロジェクトに集中する時期なら、そのメンバーが固まって座ってもいい。むしろそういう自由な使い方をするためのフリーアドレスです。
仕事の滞りに気付いてサポートができれば、声がけができれば、違ったかもしれません。

おそらく皆、本質と活用方法を忘れていって形式的なフリーアドレスを行っていました。なんとなく、毎日違う席を選んで、違う人の隣に座るべし。そんな感じでした。

毎日離れた席に座っていると、同じ係の人でさえ、今何をやっているのか、何に困っているか、見ることすらできません。苦手な作業があっても、それを誰かに頼むことができなくなっていき、どんどん個が強くなっていく感覚がありました。

そしてフリーアドレスの本来の目的である「コミュニケーションの促進」は違う形で機能し始め、仲良しのパートさんたちが集まって座っておしゃべりが止まらないという光景がよく見られるようになりました。おいおい。

選ぶことによる「決断疲れ」

「選択」の話題でよく出るのがスティーブ・ジョブズの服装についてです。
ハイネックにデニムという格好を、「制服」のように着ていました。
他にも、Facebook創設者のマーク・ザッカーバーグも服を制服化しています。
人は1日に35,000回もの決断をしていると言います。その決断を少しでも減らして、重要な場面で使えるように温存しておくのが彼らの目的でした。

ご存じの方も多いと思うのですが、「判断する」ということはそれ自体MPを消費する行為でして、意思決定を何度も繰り返すと、段々と意志決定の質が落ちていくことが知られています。
引用元:決断疲れを防ぐため「部下に判断させない」のも上司の重要な仕事のひとつ

フリーアドレスになって、自由が効く反面、毎朝席を選ぶということにストレスを感じるようにもなってきました。

「あの人の横はいやだ」「後から来るパートさんがここに座ったらうるさいだろうな」「今日は話しかけられたくないな」など、選ぶときにいろんなシチュエーションを想像して、それから決めていました。
自分がいろいろ気にしすぎなのもあると思いますが、これはかなり心的負荷が大きかったと思います。

先に話した後輩ちゃんは、それを嫌がってなのか、誰よりも早く出勤して席を取ってました。

固定席なら、とりあえず自分の席に座れば仕事が始められました。
でも、ロッカーから筆記用具やら書類やら荷物を取ってきて、席を選んで、というアクションが増え、無意識ではありますが「決断疲れ」が蓄積していたんじゃないでしょうか。

そして、コロナ禍になるとさらに選択肢が増えました。
密を避けるために、何部屋かある会議室も仕事部屋として開放されたのです。席だけでなく、部屋まで選ぶというアクションが追加されました。

さっと集中できるように、ある程度の固定化は欲しいなと思いました。
脳に寝る場所だよと教えるためにベッドでスマホを見ないとか、同じような理由でデスクで昼食を取らないとか言われますが、環境が目まぐるしく変わり過ぎて脳みその大部分が適応のために使われていたんじゃないだろうか。

まとめ

そんなこんなで、うちのフリーアドレス制の反省点をまとめてみます。

・電子化進んでないのに机だけ小さくなった
・仕事の滞りに気付きにくい/気付いてもらいにくい
・本質を見失った使い方をしている
・おしゃべりのためのフリーアドレスをする人が出てきた
・選ぶこと、毎日の環境に適応することに脳が疲れてた

もともとうちの部署は平和で穏やかで、他部署から羨ましがれらるような環境だったようです。
それがフリーアドレス制を導入してから(直接的な原因ではないかもしれないが)私含め2人のうつ状態を出したわけです。。。

今回は、自分が復帰するならフリーアドレスは廃止して欲しいなと思い(主導者でしたが)振り返ってみました。

休んだ側からの意見なので、きっと歪んで見えている部分も多かろうと思います。ですが、こういう側面もあるかもよという気持ちで読んでいただけましたら幸いです。

なんかオシャレだから、かっこいいから、Google社もやってるってよ!という感じで飛びついたわけですが、もし過去の自分たちに会えるなら「新しいことが良いこととは限らねえぞ」と殴りたいわあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?