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宿泊代、、その感じが君らしい⑤

『俺、ちょっと風邪気味なんよ』
『そーなん?大丈夫?』
『大丈夫やけど、うつしたらゴメンな』
『大丈夫。私、風邪うつらないから』
そんな会話をしながら、彼の家についた。
彼の家はこんな入り口で、こんなエレベーターでこんなドアだったんだ。

お邪魔しまーす。

先週来た時は、何度もこの家に来たことがあるかのようにリラックスしていたのに、今日は、初めて来たようなそんな感覚。
部屋の中にあるトレーニングアイテムひとつひとつに

これ何?
これ、どーやって使うの?

聞きまくった。

何緊張してるんだろ。

とにかく、何か話してないと落ち着かなかった。

『日本酒やったらあるよ。俺は飲めないけど、、』
『あ、、うん。じゃ、、もらおっかな。』

本当はお酒なんて要らなかった。
ただ、いつものお酒好きの自分でいないと緊張を見透かされそうで恥ずかしかった。
私は、違う人の家に来たのだろうか。
先週、毛玉を取られて、ズボンの破けてるの見つけられて、、そんな事何も気にならなかったのに、今日は靴下の毛玉が気になる。
そんな事を気にしてる自分が恥ずかしい。


あの場から逃げ出したくて、勢いでここに来たけど、酷く緊張してる。
酷く恥ずかしい。

結局私は、日本酒を飲んだのか、飲まなかったのか、覚えていない。
ただ、阪神タイガースのパッケージの日本酒を1人で開けるのは勿体無いな、、、そんな風に思っていた。

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