JALの機内誌のように⑤ 手入れされた森
海外に行くことが難しいので、よく乗っていたJALの機内誌のように昔の思い出を書いてみました。
ヨーロッパにあるルクセンブルクは森の国です。国名の漢字表記では「盧森堡」。国土の多くはアルデンヌの高原と森。
森は奥深く、狼が出てきそうです。グリム童話に「狼と七匹の子山羊」というのがありますが、この童話を子供のころに読んだ時、ヨーロッパには狼がいるんだ、恐ろしく思ったものです。
日本の森林と違って木々の間を歩くことができます。夏はセミがいないため、森の中は昼も夜も静まりかえっています。狼だけでなくニンフ(精霊)が出てきそうです。
この森、実は丁寧に手入れされていることをたまたま知りました。それまでは原生林だと思っていました。
大学の農学部出身の人が来訪されたときのことです。車でレストランにランチに行った帰り、森の国であることを紹介するために遠回りして案内しました。
「このように、森の国なんですよ」
「これはよく手入れされた森ですね」
「えっ?」
「大学時代にヨーロッパの森のことを授業で聞きましたが、初めて実物を見ました。地面の色が赤いのも初めてみました」
「そうなんですか?原生林かと思っていました・・・」
「学生時代の講義が蘇ります。よいものを見せてもらいました。これが本物のヨーロッパの森なんですね・・・。まさかここで見ることができるとは思いませんでした」
手入れされている、、、、。
散歩してみるとこのような光景に遭遇します。たしかに伐採しています。伐採した木は、、、。
ルクセンブルクの家には暖炉があります。伐採した木は暖炉の薪になります。薪はホームセンターやスーパーで売っています。隣近所の家を見ると夏の間にまとめて薪を購入して家の外に置いてあります。雨や雪に直接当たらないように屋根があるところに置いてあります。
薪は乾燥していませんから、暖炉で燃やすと、薪に含まれた水分がシューという音を立てます。湿っていてもよく燃えます。暖炉の熱は壁を伝わり家全体を包み込みます。
薪のもととなる森の木を伐採し間引いているので、新緑の頃には太陽の光は地面にも届き、若い木が育ちます。
ルクセンブルクは豊かな国ですから、森を丹念に手入れすることができるのかもしれません。
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