19.メイドインローカルストーリー#10 メイドイン大阪岸和田/(株)留河 『順番待ちのできる「ねこねぐら」』
■保護猫カフェ「ねこんチ」協力。
気が付けば「順番待ち」になっていました。
「ねこねぐら」の開発には欠かせない協力者が存在します。
「ねこねぐら」の試作品を置いてもらったのは、岸和田の隣町、泉大津の保護猫カフェ「ねこんチ」でした。
出来上がった試作品を持ち込んで、
「しばらく置いてみてください」
とお願いしました。
そして、1か月。
「ねこんチ」を運営する室山ひとみさんはニコニコしながらこう言いました。
「もうこの子、クロっていうねんけどね、これはもう自分のもんや、って思ってるみたい。
で、クロが入ってなかったら、この子とかこの子とかも入ってるんよ」
そう、順番待ちが発生するキャットハウスになっていたのです。
■スタートは桐の良さをもっと知ってもらいたい、と願う桐箪笥職人のアイデアでした。
桐だからこそできる「大事なものを守る」こと。
キャットハウス「ねこねぐら」を作るのは、
大阪府岸和田市にある桐箪笥製造の(株)留河です。
社長の留河昇氏は、
桐箪笥職人です。
昇氏は願っています。
桐箪笥は多くの人の手元にあるものではない。
でも、桐を熟知している桐箪笥職人だからこそ、桐の良さをもっと広く知ってもらいたい。
桐の良さは
「調湿性」「密閉性」「虫が付かない」「火に強い」・・・
これらの特性が生かされて、伝統工芸である桐箪笥は今も需要があります。
この特性をいかんなく発揮できるもの、そして桐の良さを広めることができるもの。
それが、昇社長が開発した「桐の米びつ」でした。
ただ、昇社長が新商品を開発するときは、
その特性からではなく、
桐の役割を突き詰めて考えます。
桐箪笥は、着物や衣類をその特性で守ってきた。
米びつはまさに米を、そして米のおいしさを守るものだ。
桐の役割は「大事なものを守ること」だったのです。
では、他に、私たちにとって大事なもの、って何だろう。
家族、そう、飼い猫は家族同然、いや、家族じゃないか。
大事なもののために、桐を活用する。
「木のぬくもり」は猫の快適のために。
「虫がつかない」は猫の衛生面も。
「柔らかい木質」は爪とぎにも。
「軽さ」は飼い主の利便性にまで。
こうして、
キャットハウス「ねこねぐら」は開発がスタートするのです。
あなたの、大事な家族のために。
■最初の試作品は小さかった・・・
大きくして、開口部も大きく。
開発ストーリーをすこしだけ。
最初に「ねこんチ」に取材に行ったときは、
まだ試作品は影も形もありませんでした。
心配だったのは「桐の香り」です。
もしかしたらこの桐の香りを嫌うかもしれない。
そこで留河が作っている桐製品をダンボール箱に詰めていきました。
ありがたいことに、箱を開けると猫たちは興味深々。
ダンボール箱に入ってくる子もいれば、桐箱を鼻でつっついている子も。
さらに、「ねこんチ」の室山さんから、猫にとっての「居心地の良さ」とは何か、
飼い主はどんなキャットハウスが欲しいのか、などもヒアリングしました。
そして、これならいける、と試作品にとりかかります。
最初に製作した試作品は外寸で直径約30cm。
意気揚々と試作品第1号を持って行ったのですが・・・。
最初、猫たちは当然のことながら興味深々。
でも、小さすぎて入れない。
「これだと、3~4kgの子猫くらいしか入ってくれないね。。。」
と室山さん。
そこで、次は外寸直径42cmの試作品を持っていきます。
すると、上から、横から、入る入る!
「この子、何キロですか?」
「5キロくらい。5~6kgの子は余裕やね!さて、でかい子が入ってくれるかな・・・」
と言っているうちに8kgクラスの猫が。
ちょっと窮屈そうですが、よっこらしょ、って感じで入ってくれました。
そうなると、あとは「ここ、私の寝床だから」と言わんばかりの面持ちです。
でも、ちょっと横の開口部が小さい。
でも、あまり大きくしすぎると、落ち着ける暗さが実現できない。
そこはさすが桐箪笥職人。
すぐに持って帰って、すぐに横の開口部を絶妙に広げて、すぐに持っていきました。
そして、そのまま「ねこんチ」に置いてもらいました。
こうして、
「順番待ちのできる桐のキャットハウス『ねこねぐら』」の姿が完成したのです。
保護猫カフェ&猫ホテル「ねこんチ」
大阪府泉大津市池浦町1-1-19 小澤ビル2F
made in local onlineshop