マダム

32歳、娘が1歳の時にスキルス胃癌ステージⅣと宣告される。それから3年。今では胃が無く…

マダム

32歳、娘が1歳の時にスキルス胃癌ステージⅣと宣告される。それから3年。今では胃が無くなっても元気にフルタイム勤務。死がゼロ距離に迫ってきた体験から世界の見方が少し変化した。そんなお話。

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「アクセイシュヨウ」から3年。変化した世界を綴ろう。

初めまして。マダムです。 マダムだけど35歳の男性。娘(4歳)妻の3人家族。仕事は企業で人事をやってます。 そんな僕には胃がありません。 なんらな脾臓も胆嚢も横隔膜の一部もありません。 2017年10月3日に会社で倒れ、その日の夜に医者から沈痛な面持で「アクセイシュヨウ」ですと言われました。 「アクセイシュヨウ」って・・・?もしかして「ガン」ってこと・・・? その日から昨日で3年。 スキルス胃癌ステージⅣ、5年生存率7%未満、から僕は今も生きている。 目の前に

    • わが家って素晴らしい

      今でもたまに入院していた時のことを思い出す。 そこには自分と家族の、モノも、空気も、色も、匂いも、思い出も、何もない。 借りてきた場所。無機質で機能的な場所。 1ヶ月半そこにいた後、家に帰ってきた時の安心感はハンパじゃなかったなぁ。 止まってた時が動き出したような感覚だった。 あーここが自分の居場所だって思った。 よく終末期の人が「家で死にたい」と言っているが、気持ちがよく分かる。終わりよければ全てよしで、最期の最期が病院だと、いくら充実した人生を歩んできたとしても清々

      • 抗がん剤を休薬することになりました

        2017年10月3日。 朝礼中に気絶し血を吐いて、その日の夜には医者から悪性腫瘍と言われた。 そして1週間後にステージⅣ宣告。 急転直下、11月から始めた抗がん剤。 手術前、手術後、薬種や摂取方法を色々変えながら3年以上切れ目なく続けて来た。 そんな薬を遂に。今日から休むことにした! 病院の帰りに薬を貰わない初めての日。 とても感慨深い。 当然自分はかなり頑張ったけど、沢山の人に支えられたおかげで頑張れた。 治ったわけではないけれど今この地点に来れたことが奇跡であ

        • 本当に苦しい時にかけられて嬉しかった言葉。

          「どうでもいいですよ」で知られるピン芸人のだいたひかる。 4年前に乳がんになってしまい、再発したものの子どもを作る為抗がん剤を止めて不妊治療再開、というネタを朝の情報番組でやっていた。 がんネタは多くの人の関心事なので、視聴率をとれる優良コンテンツなのだろう。ワイプに映る芸能人が涙を流している姿を見て「は?」と思うこと度々。 またがんを食い物にしてるのかと思いながらも眺めていると、だいたひかると旦那さんのエピソードが紹介されていた。 病気になってつらい中で迎えた誕生日

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        「アクセイシュヨウ」から3年。変化した世界を綴ろう。

          胃がないってこんな感じ。

          僕には胃がない。 癌が目一杯拡がっていた為、2018年2月の手術で全摘した。 それから2年半以上経ってやっと胃がない身体に慣れてきた。 胃のある人からすると「それって…どんな感じ?」と思うかもしれないので書いてみる。 胃が無くても問題はない。 人間の身体は凄くて、臓器のひとつやふたつが無くなっても元気に生きていける。 胃もそんな臓器のひとつ。 そもそも、胃の機能は食べたものを消化して腸で吸収しやすくすることと、貯蔵をすること。 その機能は、よく噛むことと一回あたりの食事量

          胃がないってこんな感じ。

          生きる意味とか理由なんて、ほんとは無い。

          「自分が生きてる意味ってなんだろう」 誰しも一度はそんなことを考えたことがあるだろう。 もしかしたら今現在、悩んでいる人もいるかもしれない。 そんな人に伝えたい。 人間には本質的には生きる意味なんてない。 9時間の手術を経て身体がぼろぼろになり、全く動けなかったベッドの上で僕はそう感じた。 1秒を生きるのに必死で、痛みに耐えながらとにかく呼吸をして時間が過ぎることだけを目的にした時、そこに意味なんて何もなかった。 あったのは動物的な生存本能だけ。 その経験から、

          生きる意味とか理由なんて、ほんとは無い。

          全ての医者に求めたい、たったひとつのこと

          この3年間の治療で、延べ15人の医者に会ってきた。 運び込まれた病院で最初に見てもらった先生、セカンドオピニオンの先生、治療先を決めるための病院めぐりで出会った先生、手術をしてもらった先生・・・ それまで医者という人種と接する機会なんてほとんどなかった。 だから医者と言えば、頭が良い、高年収、合コンでモテる、とかそんなイメージだけだった。 そんな僕がたくさんの医者と接してきて感じた、これだけはお願いしたいと思ったこと。それは 患者へ想いを寄せて欲しい。 え、そんな

          全ての医者に求めたい、たったひとつのこと

          「Time is Money」ではなく「Time is Life」

          時は金なり、という言葉がある。 これは間違っていると思う。 時は「命」だ。時が尽きた時、命も尽きる。 つまり時間を何に使うかというのは、命を何に使うかということ。 そして人の時間を使うことは、その人の命を使うこと。 人生は砂時計みたいなものだ。 上から下に砂は落ち続けている。 いつか全ての砂が落ちきる。 その砂の量があとどれくらいなのかは分からない。 貴重な時を何に、どう使っていくかをよく考えよう。 人生の目的に繋がることをして、そうではないことはやらない

          「Time is Money」ではなく「Time is Life」

          死から得た「なんのために生きるか?」という問いへの解

          人間は必ず死ぬ。 みんな分かってる。 なのに、まるで生きることが当たり前で、永遠に生きているかのように毎日を生きている。 だから「なんのために生きるか?」なんてあまり考えないと思う。 イケてる起業家とか、維新の志士でもない限り、そんな大袈裟なことは一番後回しの問いではないだろうか。 ところが死と触れ続ける期間を通して僕は否が応でもそれを考えた。 最初の問いは「俺は生きたいの?」当時、悶々とした気持ちをたくさんノートに書き出して必死に心を整えようとしていた。その時に、ふと、シ

          死から得た「なんのために生きるか?」という問いへの解