マガジンのカバー画像

よみもの

41
比較的よく見て頂けている記事や、個人的によく書けたなと思うもの、より見てもらいたいなと思えるものなど、「こんな感じの記事を書いているよ」というのが伝わりやすそうな記事をまとめまし…
運営しているクリエイター

#創作

はみだす、ふみだす、うみだす、はぐくむ

はみ出してゆく 抑えきれないきもちが 踏み出していく みずから飛び込む 生み出してゆく まだ見たことのない世界を あるいは、 生まれないまま、 目に見えないものを、見えないまま 形のないものを、形のないまま 名づけもしないまま あるいは、ただ名を呼んで、はぐくむ きもちがある そのきもちに触れるものに 出会うために はみ出してゆく、 踏み出していく もっと大きくなるために、もっと拓いていくために、 切り分けられるものは切り分けて、 切り分けられるはずもないものはそ

生きてよ

ないしょ、 ないしょ、 ないしょのはなしは、していいの? ないしょだよ、 ないしょだよ、 ないしょってことだけ教えてあげる! なんのこと? いつのこと? だれのこと? ぼくのこと? ここは、 行き止まりだよ! ここから先に、 行きたいの? 本当に? 本当に? 本当かなあ? 本当に、ここから先に行きたいのなら、 ここは通らないはずだなあ? 本当に、ここを通りたかった? 来てみただけだね? いいよ!引き返していいよ。 いきろ、 いきろ、 君に教えてあげる! ここから、真っ

それでも、いっしょにいよう

ぼくたちの時間だよってきみが言う。 ぼくたちは、いつからぼくたちなんだろう。 ぼくたちは、ぼくたちだから、さみしくても、さみしくないんだよ。 だけど、もっとみんな、いっしょがいいね。 どこかにいるひとりぼっちに、教えてあげられたらいいな。 ぼくたちがいるよ。 あなたはそこでひとりぼっちでも、大丈夫なんだよ。 あなたはいるよ。 いなくならないんだよ。 どうしたら、見つけられるかな。 ひとりぼっちの、あなたがいるなら、ぼくたちはいていいんだって信じられる。 ぼくたちは、ぼく

生きるから見ていて

「生きているだけで、生きていたい」 僕たちが君にとっての「家」になれるのなら、僕たちはいつだって「ここ」に居るよ。 君の還る場所はもっと奥深くにある。 その「心の場所」を守る「家」でいるから。 君は「ただいま」を言いたいんじゃない。ずっとここにいたいんだ。 君がずっといられる場所を、僕たちが守るから。 君のための僕たちの「家」が、誰かにとって、そうだな、たとえば「楽しいお店」になるといいな。 「見ているだけ」でも構わない。 安心して「見てるだけで楽しい」と思える場所にす

いないことにしないでよ

心の底から、わたしはわたしがいい。 他の誰も、このわたしを抱えて生きてはゆけないだろう。わたしだから今も生きている。 だけどわたしを支えるわたしを、支える誰かがいる。 ひとりで歩くわたしを、何かが守ることはないけど、わたしの歩く道を守ってくれるひとが、誰か、いる。 そうしてわたしは一人で生きている。 わたしが抱えるべきわたしを、わたしが生きるべきわたしを、わたしにしか生かせないわたしを、生きることができる。 意識は他者とのつながりを避けられない。生き物に組み込まれた社会とい

上昇する、脈を打つように歩む

風呂あがりに洗面台の前に立ってスキンケアをする。手のひらに出した少量の化粧水をもう一方の手で広げて馴染ませるのが好きだ。丁寧なスキンケアはあまりしない。毎日素早く顔を洗う。化粧水を使うにしても、多少潤う程度でいい。でも、時々は質感の重いものにも触りたくなる。香りのするものは本当にときどき。好きな匂いは落ち着く。元気がない時はむしろ匂いがしないほうがいい。好きなものは、気分がいい時に取っておく。 湯に浸かって薄ら充血した目と目が合う。ぼんやりした顔を鏡に映して、強烈に幸せを感じ

きざす想いは音もする

色はきれいだ。「好きじゃない色」はない。全部の色が「あるだけで嬉しい」。単色がきれいなのは当たり前だと思う。ふたつ以上の色を合わせると、何かの気持ちが起きる。 たくさん重ねてひとつひとつの色が一見わからないくらいになっても、見ればそこに一筆一筆のタッチがあると、「萌え」だなあと思います。萌えは結構プリミティブなものかと思う。息吹を感じる。たくさんあると嬉しい。みんないるから嬉しい。心の芽がきざす。 わたしの中に、単色も混ぜた色もあるから、きっとわずかでも「誰かが何かを」加

「解放」

あなたとはちゃんと話をしておかなければいけないと思っていた。 はぐらかさずに、わたしも、逃げずに、ちゃんと向かい合って。 それは本当の姿じゃないんでしょう。 わたしはどこかで分かっている。だけどあなたは理解を望まない。 「君は本当はみんな解っているんだろう」 そんなさみしい顔をしないでよ。 (あなたはわたしから逃れたいのではないのだな) どこかで巡り会う必要があるのなら、放たなければ。 ずっと閉じたところに置いておくのではなく、開いて、広い世界を泳いでいって。そうして

怯むなよ何も間違っていないんだから

「ここで生きていたいのに  わたしは、あなたのことが解らない」 真面目だなあ、そんな深刻に考えることじゃないのに 愛されるってそんなに重たいことなのかな 「だってそうだよ、  本当なら殺したり殺されたりすることだよ  命に代えて何か生み出すことだよ  わたしは  いつだって恐ろしいよ  生かしたり殺したり  生んだり生まれたり」 毎日、毎秒、絶え間なく起きていることだよ 「常ならば怖くないということにはならない  絶えず感じている」 目を 耳を塞げばいい? 「

ようこそ 君はその扉を開けたんだよ おいで そちら側からしか開かないその扉を 君がその手で開けたんだ  君がやってきたから 開いたんだよ  こわくない 二度と帰れない場所なんかじゃない  さあおいで 扉の向こうの世界へ  こわくない たのしい時間の始まり  たのしいね たのしいね

高くよりも遠く跳ぶのが得意だった

雨じゃなきゃ行けない場所がある。 沈まなきゃ、闇じゃなきゃ、行けない場所がある。会えない相手がいる。見えないものがある。 いつもは行けない、会えない、見えないものに会うときは、 帰れなくてもいい。 違う、 帰る方法は知っていたほうがいいだろう。 でも、帰れなくなる覚悟はしておいたほうがいいだろう。 なぜなら、帰りたくなくなるから。 夏に、海に、夜に 森に、雪に、土に、 彼方に、 雨に ひとりで呼ばれる気がしたら、 ひとりで行ける準備をして、 一度行ってみるといい。 も