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新執行役 グローバルCTO 井上賢さんに聞きたい7つのこと

2022年1月よりマクロミルの執行役 グローバルCTO(最高技術責任者)に就任された井上賢さん。全社キックオフでの所信表明後、社員からは「今後の期待が高まりました」「これからご一緒できるのが楽しみ」などの感想が寄せられました。なかには「井上さんのお話をもっと聞きたい」という声も。そこで今回は井上さんに、社員から寄せられた7つの質問に答えていただきました。

井上賢さんプロフィール
獨協大学 外国語学部 フランス語学科卒業、早稲田大学 経営学修士課程修了。機械翻訳の技術営業、SIを経験後、マイクロソフトに入社。同社でIT部門東アジアリージョナルマネージャ、インターネット部門、エンターテインメント部門の開発責任者を日本、米国本社にて歴任。その後サービス企業のCOOなど、ハイテク企業で20年以上にわたり運用、財務管理、製品開発、事業開発、プロセスエンジニアリング、市場開拓戦略等の管理経験を持つ。

※本記事は社内報「ミルコミ」Vol.167(P28~33)に掲載した内容から掲載しています。マクロミルの社内報は社外公開していますので、ぜひ他コンテンツもご覧ください。


井上さんのプライベートを大解剖!

まずは井上さんの人となりを知らないと話が始まらない!ということで、皆さんからの質問にお答えいただく前に、広報の岩原がいくつかプライベートなお話を伺いました。

 ITへの関心は趣味で始めたプログラミングから!

― ITへのご興味はいつ頃からお持ちですか?

井上さん:私が小学生くらいの時ですかね。その頃は、コンピューターサイエンスやその類の専門学校がない時代だったのですが、半導体やパソコン、マイコンのブームが起きて、趣味でやっている人が多くいました。ただ、その当時のコンピューターは非常に高価で簡単に買えるものではなかったんです。中学生の時に電卓サイズのポケットコンピューターを買ってもらったことを機に独学でプログラミングを学び、高校生になってからようやくコンピューターを買ってもらいました。その趣味の延長で、ITの仕事にも自然と興味を持つようになりましたね。

大学時代は勉強とアルバイトで大忙しの毎日

ー 学生時代に取り組んでいたことは?

井上さん:
大学では外国語学部に在籍していて、フランス語を専攻していました。外国語学部なだけに英語の授業が多かったのですが、実は英語よりも先にフランス語を話せるようになったんです。その他にも、中学・高校の教職課程を取ったり、大学・大学院の学費を稼ぐためにアルバイトをしたりと、振り返れば大学生の頃は勉強とアルバイトで大忙しでした。ちなみに今はフランス語を使う機会がなかなかないですが、前職は社内にヨーロッパの方がいたのでたまに話していましたね。数年前、パリへ出張に行った時はフランス語を使うのが久々で、初日は言葉が全く出てこなかったのですが、3日ほど経つと徐々に思い出してきて、意外と覚えているものだなと思いました。

仕事とプライベートは上手く切り離すタイプ

ー 仕事のオン・オフの切り替え方は?

井上さん:
仕事とプライベートは完全に別で考えており、オン・オフの切り替えは自然にできていると思います。仕事に関してはもちろん一生懸命やりますが、緩急も大事ですよね。また、どんな時も今自分と話している相手が一番大事ですし、どうすればその人に価値貢献できるかを考えます。ですので、家でプライベートな時間を過ごす時はもちろん家族が第一。こういった考えで、仕事とプライベートを切り分けています。

せっかくなので仕事で大事にしていることもお伝えすると、今私はCTOという立場ですが、メンバーに行動を細かく指示するよりは、「自分でやってごらん」と言うことが多いです。人は結果ではなく過程で学ぶことが多いですし、失敗しても上司の責任なのだから、とにかく挑戦してみなさいと。人によっては指示がないのが嫌な方もいるかもしれませんが、プロとして成長してもらうためにそういったスタイルでマネジメントをしています。

品川本社に新設されたCTOルームで業務をされる井上さん

カメラとジャズピアノはプロ級の腕前!

ー ご趣味について教えてください。

井上さん:
フィルムカメラとジャズピアノが趣味です。カメラは、10年ほど前にアメリカへ移住した際に始めたのですが、「この写真は見る人にこんな風に伝わるかな」と想像しながらシャッターを切り、未来に向かって想像を企てるのが楽しいですよね。後から撮影した写真を見ると、「あの時こうだったな」と、当時の情景が思い出されますし、一度シャッターを切ってしまえば、過去の写真は変えられない点もフィルムカメラの良い所です。

ピアノに関しては、実は元々ピアニストになるのが夢でした。高校まではクラシック音楽を勉強していたのですが、それだけでは食べていけないと分かり諦めてしまったんです。しかしその後、娘がピアノを始めたことがきっかけで、私ももう一度始めました。自分を表現できるジャズが好きで、譜面通り演奏するのではなく、自分で曲を書いてアレンジをしてみたいと思ったんです。最近までバンドを組んでいたので、コロナ禍前は音楽のイベントにピアニストとして呼んでもらったり、お酒を飲むような所で演奏したりしていました。

井上さんが撮影されたお写真の一部。ご趣味のピアノをパシャリ。
「モノクロの写真が好きです」(井上さん)

井上さんのこれまでの歩み

ー 過去にどのような仕事をされてきたか教えてください。

井上さん:
複数の企業に在籍し、幅広い領域で管理経験も積んできました。就職活動の頃から振り返ってお伝えすると、まずは大学時代に専攻していた外国語を活かせる仕事がしたいと思い、機械翻訳の事業を行っている企業の下請け会社の研究所に入りました。研究職で入社したものの、バブル崩壊による業績の悪化から、営業を担当することもありました。機械翻訳は当時先進的な技術だったため、外資系の企業の営業を担当することも多く、そこからのご縁で約2年半後にマイクロソフトへ入社しました。

マイクロソフトには20年以上在籍しましたね。最初の7年はアプリケーション・ITの開発、次の7年はインターネット製品・サービスの開発、最後の7年はPC・モバイルのゲーム類の開発を行うエンターテインメント事業を担当しました。出張で日本とアメリカを頻繁に行き来していたこともあり、2011年にはアメリカへ家族と移住し、永住権も取得しました。しかしその後、アメリカ国内の状況が悪化したことや、娘から「将来は日本の大学に行きたい」と言われたことを機に、娘の高校受験のタイミングで日本に帰国したんです。アメリカでは最後の1年間、友人とコンサルティングのスタートアップ企業を立ち上げており、そのご縁で株式会社TAKARA&COMPANYの子会社にコンサルタントとして入社後、COO(最高執行責任者)も経験しました。その後は、AmazonでAIの導入を手掛けたり、前職のシステムインテグレーションの会社ではCDO(最高デジタル責任者)を務めたりしてきました。

「どの仕事も大変でしたが、常にやりがいを感じていましたね」(井上さん)

ー 20年以上勤務されたマイクロソフトで、特に印象に残っている経験は?

井上さん:常にチャレンジをしていたので一つ挙げるのは難しいのですが、最後に手掛けた組織改革は痛みを伴うものだったこともあり、印象に強く残っています。数百名で行っていた業務プロセスを見直し、数十名で対応できるように仕組みを作るプロジェクトを担当しました。結果的に成功して評価や感謝をされた一方で、かつて一緒に仕事をしてきた仲間の任を解く必要もあり、心苦しいミッションでしたね。こういった大変な仕事も多くありましたが、どの仕事にも本質的な価値があったので、挑戦的なミッションにも前向きに取り組んでこられたと考えています。

他に印象的なエピソードをお話すると、入社直後はそこまで人数の多い会社ではなかったので経営との距離も割と近く、日本にビル・ゲイツ氏をお招きして食事会が開催されることもあったんです。企業のトップがいらっしゃると聞き、その時はご挨拶ができる程度かなと思っていました。しかし、当時私がOffice製品の担当で、ちょうどアメリカの製品を韓国で発売するタイミングだったこともあり、「アメリカの製品を韓国語版にするか、それとも日本の製品を韓国語版にするか、どちらが良いと思う?」といきなり質問されたんです。入社直後かつ英語もよく話せない中で、急に核心を突くような質問をされ、非常にどぎまぎした覚えがあります。

社員が聞いてみたい7つのこと

井上さんの人となりやご経験について知ってただけたところで、ここからは実際に社員から寄せられた質問にもご回答いただきます。
※社員の部署名は2022年3月時点のものを記載しています。

井上さん:常に、今取り組んでいる仕事に一番やりがいを感じます。今までやってきた仕事に満足でき、さらに多くのことを学ぼうと思ったら毎日勉強をしなければならないですし、より大きなチャレンジをしていく必要がありますよね。そうやって自分でバーを上げ続けているので、どこかにピークがあるような考え方はしていないです。ただ考えすぎてしまうとやらない理由も沢山思いついてしまうので、失敗を恐れず、できるだけ楽天的に考えるようにしていますね。

今のチャレンジは、マクロミルの中で「変革をドライブする」ことです。例えば、今現場ではキャパシティ不足の課題がありますが、皆さんが納得する形で解決していくために、最近ではリサーチディレクターの皆さんにご協力いただき、数時間、業務を拝見させてもらいました。まだまだ勉強中なので、今後もあらゆる部署の方とお話して現場を知っていかなければなりません。それがチャレンジであり、「改善できる所が沢山ある」のがやりがいですね。「もうこれ以上改善点はありません」だと、そこで終わってしまいますが、今のマクロミルには改善の余地が多くあると思うので、私が価値貢献できる部分も多いと考えています。

井上さん:自分に何か苦手なことがある時に、それについて「今日何をできているか」を振り返ることだと思います。例えば、「英語を話せるようになりたいんです」という人がいて、「じゃあ今日は何をやったの?」と聞いてみると「特に何もやっていないです」って言うんですよね。今日何もやらなければ、明日も今日の自分のまま。それが数年後に大きな違いになります。なので、必要だと思ったことは毎日続けることが大事だと思います。

私の経験をお話すると、英語は就職後に少しずつ習得していきました。マイクロソフトに入社したばかりの時、英語を一言も話せないのに「キックオフで、英語でプレゼンテーションして」と言われたことがあったんです。とにかく資料だけは自分で話せるように作ったのですが、海外の方から質問をされた時に、言葉の意味が分からず上手く答えられませんでした。質問者の方が色々と言葉を言い換えて聞いてくださったものの、あまりにも私が理解できなかったせいで怒らせてしまい、会議中に机を思い切り叩かれてしまう始末でしたね。すごく恥ずかしくて、あんな想いは二度としたくないと思いましたが、だからこそ「今やらないと!」という気持ちになりました。マイクロソフトでは「泳ぐか溺れるかだ」という言葉をよく言われるのですが、その精神が今も私の根本にあるのかもしれません。マイクロソフトの社員は皆、プロとして自分のコンピテンシーを少しでも磨こうと必死だったように思います。

井上さん:神様ではないので世界観を答えるのは難しいのですが(笑)。今後取り組んでいきたいこととして、皆さんが元々持っている、明るく前向きで、一生懸命仕事に向き合うというコンピテンシーをいかに引き出すかには取り組みたいですね。過去は変えられませんし、相手を抜本的に変えることも不可能なので、未来に向けて、中期経営計画の実現のために、具体的に何ができるかを考えていくことになると思います。世界中どこの企業でも「良いものを作る=持っているものを統合してさらに良いものにしていく」ことだと考えているので、私もマクロミルで「心の底から努力して良いものを作ろうと思えるチーム」を作り上げていきたいと思っており、人材育成や教育に多く携わることになると思います。

井上さん:様々な部署の方とお話させていただきましたが、マクロミル全体で言えばもう十分な知識があると思います。むしろ課題は、その技術を活かしきれていないことです。なので、ご質問にお答えすると、今の皆さんには「発想」が必要だと思います。厳しい言い方かもしれないですが、十分にある技術を活かせていないのが自分たちの問題だと気付けていないことも課題の一つですね。でも、この課題は今までベストの選択を重ねてきた会社だからこそ生じたものだとも思うので、これから次のステージに向けてより良い状態を考えていきたいですよね。

少し話が変わりますが、現在ヨーロッパでは「応用コンピューティング」が主流になっています。今までのITやコンピューターサイエンスと違い、実現したいビジネス課題に対して、幅広いカードの中から「このビジネスに対してはこれを使えば良い」と判断できるのが応用コンピューティングで、その分野の一部としてニューラルネットワークや機械学習があるわけです。欧米や中国、インド、韓国では、ありものを組み合わせて、新しいものを開設する方向にシフトしています。一方で日本は、これだけ世の中にITが普及していて、新しく何かを作らなければいけないケースはほとんどないはずなのに、一から作ってしまうことが多いですよね。マクロミルも同じで、「今あるものをどう応用すればさらに大きな価値を生み出せるか」といった発想が非常に重要だと思います。

井上さん:AIの中にも様々な種類があるのですが、「教師あり学習」に関しては言語の壁がなく、すでにグローバルに取り組まれているので、何をやっても一瞬にして海外プレイヤーが参入してくる可能性があります。ですが、マクロミルのサービスは自社でデータを生み出すことができ、かつ技術的な縛りもないので、発想次第で様々なことが実現できると思います。これもQ4の話と繋がりますが、極端な話、どんなサービスでも良いと思うんです。購買者のデータでも、ヒト試験でもAIを使った推論はきっとできると思いますし、どのサービスに関しても発想次第でグローバル展開をする準備はできていると思いますよ。自信を持って世界に広めて良いと思います。

井上さん:何百冊もあるので決められないのですが、どの分野でもバイブルと言われている本や、一次情報として参考文献に引用されるような書籍に触れた方が良いと思います。コピー&ペーストで書かれたサイトをいくら読んでも力にはならないと思っていて。プロの力というのは、読み込んだ書籍に比例するという信念があります。なので、私自身何かを極めたいと思ったら、その分野のバイブルと呼ばれている本を分からない所がなくなるくらい読み込みますね。「簡単!●●」といった初心者向けに分かりやすく書かれた書籍も、入り口としては良いと思いますが、そこには必ず参考文献が書いてあります。まずはその書籍を読み込み、分からない部分があれば参考文献にされている書籍を辿って読んでみるのが良いと思いますよ。

井上さん:正直、座右の銘はないのですが、マクロミルのValuesで言うと「Be True, Be Open」がとても気に入っています。他の3つももちろん素敵だと思いつつ、「Be True, Be Open」だけは自分でプレゼンテーションすることができない点が素晴らしいと思っています。これだけは人間性に関わる深い部分ですよね。当たり前ですが、仕事をする上で口先と行動が一致しているかは重要です。もちろん、時にはチャレンジして失敗することもあるので合わないこともあるのですが…。ぜひ皆さんにも大事にしていただきたいです。

井上さんから社員の皆さんへのメッセージ

マクロミルに入社したばかりで、まずは皆さんから様々なことを学ばせてもらっている状態です。力を発揮するまでもう少し時間がかかるかもしれませんが、皆さんと沢山話をして、現場を理解しながらミッションにチャレンジしていこうと思います。頑張りますのでぜひご協力いただけると助かります。これからどうぞよろしくお願いします!

「現場の方々の業務プロセスをしっかり理解して、サポートしていきたいです」(井上さん)

※本記事は社内報「ミルコミ」Vol.167(P28~33)に掲載した内容から掲載しています。マクロミルの社内報は社外公開していますので、ぜひ他コンテンツもご覧ください。

この記事を書いたのは…

<写真撮影>
マクロミル コーポレートコミュニケーション・IR本部 柳川亜紀子

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