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130万人のマクロミルモニタ会員とつながるコミュニケーション設計とは?|データが創る新しい社会(1)

マクロミルは、顧客企業のマーケティング課題を解決するために年間3万件以上のリサーチやデータ分析等のプロジェクトを実施しています。そのビジネス基盤を支えるのが、130万人の「マクロミルモニタ」です。マクロミルモニタの皆さんには、日々アンケート回答や許諾済のデータを提供いただいています。それらのデータはやがて様々な企業の商品やサービスの改善・開発への大きなヒントとなり、より便利で暮らしやすい未来の創造へとつながっていきます。

現在、社会全体でDXやデータの利活用が進む中、2022年4月に改正個人情報保護法が施行されたり、大手プラットフォーム各社によるCookie規制が進んだりと、ビジネスにおいてパーソナルデータをどう扱うか重要性が高まっています。
このような時代の中で、マクロミルはモニタの皆さんとどのようにして信頼関係を構築しているのか、「データが創る新しい社会」をテーマに、様々な切り口でご紹介していきます。第1回目では、モニタ全体の新規流入や定着してもらうためのコミュニケーション設計と取り組みについて、Webマーケティングを担当する小松拓也がご紹介します。

1.リアルでフレッシュな声を届けるために、常に新陳代謝を繰り返す

マクロミルモニタには、6歳から90歳に至るまで、幅広い年齢層の方々に会員登録の上、アンケートの回答にご協力をいただいています。なかには20年以上にわたりモニタを続けてくださっている方々もいらっしゃいます。

まず、お伝えしたいのは、冒頭にお伝えしたマクロミルモニタの「130万人」という会員数は、基本的には常時一定で、増加も減少もしないということです。数年来増えも減りもしていない公式な数字です。この会員数には、数値だけを大きく見せるために、例えば、年単位でログインもしていないが退会もしていないという“非アクティブ”な状態の方は含まれません。新規獲得の施策と、定期的な登録情報の更新促進を行いながら、常時フレッシュでアクティブ、かつ高水準な市場調査アンケートモニターを維持しています。

2.マクロミル流、新規流入におけるファネルの概念

次にモニタにおける新規流入の考え方についてご説明します。新規流入は、下記のようなファネルと認知の段階で施策を分けて実行しています。

サービスを認知しているか/していないか(非認知層・潜在層)

知っているけど興味あるか/ないか(顕在層)

他社サービスも含め比較検討段階にあるか(見込み層)

サイトにアクセス・アプリインストール

登録フォームへの誘導と入力(本登録完了)

それぞれの段階と状況に合わせて新規流入コミュニケーションを展開しています。例えば、非認知層には、YouTube広告や映画タイアップ広告を広く見てもらい、アンケートモニターやお小遣い稼ぎをできるサービスの存在を知ってもらう。興味を持った層には、インフルエンサーやアフィリエイターなど第三者からサービスを紹介してもらい、アクションへの後押しをするといった流れです。これからモニタとなってくれる一般生活者の、マクロミルに対する認知や興味、その行動に合わせてそれぞれの段階で適切なコミュニケーションを行っています。

モニタのファネル概念

3.「一般生活者の声」としての代表性を保つ流入経路とは?

では、モニタの新規流入にはどのような経路があるのでしょうか。
まず大事になってくるのが「代表性」です。代表性とは、調査対象者全体の中から抽出された一部の対象者の調査結果が、調査対象者全体の結果を、偏りなく正確に反映できているかどうかのことを指します。
そのため、新規流入の経路も偏りが大きくならないよう、様々な手法を取り入れています。例えば、短期間に大量の新規会員を集められ、且つ低コストといった効率さだけを求めると、性別や年齢、〇〇のプラットフォームをよく使用するといった特定の偏りが生じてしまいます。それでは「一般生活者の声」としての代表性を失ってしまうのです。
また、人が情報を得る経路も変わり続けるため、世の中の潮流に合わせてモニタの新規流入経路も常に変化していく必要があります。2~3年前まで主流だったモニタの入会経路が、今年も同程度の人数と属性の人々が集まるという保証はないのです。実際、20年前は多くの人にとって主なデバイスはPCでしたが、スマホの登場やSNSの隆盛によって、人々が「アンケートモニター」の存在を認知する方法は一気に変わりました。そして今日では、PCやスマホを通じたWebよりも、アプリストアから「ポイ活アプリ」として入会する経路が大きな割合を占めています。

そうして、これからモニタさんになってくれる候補の一般生活者が使うデバイスを含め、世の中の潮流に合わせてその流入経路もコントロールし続けていく必要があるのです。もう一つ、「一般生活者の声」としての代表性を保つためにお伝えしたいことは、調査対象者全体の中(母集団)から一部の対象者を抽出(サンプリング)して調査をするため、できるだけ正確な「日本の縮図」に近づける必要があることです。つまり、マクロミルモニタの全体構造は、一般生活者の声として適切にお届けし、豊かな社会やサービスを実現するための架け橋となるよう、流入経路も「代表性」を意識して設計されています。

4.マクロミルモニタ会員登録後のコミュニケーション

こうして一般生活者にマクロミルモニタとして登録をいただくわけですが、もちろん登録いただくことがゴールではありません。アンケートモニターとして活動を始めていただいてからがスタートですので、より長くコンスタントにアンケート調査に参加していただくために登録直後から丁寧にコミュニケーションを行っています。

まずは、新規登録者への特典、アンケート画面の回答の仕方、アンケートや調査手法の種類の案内、ランク制度の案内などのチュートリアルや、新着アンケートが届いた時のお知らせなど、Webブラウザやアプリの特性に合わせ、モニタの皆さんとのタッチポイントを構築していきます。

また、モニタの皆さんにアンケートに回答いただくにあたって利用いただく、マクロミルモニタ向けのWebサイトやアプリ だけでなく、Twitter InstagramLINE といったSNSの公式アカウントも運用しています。モニタの皆さんがマクロミルのアプリやサイトを離れた場所でもマクロミルとの接点をライトに 保ち続けられるよう、様々な楽しい企画を展開し、常時コミュニケーションが取れるように工夫をしています。更に、マクロミルのアンケートモニター活動を気に入ってくれた方には、メールやSNSを使ってお友達紹介をお願いすることで、既にモニタになっていただいている方から、新たにモニタとなってくださる方を呼び込んでいただくといった施策も実施しています。ファネル概念図で言うReferral(紹介)の部分も含め、新規流入から登録、登録初期の定着やアプリ/サイト外でのコミュニケーションといった全体のサイクルを築いていきます。

しかし、すべてのモニタの皆さんにおいてうまくこのサイクルが回っていくわけではありません。個々人による価値観の差はどうやっても埋めることはできないからです。
例えば、アンケート回答によって10ポイントがもらえる場合、「これだけで10ポイントももらえるんだ、ラッキー」と感じる方もいれば、「これだけやったのに10ポイントしかもらえないのか」と感じる方もおり、感じ方は様々です。そうした感じ方は主に、モニタ自身がマクロミルとの関係性を「ポイント」に主軸を置いているからだと考えられます。だからこそ、会員登録直後の早い段階からアンケートそのものの価値を伝えていけるかが、マクロミルモニタの皆さんとの信頼関係を構築し、モニタとして定着いただくための鍵となります。

5.便利な世の中へと還元されるマクロミルモニタ活動の意義

実際、マクロミルの社会における存在意義は、一般生活者のインサイトを収集し、それを社会のサービス・製品・インフラなどを開発・改善したい企業・研究機関・公的機関に提供し続け、持続可能な社会を実現することです。

気づきにくいことではありますが、モニタの皆さんが生活者の代表としてアンケートに回答しデータを提供することで、世の中の課題解決への糸口となり、やがてご自身が普段使っているサービスやモノの利便性が高まるという形で還元されます。つまり、モニタの皆さんは、ポイントを獲得すること以上に実生活においてメリットを感じられる素晴らしい循環の中にいるのです。アンケート=ポイントの考えだけでは、アンケートは作業になってしまい、作業の対価としてしか感じられません。

事実、多くのポイ活は、企業の広告や宣伝を経由する ことでポイントを獲得できる構造になっています。例えば、ポイ活アプリを通してその企業の○○を購入すると何%ポイントが還元される、動画広告を視聴するとポイントを獲得できる、アンケートと称して最終的には企業の広告ページに遷移するなど、必ずしも企業とポイ活ユーザーの間に、双方向の意思のやり取りが介在しているとは言えないでしょう。ポイ活ユーザーは、広告に出会いたいわけではなく、ポイントを上手に貯めて活用し、お得に買い物をしたいと思っているはずです。

その点、マクロミルは広告宣伝を目的としたアンケートは行いません。なぜなら、すでにお伝えしたようにマクロミルモニタは「一般生活者の声」であり、マクロミルに調査を依頼いただく企業もそのありのままの声を求めているためです。そこから生活者のインサイトを把握し、商品やサービスへの価値向上につなげていくわけです。アンケートには企業の解決したい課題が詰まっており、それら一つひとつの積み重ねが、社会全体がより良くなっていくことにつながります。モニタの皆さんはそのヒントを与えてくれる存在であるというと健全な関係性を認識していただくことが、130万のモニタさんとのコミュニケーションにおいて大事な要素となります。

6.まとめ

130万人とつながるコミュニケーション設計を行うには、一般生活者のリアルな声を適切にお届けできるような地盤作りと、モニタの皆さんが会員登録後も安心して末永くデータを提供していただけるような信頼関係の構築が重要です。
そのために、モニタの皆さんには、アンケートの回答が、世の中の解決したい社会課題に対してヒントを与える有意義な活動であることや、モニタと企業の双方にとって健全な関係性であることを知っていただくことが必要です。この社会的役割や活動意義を丁寧に伝えることで、単なる「ポイ活」「小遣い稼ぎ」だけに留まらない、より長く継続的にモニタとして協力をしていただけるよう、今後も取り組んでまいります。

マクロミルモニタの皆さんの活動は、未来創造に欠かせない私たちのビジネスの生命線でもあります。
次回はモニタの皆さんとエンゲージメント構築する場所の一つであるモニタサイトの誕生秘話やコンセプトの由来に触れ、どのような工夫を重ね関係性を深めているのか、具体的にお話する予定です。


【連載 全5回】データが創る新しい社会


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