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手触りを大事にしながらバックオフィスはクラウドで効率化 建築設計事務所 山田紗子さん

2013年に独立し、建築設計事務所を立ち上げた山田紗子さん。大学ではランドスケープデザインを専攻し、建築設計事務所に勤めたあと、建築の勉強をするために大学院に通うことを決意。独立後は住まいの設計を中心に、リノベーションなどにも携わっています。そんな山田さんに、一級建築士になるまでの道のりや働く環境などについてお話を伺いました。

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一級建築士資格のために大学院で学び直し

ーーまずは簡単にこれまでの経歴を教えてください。
大学卒業後、設計事務所に4年勤めました。そのあと、芸術系の大学院に通い、卒業後に設計事務所を立ち上げました。

ーー独立のきっかけはなんですか?
アトリエ系と呼ばれる小規模な設計事務所に勤めている人は、いずれ独立して個人事務所を持ちたいと思っている人が多いのです。私の周りでは4~8年経験を積んだ後、独立を考えるのが一般的だったように思います。もちろん独立しない人もいますし、別の設計事務所や大きな会社に移る人もいます。

ーー独立がスタンダードなのですね。具体的にどんなお仕事が多いですか?
住宅規模の仕事が多いです。集合住宅の中の2部屋をつくるとか。イベントのインスタレーションやリノベーションの仕事もありますし、古民家を増改築して宿泊施設にするプロジェクトにも関わっています。

ーーお仕事はどのように受けることが多いのですか?
過去に手掛けた仕事が雑誌に掲載されているので、それをきっかけにご連絡くださる方が多いですね。

ーー直接山田さんに手掛けてほしい、と連絡がくるのですか?
ありがたいことにそういったご連絡もあります。

デジタル化の進む業界でも手触りを大事に

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ーー普段のお仕事環境についても聞かせてください。
最近まで家の中に職場スペースを持っていましたが、スタッフやインターンが増えて、仕事の模型も増えて、場所を外に出さざるを得なくなりました。たまたま家から自転車で3分の距離に事務所スペースを見つけることができました。

この事務所は半地下。いつも車が走っているせわしない道路に面しています。その喧騒から半地下にもぐり、一歩引いている感じが落ち着きますね。

建築の仕事は文章を書くこともあります。事務所がいつも賑やかなので、自分の考えに集中したいときは、カフェなどで仕事をすることもあります。

ーー模型作りにも場所が必要ですよね?
最近は3Dモデルの発達でパソコンしかない建築事務所も増え、設計から納品まですべてパソコンで終えるところも多いです。ここ10年くらいでだいぶ変わりましたね。そういった事務所だと、今年に限ってはオンラインで仕事を進められるようにしている、という話も聞きます。

私たちの事務所も、3Dモデルをつくらないわけではないですが、手で作ったリアルな模型のほうがアイデアや対話が生まれやすいような気がしています。そのため模型のためのスペースが必要ですね。

ーーなるほど。オンラインだと共同編集なども可能なのでしょうか。
おそらくできると思います。VRで設計している人もいますし、技術進化が速いですね。

独立し、日々の作業に追われずに考える時間を確保

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ーー独立してよかったことはありますか?
好きな時間に働けることです。建築業界は労働環境が厳しいことが多く、終電まで働き詰めなことも。作業に追われず自分で考える時間を持ちたいので、今の働き方のほうが合っていますね。

ーー長時間労働は業界の慣習なのでしょうか?
変わってきているとは思いますが、時間をかけざるを得ない仕事が多いのも事実ですね。

ーー考えることと手を動かすことのどちらが多いですか?
模型の製作や設計図の組み立てには時間かかりますね。一つのプロジェクトにたくさんの人が関わっているので、交渉事も多いんです。施主が何人もいる場合もありますし、役所や申請機関、金融機関、工務店など多岐に渡ります。関わる法律も多いですし。

ーー独立ではなく、所属することのよさはどこにありますか?
専門職なので、仕事のノウハウを身につけるうえではどこかに所属することが手っ取り早いです。教育機関を卒業後すぐ独立する人もいますが少数派で、多くの人はどこかで修行します。会計士チェックで知識がなくても安心な確定申告

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ーーお金まわりについてもうかがいます。会計freee導入のきっかけを教えてください。
もともと、確定申告することすら知らず、税金って何?というレベルから始まりました(笑)。書店で会計freeeで確定申告をするハウツー本を手に取りました。本から爽やかな印象を受け、これ一冊で、と書いてあったのがきっかけですね。

ーー独立後すぐに利用されたのですか?
そうです。独立したとき、周りに青色申告を勧められました。それからずっと会計freeeで青色申告しています。

ーー確定申告についてはどのように行っていますか?
経費になるものは事業用のクレジットカードで購入し、会計freeeと自動連携させ、確定申告前にまとめて仕訳しています。

2020年度分の領収書や契約書などは一箇所にまとめておいて、3月になったらまとめて入力します。まとめての入力でも、会計freeeがあれば1日で終わります。

ーーご自身ですべて対応されていますか?
知人の会計士に最後のチェックだけしてもらっています。会計freeeでの入力が終わったら、会計士に会計freeeにログインしてもらい、問題がないか確認してもらったあと、自分で提出しています。データ共有できるのは便利ですね。

ーーこれまで困ったことはありますか?
疑問に思うことがあって検索すると、ヘルプページに答えがでてくるのがすごいですね。電話やチャットサポートをあまり使わずに済んでいます。

ーー迷わず確定申告できました?
会計の知識がなくても使えてしまっている分、本当にあっているのかとちょっと不安になります。その点、知り合いの会計士にチェックしてもらうことで、安心して提出できますね。

より規模の大きな建築に携わりたい

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ーー最後に今後の展望について聞かせてください。
住宅規模のお仕事が多かったので、今後10年以内に、公共施設のような規模の大きいものに携わりたいです。

ーーその場合仕事の取り方は変わってくるのでしょうか?
大きい建築物だとコンペがあることが多いです。コンペの場合、参加条件として過去に同規模の建築物を設計したことがあることが挙げられていることがほとんど。徐々に規模を大きくしていくか、大きい事務所とチームを組んでコンペに臨むことになります。興味があるコンペがあっても、実績がないからと参加できないこともあります。10年以内に目標が達成できるよう、少しずつでも実績を積み上げていきたいです。

ーーぜひ実現していただきたいです。本日はありがとうございました。


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