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[旅行記] 日本人の視点から見るカナダ

1週間ほどプライベートでカナダに旅行に行ってきたので、その際に気づいたことなどを人文学的視点でまとめてみようと思います。
今回の内容はUIUXデザインはあまり関係ありませんが、デザイナーであろうがなかろうが、普段自分たちが住んでいる国とは違う国や文化圏に住む人たちがどんな人たちでどんな文化を持っているのかを知ることは視野を広げる上で大事なことだと思います。

今回訪れたエリア

今回旅行で訪れたのはカナダ西部のブリティッシュコロンビア州というエリアです。
有名なトロントやモントリオールなど人口が集中している大都市があるのはカナダの東海岸側なのでその反対に位置しているエリアで、雄大な自然と都心部がバランスよく共存しているエリアです。


https://worldpopulationreview.com/countries/canada-population

こちらはカナダの人口分布図。東側沿岸に人口集中エリアが多いことがわかります。元々フランスやイギリスなどのヨーロッパ諸国が東側から植民地化・開拓を始めたのも影響していると思います。
また大都市は南の国境に近いところに集中していますが、これより北の地域は寒すぎて雪や永久凍土なども多いことからあまり居住には適していないエリアだそうです。

日本からバンクーバーへのフライト

飛行機の座席が翼の真横でした

羽田からバンクーバーまでは8時間ほどのフライトで、映画を観たり寝たりしていればあっという間に現地に到着します。フライト時間が20時間超えのヨーロッパなどと比べるとかなり近くに感じます。現地の人も「東京はそんなに遠いところじゃないよね?数時間のフライトで着くから」と言っている人がいました。帰りのフライトは偏西風に逆らって進むため行きと比べて2時間ほど長くなります。
入国審査も昔は空港のスタッフと直接話して「滞在期間は?滞在の目的は?」など聞かれたものですが、コロナ渦を経て最近はすべて電子化されているようで電子端末にパスポートをスキャンし、顔認証や必要事項を端末に入力するだけで終わります。

バンクーバー空港に到着するとすぐにトーテムポールがお出迎え。周りにはちょっとした植物や水槽などがあって、アットホームな雰囲気ですが、入国審査が終わる前の時点からここまで装飾がある空港ってなかなかないような気がします。

人種構成

カルガリーの公園を行き交う人々

カナダやアメリカなど北米というと「白人の国」というイメージが個人的には強かったのでいい意味で意表をつかれました。
日本では街中で見かける人種はほとんど日本人しかいませんが、カナダは積極的に移民を受け入れてきたこともありさまざまな人種を見かけます。現在は国民の4人に1人が移民とも言われています。
地域によって人種の構成は違う印象でしたが、白人系、アジア系、中東系などなどバラエティに富んでいます。特に印象に残っているのは想像以上にアジア系が多く、中華料理、タイ料理、日本料理などのお店が多いこと。日本食はかなり人気のようで、特にバンクーバーなどではラーメンや寿司などをそこらじゅうで見かけました。日本食が人気なのは今では全世界共通のようなのでもしかしたらカナダだけの話ではないかもしれません。

https://pedestrianpriority.hatenablog.com/entry/2019/12/25/053000

こちらはバンクーバーの人種構成ですが、ヨーロッパ系は半分以下ということで、いかに多くの人種が集まっている都市なのかがわかります。

二つの公用語、英語とフランス語

カナダでは英語とフランス後が公用語として使われています。
400~500年ほど前に主にカナダ東部はフランスの植民地となっていてヨーロッパ本土からフランス語話者が移り住みました。その後イギリス植民地となり英語が主に使われる言語となったため、長い間フランス語を使う人々はマイノリティとして扱われてきました。1969年にカナダ政府はフランス語話者に対しても平等な国にするべくフランス語も公用語として認めたため、どちらの言語を話していたとしても平等に政治への参加や公共サービスなどが受けられることを保証しています。
公用語が二つあるためレストランで見かけるメニューや街中の看板、スーパーで売られている食品のパッケージに英語とフランス語両方とも併記されているのをよく見かけます。両方のテキストを載せるとなるとかなり情報量が増えてしまうのでカナダのデザイナーは頭を悩ませているのではないでしょうか…
羽田行きのAir Canadaの機長アナウンスも英語とフランス語の二言語でされていました。ネイティブとして2言語話せるのはどういう感覚なのでしょうか。
フランス語を実際に日常的に話している人々はカナダの東部に多いらしく、今回訪れたバンクーバービクトリアなど西部ではほとんどフランス語を話す人は見かけませんでした。
カナダの小学校では「フランス語教育イマージョンプログラム」というものがあるらしく、小さい頃からフランス語に触れる機会があるので、西部の人たちでも実はフランス語を話せるのかもしれません。

https://canada-school.com/wp-content/uploads/2018/07/IMG_20180703_194835.jpg.webp

食事

カナダの食事は美味しくないとよくネットでは言われているようなんですが、実際に現地で食べた食事は美味しいものしかありませんでした。事前にGoogle Mapで評価の高い店を選んでいたからなのか、ここ数年でカナダの飲食店のレベルが上がったということなんでしょうか。
カナダの食料自給率は200%を超えているらしく、おそらく現地で出されたご飯のほとんどが国内生産のものだと思いますが、やはり産地直送の食材を使っているので料理が美味しいというのもあるかもしれません。
街中では世界中いろいろな国のレストランが立ち並んでいますが、特に日本食や中華料理、タイ料理などアジア系は人気が高いようで多くの店舗を見かけます。寿司とラーメンはやはり現地の人たちからも人気があるようで、ハンバーガーやステーキを出している店でもラーメンを提供している店がありました。

カナダの朝食文化

朝食はガッツリと食べるのがカナダ流のようです。定番のメープルシロップをかけたパンケーキやエッグマフィン、ベーコンなど小麦粉や卵、肉などを使ったメニューが多いようです。以下の画像はGoogle検索で 「Canada Breakfast」で検索をしたスクショですが、なんとなくどんなものを食べるのか雰囲気が伝わると思います。

レストランやカフェなどでも朝食やブランチメニューを提供しているお店があり、朝は6時半からオープンしているところなどがありました。
カルガリーではOEB Breakfastというカナダのローカルの食材を使った朝食メニューを提供しているチェーン店に行きましたが、オフィス街だったこともあり朝8時にも関わらず出勤前の人たちで大賑わい。日本では喫茶店のモーニングなどはありますが、あまり朝食に力を入れている店は少ないと思うので新鮮です。
ちなみにそこではワッフルを頼んで初めてカナダ産のメープルを現地で食べてみましたが、日本で流通しているカナダ産メープルシロップとは味が違い、フルーティでみずみずしい感じがしました。日本国内で流通するメープルはほとんどカナダ産と言われているのでこの差はなんなのか、輸送している間にメープルの味が変わっているのでしょうか。

OEB Breakfastのワッフル

Tim Hortons

カナダでの朝食に関連して触れておきたいのが、大人気ドーナツチェーン店のTim Hortonsです。カナダ国内でも3000店舗以上あるらしく、街中を移動しているとコンビニかな?と思うほどによく見かけます。店舗数でいうとマクドナルドやスターバックスを抜いてファーストフード業界で一番店舗数が多い。
朝忙しいオフィスワーカーなどはTim Hortonsでコーヒーとドーナツを買ってそのまま出勤する人が多いそうです。実際に空港でTim Hortonsのドーナツを食べてみましたが人気になるのも納得のもちもちふわふわ系ドーナツ。店内調理されているのか、手作り感を感じる食感でした。ぜひ日本でも展開してもらいたいですね。

カナダ人は国旗が大好き?

カナダの人たちはとにかく国旗が大好きなようで、街中のそこらじゅうで見かけます。船に国旗をつけていたり、家の玄関に国旗をつけていたり、カナダ国旗がデザインされた帽子をかぶっていたり、とかなりの頻度でこの国旗を目にします。日本で国旗を身につけている人がいたら特定の思想を持っている人なのかな?と思われてしまいそうですが、カナダ人の場合はとても愛国心が強いことの表れだそうで、カナダの独立とアイデンティティの象徴として国民から強く愛されているそうです。
ちなみに国旗中央にはメープルリーフがあり、サイドにある赤い帯は太平洋と大西洋を、中央の白いエリアはカナダ国土に降り注ぐ雪を意味しているそうです。

ビクトリアの公園で見かけたカナダの国旗


キャッシュレス

カナダではキャッシュレス化が進んでいて現金の出番はほぼありません。
お店で決済をするときはタッチか差し込みができるクレジットカードの端末を店員が差し出してくれるので多くの人がタッチ決済でスマートに支払いを済ませています。
店員はクレジット支払い前提で端末を差し出してくるので現金で払いたい場合は「現金支払いで大丈夫ですか?」と確認した方がいいです。
日本だとPaypayや楽天Pay LINE Payなどさまざまな「なんとかPay」のロゴがレジ横に貼られていることが多いですが、カナダではクレジットかデビットカードのタッチ決済が主流のようで「なんとかPay」を見かけることは基本的にありませんでした。日本における決済方法の乱立は消費者もお店側も混乱するのでなんとかしてほしいものです。

マリファナが合法の国

カナダでは2018年から娯楽としての大麻(マリファナ)が合法になっているため、街中を歩いていると大麻の匂いがどこからともなく漂ってくることがあります。2022年の調査では国民の27%が大麻を使っているというデータもあるそう。
合法化した理由としては、
・カナダ国内で流通するマリファナを政府のコントロール下におき、有害物質が含まれた危険な大麻の利用をとりしまること
・マリファナに税をかけ政府の税収を上げること
・販売時に年齢確認をして未成年の利用を防ぐことなどが目的のようです。
カルガリーではコンビニエンスストアやスーパーの隣に堂々と大麻ショップが立っている光景を見かけました。(以下画像が実際の大麻ショップ)
ソルトスプリングでは外観がオシャレなお店があったので雑貨屋だと思い中に入ってみたところマリファナ屋だったというハプニングもありました。
日本では厳しく取り締まれているためイメージできないかもしれませんが、カナダではマリファナが生活の一部として溶け込んでいる印象がありました。


ここから先は訪れたエリアを簡単に紹介していきます。

カルガリー

カルガリーはロッキー山脈を超えて東側の高原地帯に位置している都心部です。世界遺産に登録されているバンフ国立公園に行くために経由地として寄り道しました。
都市があるエリアの標高は1,045 mでかなり高いため降り注ぐ日差しがかなり強いです。去年訪れた長野県松本市は標高610mで東京スカイツリーよりも高いところにあると言われますが、それよりもさらに高いところにあるので驚きです。

カルガリー中心部は近代的な高層ビルが立ち並び、街並みはとても整っていますが、日本の東京の都市としての大きさに慣れているとかなり小さな都市に感じます。実際にビルが立ち並ぶダウンタウンという中心部は東京の駅一つ分くらいのサイズ感で、そこから少し離れると住宅エリアが広がり、車でちょっと走るともうそこは田園エリア。東京は人口が集中しているエリアとしては世界最大級とも言われたりするので、関東の都心部がでかすぎなだけかもしれません。
ちなみにそこまで大きくない都市ではありますが、しっかりと中華街もあり、こんなところまで移住して自分たちのコミュニティを築いた昔の華僑の人たちはすごいなと思います。

バンフ国立公園

カルガリーから約100km程度離れたところにある、自然豊かな国立公園。
歴史的にはカナダ国内ではじめて作られた国立公園で、公園自体が世界遺産として登録されています。日本の公園とはスケールが違います…
ルイーズ湖(Lake Louise)の景色がとても有名なので見たことがある人もいるかもしれません。当日はあいにく曇りがちでしたが、山間部なので天気も変わりやすく、時折陽が差し込むタイミングもありました。

Lake Louse

公園内では鹿、リス、クマ、馬、エルクなど多種多様な動物たちが住んでいます。観光エリアまでは高速道路で移動する必要があるのですが、動物たちが轢かれてしまう危険性があるため、道路の周りにしっかりと柵が建てられていたり、動物専用の立体交差があったりと、動物たちへの配慮が素敵です。

バンフ国立公園の中には観光地化されている小さな街がありお土産屋、レストラン、スターバックスなど意外と栄えています。

バンクーバー

実は今回の旅行で訪れた中で一番印象が薄いエリアです笑 他のエリアの印象が強すぎただけかもしれません。
ビクトリアに住んでいる人いわく、「バンクーバーは若い人が多くてとてもエネルギッシュ、そしてせわしない感じ」と言っていましたが、まさにその通りでオフィス街や歓楽街が立ち並び活気に満ちている印象でした。東京でいうと渋谷の立ち位置に近いかもしれません。
そしてカルガリーやビクトリアと比べるとかなり有色人種の人たちが多いのかな?という気がします。今回訪れたエリアの中では交通網が一番発達していて、Metroやバスが本数多く走っています。特にバスは数分おきに運行しているので、どこにアクセスするにも困りません。時間通りの運行ではないみたいなので日本人の人たちは最初は驚くかも…
ちなみにバスを降りる時には多くの人がドライバーに向かって大きな声で「Thank you!」と言っている人が多いのですが、ドライバーも嬉しいと思うので無言でサービスを利用しがちな日本人もぜひ真似したいところです。日本人はあまり「ありがとうございます」を日常では言わないと思いますが、カナダの人たちは些細なことでもThank youを言っている印象で、良いですね。
バンクーバーはRaincouverとも言われていて、かなり雨の日が多い都市で実際に訪れた日も曇りかずっと雨。なんとなくバンクーバーは他と比べて暗い印象だったんですがまた晴れの日に訪れれば印象が変わるかもしれませんね。

中心部Waterfront 駅から歩いてすぐのガスタウンにある有名な世界で唯一の蒸気時計。蒸気を動力にしている時計で、定期的に音楽が流れます。
ちなみにこの蒸気時計から歩いてすぐのところにホームレスや薬物中毒者が集まるヘイスティングスストリートという危険なエリアがあるため、観光で行かれる方はご注意を

急いで撮ったのでピンボケ

中心部から少し離れるとすぐにビーチや自然公園があり、遠くには山が連なっているのが見えます。それだけ自然と都心が融合しているということ。

ソルトスプリング

バンクーバーからフェリーに乗って少し南下、海峡を隔ててあるのが自然豊かで平和なソルトスプリング島です。地元の食材や特産品が並ぶサタデーマーケットが有名みたいですが、訪れたタイミングでは残念ながらマーケットはやっていない日でしたが、多くのアーティストが住み、自然と共にゆったりと生活を送っている独特な雰囲気が漂う島です。

その辺の家を適当に撮るだけで絵になる
野生の鹿がそこらじゅうにいてご飯を食べています。

宿泊したB&B (Bed and Breakfast)の部屋の内装がとにかく良すぎて写真を撮りすぎました。朝食はホストが地元のパンや卵などを用意しておいてくれて自分で調理するスタイルでした。Salt Springにいかれる方はぜひ。
https://www.booking.com/hotel/ca/gallery-b.ja.html

ビクトリア

今回行った中で一番住んでみたいと思ったエリアです。ビクトリアはブリティッシュコロンビア州の州都で、バンクーバーからはフェリーを乗り継いで南へ移動すると到着。
イギリスの統治下にあった頃のビクトリア調の綺麗な建物が立ち並び、カナダにいながらイギリスにいるかのような気分を味わえます。

どこにでもあるTim Hortons

中心部から少し離れると、高級住宅街が立ち並ぶエリアに。それぞれの家には広く綺麗な庭があり、ここでもイギリスっぽさを感じることができます。
街を行き交う人々の身なりは小綺麗な人が多く、ランニングなどをしている人も多いので、比較的裕福な人たちが住んでいるのかなと思います。

公園の道はウッドチップ?のようなものが敷き詰められていて歩きやすい
市内から歩いて20分ほどで海に面した公園があります
海の上に民家や飲食店が並ぶfisherman's wharf

ビクトリアからバンクーバーへはフェリーで帰りました。行きは天気が悪かったので景色はよくなかったのですが、帰りは快晴。島が多い海峡を通っていくためとても綺麗な景色を楽しめます。

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