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徹底解説!ダニエルズ理論 ランナーに最適なピッチは?呼吸方法は?

こんにちは、トレーナーの山下です。
今回は『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』より
ランニング時のピッチおよび呼吸方法について解説します。

今回がダニエルズ理論解説の第4回となります。
この回だけを読んでも、十分理解できる様になっています。
もし前回までの解説も興味があれば読んでみてください。
『ダニエルズ理論でトライアスリートが練習してみた!』

では、今回の本題へと入っていきましょう。

オリンピック選手のピッチはいくつか?

ダニエルズ夫妻がロサンゼルスオリンピック(1984)で
800m~マラソンの選手50名の1分間もピッチを計測した時のことです。
以下、本からの引用。

800mの選手は200回をゆうに越え、1,500mでもそれと同等の選手がいた。
しかし、3000mからフルマラソンまでは、ピッチはほぼ変わらず、
レースが長くなるにつれストライド長が短くなっていた

とあります。最終的には、
計測した選手の中で1分間180回に満たなかったのは一人だけであった、
と書いてあります。

またダニエルズ自身の研究の中で、
あるオリンピックのゴールドメダリストを対象に
スピードとピッチの関係を調べたところ、
1km4分22秒では184回、3分45秒では186回、3分8秒では190回
という結果が出て、そのまとめとして、

レースにおいてペースを上げるためにストライド長を変えることがあっても、
そのリズムはほとんど変わらない。

と述べています。

1分間180回のピッチを目指す

以上のことから、
ダニエルズは1分間に180回のピッチを目指すべきという結論を出しています。

ここからは私見になりますが、
おそらく多くのランナーはこの数字にたどり着いてないです。
しかし逆に言えば、
多くのランナーがこの1分間180回というピッチに届いてないと言うことは、
ピッチを意識することで差別化を図りやすいとも言えます。

どうすれいいのか?

まず180回というピッチを正確に知る必要があります。
スマホのアプリでリズムを作れるものがあるので、
それを使えば簡単に知ることが出来ます。

その上で短い距離から速いピッチで走れるか試してみましょう。
最初は50mくらいが良いと思います。
おそらく初めは難しいはずです。
変にぎこちなくなったりすると思いますが、
自然にこのピッチが刻めるように何度も繰り返すことが必要です。

そこから徐々に長い距離でやっていくのですが、
大事なことはこだわりすぎないことです。

ピッチを上げることは意識して急に出来るものではないです。
無理に上げようとすれば、力んでしまいフォームが崩れます。
特にメインのトレーニングの最中はあまり意識しない方が良いと思います。
あくまでピッチにこだわるのはドリルの一環として行っていき、
最終的には無意識で出来るようにするのが理想です。

速いピッチのメリット・デメリットは?

まずはデメリットから考えていきましょう。
第一に考えられるのが心拍数の上昇です。
ピッチが上がることで運動量が増えるので、
その分、必要な酸素も多くなり、
心拍数が上昇していきます。

そのため高心拍に耐えうる身体作りをしておく必要があります。
毛細血管網の充実や
呼吸筋の可動性を高めておくことも大事になります。

次に考えられるデメリットとしては、
ピッチを速くしようとするあまり、
動き全体が小さくなることです。
イメージ的には膝下だけでチョコチョコ走るような感じです。

基本的にはスローペースでも背骨や股関節を使った
ランニングをするべきです。
チョコチョコ走りでは身体の中心にある大きな筋を
使うことが難しくなるので、
疲労も溜まりやすくなり効率的ではありません。

繰り返しにはなりますが、
あまりピッチにこだわり過ぎないことも大事です。
正しいフォームがあってのピッチなので、
バランスを上手にとることも必要となります。

では、メリットの方はと言うと、
まず故障を防ぐことに繋がります。
ピッチが遅いと滞空時間が長くなり、
その分、接地時の衝撃が大きくなります。

接地時の衝撃が大きくなればなるほど、
故障のリスクは高まります。
なのでピッチを上げて、
接地時の衝撃を小さくすることで
リスクを下げることが出来ます。
つまりドスンドスンと走るのではなく、
トントントンと軽い走りをすることが求められます。

また他のメリットとしては
呼吸のリズムを取りやすくなることも挙げられます。
ここからはランニング時の呼吸について考えてみます。

走ると呼吸が荒くなるのはなぜ?

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