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コンドームをつけないこの勇気を愛してよ。 #第9夜

初めましてのみなさまも、おなじみのあなたもこんにちは、MAKIです。
 
ジェンダー論者に叩かれようとも
もう10年以上好きな歌がタイトルのそれで。
まあ騙されたと思ってまずは聴いてみてほしいのですが。

(コンドームをつけないこの勇気を愛してよ
 /さめざめ)


オンナという仮面に飲み込まれたわたしは、
ずっと彼らに期待して生きているところがあって、
男女の関係になれば多少は愛着をもってくれるかなぁとか、そもそも好意があってのアプローチかなぁとか、はたまた好奇心の行く先にわたしの性技をもって愛情に変えていけるかなぁとか、ぐるぐるぐる。
 
そんなつもりを微塵も感じさせないまま、
気持ちよさそうに寝息を立てている殿方の
美しい横顔をぼんやりと眺めては、
愛おしいという感情と同じかそれ以上に
儚さに包まれて切なさに酔いしれて(突然のイエモンJAM)
 
それこそ重なり合えてわたしのなかで達してくれたときの多幸感はほかの何にも変え難く、
ああ、これであなたの人生に
もしかして一生関わることになるかもなぁと、
 
ほんとうは基礎体温もつけていて
今日はほとんど絶対と言っていいほどその可能性はないと分かっているのに
もしかしたらあなたを一生縛れる?
くらいの危険な思考を抱きながら、
下腹部からじんわりと伝わっていく温もりを
まぶたを閉じて全身で感じることがわたしの幸福論だったのだと、痛々しい自身を振り返るのです。
 


 
ありがたいことに、
これまでの人生を振り返ると
たくさんの宝物のような出逢いがありました。
 
恋に似たなにかや、燃えるような愛や嫉妬心、
意地でも開けまいとしていた南京錠をうっかりこじ開けようと試みて玉砕してまた来世まで蓋をしたり、
それ以上はない、と分かっていて
でも同情に似た気持ちで寄り添い、背中越しにあなたのぬくもりを感じたピュアすぎる関係を経て、
 
一周まわって、
ふと、
タイトルの歌を極めてポジティブに捉えることの出来るひとがそばにいることに気付きました。
 
それはもうぼんやりと漠然と、なのですが
わたしに似て口が達者でおませな女の子を膝の上に抱えながら、
「ほら、パパいまこの国にいるんだってー!」と
彼から届く海外からのポストカードを娘に見せて、
「へぇ、キレイだねー」と適当な返しをする娘をぎゅうっと後ろから抱き寄せる。
そんな情景が浮かんできたのです。
 
 
『いつかは海外でも働きたい』
と夢を語るそのひとが、近い将来その夢を叶えて、
わたしは日本にいて、
娘とふたり、彼の自由な人生を応援していて、
わたしはわたしで、もう男のひとと一緒にいていつか失う日が来てしまう恐れから解放されて、
もしかして魔が刺したら時々ホットな男性との情事があるかもしれないけれど、
彼の帰りを待つでもなく、でも疑うでもなく、
元気で無事で、なにより笑顔で、
イルカのように大海原を思いのままに泳ぐ姿を想像して、
今どきオンラインでいつでも繋がれるくせに何故だかポストカードを送ってもらうのに憧れてお願いして、
お願いしたらきっと叶えてくれるひとだと確信して、
その優しさに惹かれていたのだと思うのです。
 
こんなにも情景を思い浮かべるのはきっと20代を費やした元彼以来だよなぁと、
わたしのなかの本能が、
好きだの愛だのの感情を超越して、
わたしの培ってきた性技を懸けてでも、
あなたに触れたいと突き動かしたのかもしれません。
 
わたしはわたしの子どもが欲しいと思っていて、
それはケッコンを伴うものではなくてもいいと決めていて、
でも相手はやっぱり自分で選びたくって、
万が一この情景が浮かんだ彼とのあいだに子どもが作れない事情が分かってしまったりしても
どうにかしてわたしはわたしの子どもを授かって、
たぶんその彼にお願いして説得して、彼とわたしの子どもとしてわたしの娘を育てていく、
そんなミライを想い浮かべていました。
 
 
世間一般ではきっと絵空事と呼ばれるのかもしれないけれど、わたしときたら真剣に、好きなひと欲しいものは手段を選ばず手に入れたいと、そのミライがちゃんと訪れるものだと、そう信じてやまない自分がいたのです。
 
つづく。
 
#オンナであるということ
#自叙伝
#恋愛小説
#アラフォー妊活
#次回最終夜

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