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重なり合いたい気持ちをまたいで #第2夜

初めましてのみなさまも、おなじみのあなたもこんにちは、MAKIです。

月の満ち欠けとともに生きていると、
カラダの重みだけでなく、ともすればちょっとした時空の歪みにも敏感になり、
ああ、またわたしが沈んでいくなあとじんわりと感じながら暮らしている今日この頃。

かつて、
わたしの価値は男のひととの情事を全力で愉しめるこの身体にこそあると盲信していたわたしは、
生理の日はそれはそれは憂鬱で仕方がありませんでした。

無価値の人間に成り下がってしまった感覚があったのでしょう。

スケジュール帳には行為のあった日や月経開始日をこまめに記し、デートのお誘いを受けると「ああ、その日は生理予定だから」とこころのなかで思っては別日を提案するようにしていたし、もしものチャンスに男のひとをがっかりさせたくないってずっと思っていました。

だからといって生理中に行為をせまってくるほど不躾なひとは願い下げだし
そもそもそういった非礼なひととはご縁がなかったけれど、

特定のパートナーがいる期間は
この月経期間中がほんとうに不安で、
つまりはオンナであること以前にわたしというひとりの人間に果たして魅力があるのかどうか、
自信がなかったのでしょう。

いま思えば、
あまりに哀れで目も当てられないわたしがそこにいました。

たとえばこころのやさしいひとにめぐり逢って、重なり合いたい気持ちをまたいで、
指を絡ませて、その左腕に包まれて、
おやすみなさいとおはようのキスだけですうっと安心できるような、そんなおだやかな愛を若くして知っていれば、きっと人生はまったく違うベクトルにも可能性があったのだろうと思うのです。

そんなわたしも、三十路を過ぎてから
それこそキスだけで多幸感に満たされる経験をすることになるのだけれど、それはまた別のお話。

つづく

#オンナであるということ
#第2夜
#自叙伝
#恋愛小説
#キスだけで

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