「芸術は長い」
詩人宣言LIII
生きているものは いつか死ぬ
生きているものは 必ず死ぬ
今ある役割が消え
今持つ機能も働かない
男としての役割は
とっくに終えたよ
と
自分の体がいう
鏡の中には
とっくに死んだ
血縁ある者たちの
面影がぼくの顔に重なる
自分の頭の中はどうだ?
のぞき見ることはできない
その中も
役割も 機能も
顔 体と同じように
老いているのは間違いない
ああ 坂本龍一が言った
芸術は長く人生は短し
もとは 古代ギリシャ
医学の祖ヒポクラテスの言葉
芸も術もないのだけれど
ぼくは
言葉という絵筆に
感情という絵具をつけ
詩をつづる
今もこうして 書く
ほら
それだけはきっと残り続ける
写真:2009年10月、ローマで演奏する坂本龍一=AP
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