■新聞よ、堂々としろ!
マスコミってナニ?(22)
ニュースの存在を考える 「マスコミへの道」改
◇読売「編集手帳」の及び腰
11日付の読売新聞1面コラム「編集手帳」を読んで、「あれれ!?」と感じたのは僕だけだろうか。
この日のコラムは、谷川俊太郎の詩を引用し、太陽のひざしから地球環境について考える――というものだった。
その記事の内容ではなく、最初の段落に「スペースの都合で、(略)――を引かせていただく」と書かれている。
谷川の子供向けの絵本にある詩を引用して、次に持論を展開するという構成だ。
そこにある「引かせていただく」という書き方に、大いに違和感を抱いた。
つい数日前に、編集手帳は「させていただく」という表現は不適切でないか、といった趣旨の記事を載せたばかりだからだ。
この件については、昨年来、法政大学の椎名美智教授が『「させていただく」の語用論』という本を出して、指摘。いくつか記事にもなっている。
僕も以前から、「〇〇させていただく」というのが嫌いだ。アイドルグループの解散や、芸能人の離婚まで、「解散させていただく」「離婚させていただく」などとコメントしている。じつにバカがせいいっぱい丁寧な言い方をしている、と感じてきた。
政治家、国会議員が乱発しているのは言うまでもない。
自身の考えと行動を表明するのに、周りから背中を押されるように、ことそこに至ったような言い方をする必要はまったくない。
この読売の編集手帳も、以前なら、「谷川俊太郎の詩〇〇から引く」あるいは、「引用する」という書き方だったはずだ。
それがそれが…。
どういうこっちゃ…である。
しかも、一週間も経たぬうちに、先に書いたことをひっくり返しているとしか思えない。
マスコミの傲慢ぶりを示さないようにするために、そういう表現、なんでも忖度して、丁寧に書かねばならい――ということに毒されているのでないか。
詩壇の超大物、まだ存命の谷川俊太郎大先生に、何のことわりもなしに引用するのがよほど気が引けたのか、とニガ笑いするしかない。
◇※写真左は5月6日付、右は11日付の読売「編集手帳」
2021年2月19日の「■われわれはマス「ゴミ」ではない!」から60本にわたって書き綴った、マスコミ界歴35年の筆者が、改めてマスコミ(新聞、出版、放送)界と社会、世界について書き綴る。マスコミ志望者必読。
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