■朝日が値上げ、残る読者はいるのか
マスコミへの道(42)
新聞、放送、出版…マスコミ志望の方々へ
朝日新聞が7月から、月ぎめの価格を27年ぶりに値上げする。朝日、新聞業界に限らないが、値上げは「価格改定」と呼ぶ(笑)。
朝夕刊セット版で4400円(値上げ幅は363円)。
読売は既に2018年12月に4400円としており、毎日、産経も朝日の後に値上げをすることは確実だ。
新聞業界の立場からいえば、毎日朝夕(日曜は朝刊のみ、産経は東京発行は朝刊のみ)、きっちりと家庭、職場に印刷物が届けられることを考えれば決して高いものではない…と言いたいが、今の時代、誰もそんなことは思わないだろう。
ページ数も少なく、カラー面も少ない毎日は「三大紙」のプライドもあり、朝読と同じ価格だったが、今回は値上げ幅を圧縮して月100円ほど安くする、と聞く。東京では朝刊のみの発行の産経は、もともと安い3034円、ページ数が多い日経は4900円と高い。
紙だけでなく、基本的に一般の新聞離れが止まらない以上、値上げはさらに今現在購読している読者が一定数購読を止める「読者離れ」はさらに進むだろう。
この業界に長くいる者としては、止めようもないこの流れを呆然と見ているしかないのが悔しい。残念だ。
ネット、スマホというものが登場する前。新聞を、雑誌を、多くの人が食い入るように読んでいた。懐かしい…。
各社、各紙とも電子版で活路を見出そうとしているが、最も好調とみられている日経にしたところでそれで業績が上向くという流れにはなっていない。
朝日新聞社によると、1993年12月に約820万部あった部数は昨年8月に500万部を割った。
現況は下のとおりで、各紙とも1年で1割前後部数を減らしている。
マスコミへの道(13)で■朝日も自腹に…コロナ禍に隠れるマスコミの苦境と朝日の状況には既に書いたのでご覧いただきたい。
良くも悪くも、新聞といえば朝日、新聞といえば朝日、新聞といえば朝日…という業界を代表する存在なだけに、その値上げはそれによる一時的な増収はあっても、さらなる衰退の序章とも映る。
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