「おまえらのせい」

ぼくらは　みんな
敗戦国の末裔だ
あのころ
生きているのか
死んでいるのか
帰ってくるのか
これないのか
と
ずっとずっと
その身を案じていた
何万何十万何百万の人びと

ぼくらは　みんな
敗戦国の末裔だ

おまえらがだらしないから
日本は敗けたんだ
と
吐き捨て　言い捨てられ
言い返すことができなかった人びと
うつむくしかできなかった人びと
地下道の暗がり
寺社の軒下
雨露をなんとか凌いだ人びと

ぼくらは　みんな
敗戦国の末裔だ

一瞬の閃光――
夜空を真昼にした炎
鉄の暴風が吹いた島
焼き尽くし燃え尽きた

そして　ぼくらも
火を放ち
燃やし
焼き尽くし
殺した　殺した
犯した　奪った

ぼくらは　みんな
敗戦国の末裔だ