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ごはん映画

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映画に出てくる食べ物が大好きです。そんな「ごはん映画」について書いた記事をまとめています。
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#邦画

映画に出てくる食事はおもしろい

映画に出てくる食べ物が好きで「ごはん映画」として集めています。 収集するのは、食をテーマにしている映画だけではなく、1カットだけ食事や飲み物が登場する作品も対象にしています。そのような収集範囲にしていると、映画を観るときは登場人物たちが何を作っているのか、何を食べて飲んでいるのか、とても気になってしまいます。 逆に全く食べ物が登場しない映画もあります。それはそれでおもしろくて、作り手にとってその作品での、 ・「食」の重要度 ・「食」が担う役割 ・「食」で表現したいこと(逆

分からなくてもいいから寄り添って|『そばかす』

2022年最後に鑑賞した作品は『そばかす』でした。1年の締めくくりにふさわしい、爽やかな気持ちにさせてくれる映画でとても嬉しくなったのを覚えています。 『ドライブ・マイ・カー』の三浦透子さんが単独主演を務めた本作は、メ〜テレシネマプレゼンツの(not) HEROINE moviesの第三弾。これまでこのシリーズでは『わたし達はおとな』『よだかの片想い』が制作されています。 30歳の蘇畑佳純(そばたかすみ)は物心ついた頃から恋愛がよくわからず、いつまで経っても恋愛感情が湧か

温かい死生観に救われる|『川っぺりムコリッタ』

『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子監督の最新作『川っぺりムコリッタ』を観に行きました。個人的に少し久しぶりの鑑賞となった荻上監督作品だったのと、予告編から食事シーンがあると分かっていたので、とても楽しみにしていました!(このnoteでは映画に登場するごはんを集めています。マガジンはこちら) 温かい死生観に救われる 荻上監督の作品は一見ほんわかしたように見えて、実は死生観を素直に突きつける監督だと思っています。過去作品でもふんわりとそれを感じ取っていましたが(『トイレット』

なんか自分も仕事がんばろう!と思えた映画|『ハケンアニメ!』

5月に鑑賞した作品の振り返り記事を書いていたら、『ハケンアニメ!』の感想がとても長くなりそうだったので、急遽この作品単体でnoteを書きはじめました。それくらいアツイ作品なんです。 アニメ界を舞台とした素晴らしいお仕事映画でした! 吉岡里帆さん演じる新人監督と、中村倫也さん演じる天才監督、そして両社のプロデューサーとそれぞれ仕事へのアプローチの仕方が異なり、「うおー!なんか仕事のやる気出てきた!自分の好きなことへの想い再熱してきた!」という頭の中が動き出す、そんな気持ちにさ

好きなことがあるって最強だ!|『メタモルフォーゼの縁側』

ふだんは洋画を観ることが多いのですが、最近は邦画もたくさん観に行くようになって、素敵な作品に多く出会えています。最近鑑賞した『メタモルフォーゼの縁側』も心温まる優しい物語で、とても面白かったです! そして、ごはんシーンもたくさん登場しました! 自分の好きなものについて話せる喜び 本作は、ボーイズラブ漫画をきっかけに繋がった女子高生と老婦人の交流を描いた人間ドラマ。 机の下の段ボールに漫画を隠し、こっそり楽しんでいた女子高生うららと、美しい表紙にひかれて初めてBL漫画を手に

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』の実家ごはんが気になる

noteでは映画に登場するごはんついての記事を書いています。ごはん映画記事をまとめているマガジンはこちら。 U-NEXTで鑑賞した『先生、私の隣に座っていただけませんか?』が個人的にすごく楽しめて、しかもごはんがたくさん登場した映画だったのでメモしようと思います。 現実と漫画の境界が曖昧になっていく 漫画家・佐和子は、夫・俊夫と自分の編集担当・千佳が不倫していることを知り、新作漫画のネタにする。こっそりネームを読み進める俊夫だが、やがて物語は、佐和子と自動車教習所の先生

夜中に仕事をするときは、カップ焼きそばが心強い(映画の中のごはん)

わたしはスナックやハンバーガーなどのジャンクフードはそこまで食べないのですが、カップ麺は好きで、コンビニで新しい味が出るたびに、とりあえず一個は買って食べてみるということをよくしています。 カップのラーメンやうどんも好きですが、無性に食べたくなるのはカップ焼きそば。UFOや一平ちゃん、モッチッチあたりをよく食べます。 なぜ急にカップ焼きそばについて書いているかというと、最近鑑賞した邦画『死刑にいたる病』と『鳩の撃退法』の2本で、同じようなシチュエーションでカップ焼きそばが

時にはケーキがほろ苦い|『ちょっと思い出しただけ』

ふだんあまり邦画を観ていないのですが、気になっていた『ちょっと思い出しただけ』を観に行きました。 池松さん演じる照生の誕生日(7月26日)を軸とし、1年ずつ同じ日をさかのぼって、別れてしまった男女の“終わりから始まり”の6年間を描きます。 観客であるわたしたちが、すでに結末を知っている作品は、なんだか別れるに至った答え合わせをしているような、謎解きのような感覚になりました。よく感想で目にする、エモいというのはこのコトか!と。 わたしはこの二人に共感する箇所はなかったのです

『リトル・フォレスト 冬・春』 どこで暮らしていても美味しいを見つけることは出来る

ずっと観ようと思っていた映画『リトル・フォレスト』をやっと鑑賞したのでメモしました。夏秋編はこちら。 「海獣の子供」「魔女」などで知られる漫画家・五十嵐大介さんが、東北の小さな村を舞台に、旬の食材をいかした食事と自給自足の生活を通じて自分と向き合う若い女性の姿を描いた『リトル・フォレスト』を、橋本愛さん主演で実写映画化した作品。  今日は『リトル・フォレスト 冬・春』についてメモします。 ▼▼『リトル・フォレスト』冬のごはん▼▼ 暑く湿気にも負けずに野菜作りを頑張った

『リトル・フォレスト 夏・秋』で食材をいただくありがたみを感じる

ずっと観ようと思っているけれど、なかなか観れていなかった作品がけっこうある。時間とか気分とかが合わなくてタイミングを逃していることが原因なのだけど、『リトル・フォレスト』はまさにそう。 ごはん映画として有名な作品なので、観よう観ようとかれこれ3年ほどは思っていて、この度やっと観れました。とてもいい作品でした。 「海獣の子供」「魔女」などで知られる漫画家・五十嵐大介さんが、東北の小さな村を舞台に、旬の食材をいかした食事と自給自足の生活を通じて自分と向き合う若い女性の姿を描いた

『きのう何食べた?』の穏やかに暮らす力が本当に好き

大好きな『きのう何食べた?』が映画化されるというニュースを見たときは本当に嬉しくて、何度も見たドラマをまた最初から見直す日々を過ごしていました。 いつもこのnoteでは映画に出てくるごはんについてメモしているのですが、『きのう何食べた?』に関しては、原作のマンガはもちろん、公式でたくさん関連本が出ているので、今回は詳しく触れなくてもいいかなと思って、つらつら作品の好きなところを書いてみます。 シロさんとケンジの生活力というか、「穏やかに暮らす力」がわたしは本当に好きなんで

喪失と再生の中で食べること|『ムーンライト・シャドウ』のごはん

吉本ばななさん『キッチン』に収録されている短編小説の映画化、『ムーンライト・シャドウ』に食事シーンが多く描かれていたのでメモします。 『ムーンライト・シャドウ』ストーリーは、 さつきと等は導かれるように出会い、恋に落ちる。等の3歳年下の柊と、柊の恋人ゆみこをあわせた4人は意気投合し、多くの時間を共に過ごす。時には、ゆみこが気になっているという「満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれない」という不思議な現象「月影現象」についても語り合うなど、4人は穏やかで幸せな日々を

緊張がほぐれる温かいごはん|『ドライブ・マイ・カー』

『ドライブ・マイ・カー』素晴らしい作品でした。3時間の長尺ですが、まったく長さを感じさせない、俳優さんたちの演技もさることながら、やはり脚本のうまさを実感した名作でした。 第74回カンヌ国際映画祭で日本映画としては初となる脚本賞を受賞。国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の独立賞も受賞し、4冠獲得の偉業を成し遂げた作品。 濱口竜介監督作品は『寝ても覚めても』を劇場で観ていました。上映時間が5時間 17分で話題となった『ハッピーアワー』はまだ未見なので

父さんが母さんになって作るおはぎ|『おいしい家族』

少し前にNetflixで鑑賞した『おいしい家族』が、楽しいごはん映画だったのでメモします。 2019年9月20日に劇場公開。映画監督のほか小説家としても活躍する新鋭ふくだももこ監督が、かつて自身が手がけた短編映画「父の結婚」を長編化した作品。 『おいしい家族』のストーリーは、 銀座で働く橙花は、夫と別居中。仕事もうまくいかず都会での生活に疲れ気味。ちょうど母の三回忌を迎え、船にゆられて故郷の離島へ帰ってきた。すると、実家では父が、亡き母の服を着ておいしいごはんを作ってまっ