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ごはん映画

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映画に出てくる食べ物が大好きです。そんな「ごはん映画」について書いた記事をまとめています。
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映画に出てくる食事はおもしろい

映画に出てくる食べ物が好きで「ごはん映画」として集めています。 収集するのは、食をテーマにしている映画だけではなく、1カットだけ食事や飲み物が登場する作品も対象にしています。そのような収集範囲にしていると、映画を観るときは登場人物たちが何を作っているのか、何を食べて飲んでいるのか、とても気になってしまいます。 逆に全く食べ物が登場しない映画もあります。それはそれでおもしろくて、作り手にとってその作品での、 ・「食」の重要度 ・「食」が担う役割 ・「食」で表現したいこと(逆

一度でもいいから勝ちたいんだ|『YORO 100元の恋』(原題:熱辣滾燙 Yolo)

安藤サクラ主演による2014年の日本映画「百円の恋」を、中国の国民的コメディアンで女優のジア・リンが監督・主演を務めてリメイクした本作。 わたしは今、中国語を勉強しているのですが、本作が中国の春节(旧正月)のシーズンに公開され大ヒット、中国でリメイクされた日本映画における最高興行収入記録を達成したというニュースを知っていたので、日本公開を楽しみにしていました! 32歳の無職で実家に引きこもる日々を過ごしていた主人公ドゥ・ローインは、実家に戻ってきた妹と大ゲンカしたことをきっ

これは人生の物語|『パスト ライブス/再会』

最近は中国語学習の一環で、中国語で日記を書くことをがんばっていたので、noteはご無沙汰していました。久しぶりに映画についてメモします✍️ 『パスト ライブス/再会』 4月に劇場で鑑賞していた作品。最近は劇場での鑑賞から足が遠のいてしまっていたのですが、本作は予告を見て「ぜったい劇場で観たい!」と思っていました。(noteを書くのがのんびり過ぎましたね🍃) 海外移住のため離れ離れになった幼なじみの2人が、24年の時を経てニューヨークで再会する7日間を描いた、アメリカ・韓

2023年上半期映画の振り返りと、登場するごはんについて

ここ最近は仕事と語学勉強が忙しく、あまり映画を観れておらずnoteも書いてない日々が続いていました。仕事の後に授業を受けて、予習や復習をしているとあっという間に1日が終わってしまいます😣 今日は2023年上半期に鑑賞した映画を少しだけメモします✍️ 2023年上半期に鑑賞したお気に入り作品『雄獅少年/ライオン少年』わたしの2023年上半期ベスト1は、中国のアニメーション作品『雄獅少年/ライオン少年』でした。中国の伝統芸能である獅子舞の演者を夢見る少年たちの姿を描いた長編アニ

映画は光だった|『エンドロールのつづき』

『ニュー・シネマ・パラダイス』をはじめ、現在公開中のスティーヴン・スピルバーグ監督『フェイブルマンズ』まで、「映画を題材にした映画」や「映画館についての映画」はやはりグッとくる作品が多いです。 映画界や映画人を題材にした作品も多くあり、『雨に唄えば』をはじめ『バビロン』もサイレントからトーキーへの時代の移り変わりを描いていると聞きました(わたしはまだ『バビロン』は観れてないのですが😭)邦画では活弁士を描いた周防正行監督の『カツベン!』も良かったですね。 変化球としては、テ

日記|中国語を勉強しながら、中国語の作品を観る

いま中国語を勉強しています。今年は何か新しいことを始めたいと思っていて、昨年より手をつけ始めていた中国語を本格的に勉強することにしました。といってもレベル1の自己紹介から始める初心者なので、まずは旅行で使えるくらいのレベルになることが目標です。 もともとアジア映画が好きで、中国、香港、台湾の作品はよく観ていましたが、中国語を勉強するにあたりもっと積極的に観ていこうと、今年の夏までは中国作品強化月間にしたいと思っています。 ということで最近鑑賞した作品をメモします✍️ 『シ

分からなくてもいいから寄り添って|『そばかす』

2022年最後に鑑賞した作品は『そばかす』でした。1年の締めくくりにふさわしい、爽やかな気持ちにさせてくれる映画でとても嬉しくなったのを覚えています。 『ドライブ・マイ・カー』の三浦透子さんが単独主演を務めた本作は、メ〜テレシネマプレゼンツの(not) HEROINE moviesの第三弾。これまでこのシリーズでは『わたし達はおとな』『よだかの片想い』が制作されています。 30歳の蘇畑佳純(そばたかすみ)は物心ついた頃から恋愛がよくわからず、いつまで経っても恋愛感情が湧か

こよみの引き出しが開く映画|『土を喰らう十二ヵ月』

作家・水上勉の料理エッセイ「土を喰う日々 わが精進十二カ月」が原案の映画『土を喰らう十二ヵ月』を11月に鑑賞しました。 料理研究家の土井善晴さんが劇中に登場する料理の数々を手がけたということで、映画に出てくる食事シーンを収集している者としては観なければ!とわくわくしながら劇場に向かいました。 映画は冬から始まり、春、夏、秋を描きます。季節の移ろいと共に生活の様子を捉える作品というと『リトル・フォレスト』を思い出しますが、本作は2時間で1年を描き切るので「旬を逃さない」という

日記|最近の鑑賞作品と、登場するごはんについて

最近、鑑賞しておもしろかった映画で、食べ物が出てきた作品についてメモしようと思います✍️ 下半期はプライベートで新しいことへのチャレンジがあり、11月〜12月はバタバタしてあまり映画を観れなかった月でした。 『アフター・ヤン』 正確には10月に鑑賞した作品。公開のずっと前からとても楽しみにしていました。静かで美しく、まさに「心の琴線に触れる」という言葉がぴったりくるようなセリフや表情に、自然と涙がこぼれます。 人型ロボットが一般家庭にまで普及した近未来。アンドロイドのヤ

日記|最近の鑑賞作品と、登場するごはんについて

10月に鑑賞しておもしろかった映画で、食べ物が出てきた作品についてメモしようと思います✍️ 『マイ・ブロークン・マリコ』 原作漫画が持つパワーが今のわたしにはあまりにも強く、1話のみ読んでストップしていました。個人的にこれは映画を先に観た方がいいかもしれないと。なので原作と比較することなく純粋に映画のみを楽しみました。 わたしは本作、今年のベスト10に入れたいなぁと思うような作品になりました。すごくよかったです。 最初、遺骨を持って2階から飛び降りるシイノの破天荒にも見

香港の美しいノスタルジーを味わう|『七人樂隊』

今月はとっても楽しみにしていた『七人樂隊』を観に行きました。香港映画界を牽引してきた7人の監督がフィルムで撮ったオムニバス作品。なんと豪華なんだろう。 韓国や台湾、タイや中国などアジア映画が好きです。今年はウォン・カーウァイ4K特集上映が盛り上がっていますが、タイや台湾のホラー映画が話題になったり、昨年はトニー・レオンがマーベル作品『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に出演したりと、ずっとわくわくが続いています。 そんな中、本作は香港映画というジャンルを俯瞰して観るような

温かい死生観に救われる|『川っぺりムコリッタ』

『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子監督の最新作『川っぺりムコリッタ』を観に行きました。個人的に少し久しぶりの鑑賞となった荻上監督作品だったのと、予告編から食事シーンがあると分かっていたので、とても楽しみにしていました!(このnoteでは映画に登場するごはんを集めています。マガジンはこちら) 温かい死生観に救われる 荻上監督の作品は一見ほんわかしたように見えて、実は死生観を素直に突きつける監督だと思っています。過去作品でもふんわりとそれを感じ取っていましたが(『トイレット』

インドネシアのMeToo映画|『フォトコピー』

Netflixのインドネシア映画『フォトコピー』を鑑賞しました。 多国籍な映画を観ることが好きなので、インドネシアの土地や人を知ることができて嬉しい。本作はミステリーとして楽しめながら、社会的問題をテーマとしており、ずっしりとした重厚なサスペンスとして見応えのある一本となっています。 スールはITの知識のフル活用して劇団メンバーのスマホをハッキングし、あの夜、自分の身に何が行ったのか探ろうとします。この行動が本作をミステリーとして面白くさせていました。 他人の画像フォルダ

日記|最近の鑑賞作品と、登場するごはんについて

最近、鑑賞しておもしろかった映画で、食べ物が出てきた作品についてメモしようと思います✍️ 『NOPE/ノープ』 いろんなところで本作の絶賛コメントが目に入りますが、わたし自身とっても楽しくて大興奮で劇場出て、家に帰ってからもパートナーと語り合うほど大好きな作品になりました。 後半にかけての盛り上がりはもちろん、兄妹映画としても最高。あといろんなカメラが登場するのでカメラ好きにもたまらない作品だと思いました。 ゴーディの回想シーンと「音」の正体が分かった瞬間の恐怖といったら