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トイレの神様

女性用トイレ(個室)が2つしかない会社で、

「いつもどっちに入っている?」と先輩に聞かれた。

これは昔の話だ。とにかく、先輩の質問が不思議だった。

「手前か、奥か。いつもどっち使ってる?」

レイアウトは入口側と、その奥。

「奥です」

2択のトイレ、どっち使おうと関係ないじゃん、と思いつつ

奥です、と答えた私に

「やっぱりね!○○さんは奥だと思った!」

何だかよく分からなかった。


聞けば、手前と奥、どっちのトイレを使うかで、性格が出ていると。

「奥の方が、落ち着きやすく、陰(いん)に籠もりやすい」

そういう性格の人は、奥のトイレを好む、と。

同僚のあの人と、あの人も派なのよ、と教えてもらった。

確かに‥。妙に納得してしまった。

奥のトイレの方が落ち着く。

集中できる。一人になれる。

入口側は、落ち着かない。

だから奥のトイレに先客がいる時以外は、使わない。

すぐ隣同士のトイレなのに、この差。


当たり前のことを先輩に言われただけだが、なぜかとても悔しかった。

当たってる…はい、陰に籠もる性格なんです、と言いたくなかった。

そう思われたくなかったからだ。


そこでどうしたか。

その日から、逆のトイレ、つまり入口側を使うことにした。

最初は慣れなかった。

落ち着かない。

それでも、入り続けた。

あたかも「私は手前のトイレで大丈夫なんですー」と、問題ないかのように振る舞って。

たかがトイレ。

されどトイレ。

たったそれだけに慣れるのに、1ヶ月くらいかかった。

何しろ長年の習慣で、奥のトイレに居心地良さを見出していたから。

それでも入口側のトイレに入り続けた。


そうしたら、どうなったか。

陰に籠もらなくなったのだ。

社内における立ち振る舞いが、明るく変化したのだ。

トイレで「くそーあいつー」などとウジウジ考えていたことが、トイレでは考えずに、直接‘あいつ‘さんにお話できるようになった。

モヤモヤな思いが表に出せるようになったのだ。

入るトイレの場所を変えただけ。

たったそれだけなのに、一年経ったら、性格まで変わったのだ。

結局、なりたいと思っていた自分になれた。

すごいよ…

トイレに神様いるかもしれない。

私の習慣を変えて、自分を変えるんだという決意。そして、その私の行動のパターンを逐一見守っていてくれたのだ。

「おぉよくぞ耐えて、今日も奥のトイレに逃げなかったな」って。

ありがとう、トイレの神様^^♪



本当にありがとうございます😊嬉しくて小躍り!!💖