『新しい先生』

これを食べ終わるまで、お昼休みに行けない。
目の前のピーマンの肉詰めを見つめながら思う。

まだ給食の時間はたくさんある、55分までに食べればいいんだ

あんまり好きじゃない牛乳もちゃんと飲んだし、ピーマンの中に詰まってたお肉もピーマンの味がうつっててウゲってなったけどちゃんと食べた。
だけどピーマンだけはどうしても食べられない。

気づいたら時計の長い針は10を指してる。

あと5分しかない…
あと5分したら、みんなお昼休みに行っちゃう

〇〇君もピーマン食べられないのに全部食べ終わってるのは、きっとティッシュにくるんで捨てちゃったんだろうな。

僕も捨てちゃいたいけど、見つかったら怒られるし…

あぁ、もう針はほとんど11になりそうだ。
食器を戻してないのは僕だけ。

前は掃除の時間まで食べられなくて鼻つまんでなんとか食べたんだっけ。
いつかは食べなきゃいけないんだから今食べちゃえばいいんだ。
そう思うけど、食べられないものは食べられない。

キーンコーン…

「それでは、みなさん、ごちそうさまでした!」
級長の〇〇さんが言う。お昼休みがはじまる。
僕はまだ食べられない。
クラスのみんなはほとんど教室から出ていっちゃった。
最近やってきた新しい担任の先生が近づいてくる。
うわー怒られる。
なんか周りをキョロキョロ見てる。
「もー」
と言って、僕のピーマンをつまんで食べちゃった
え?
「お昼休みよ」


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