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「同じ3年目、同じチームだけど違うストーリーが見えてくる」_まちとしごとのインサイドストーリーvol.03.04 下尾 彩加/内村 萌乃

まちとしごと総研では、組合員の取り組みを支える、いろいろなスタッフがそれぞれの思いをもってプロジェクトをに取り組んでいます。皆さんの思いを紹介する「まちとしごとのインサイドストーリー」

今回は、事業コーディネーターとして、現場で取り組む若手スタッフ(3年目)の下尾彩加(しもお あやか)さん、内村萌乃(うちむら もえの)さんにお話を伺いました。同じ組織で同じ3年目ですが、それぞれの目線から見えているものとは…?


まちづくりへの思い、原体験は…

Q,お二人が、まちづくりに関心をもったきっかけ、原体験はなんだったのでしょうか?

内村さん:私がこの仕事に興味を持った原体験は、大学のゼミの授業です。島根の大学に通っていたのですが、その授業では地域の課題を自分たちで探し、解決策を提案する活動をしていました。島根県は高齢化が進んでいる地域で、私たちのゼミで取り上げた課題も地域の高齢者に関するものでした。

宅配弁当を提供する活動を行っている会社を取材し、その活動を同級生や地域の方々に紹介しました。これまで、高齢化の問題について漠然とした話しか聞いていなかったのですが、実際に自分たちで取材を行うことで、よりリアルな課題が見えたことは大きな経験でした。

もう一つの原体験は、母が地元の島根でコミュニティカフェを始めたことです。地域の方がカフェに来て、母や他のお客さんとコミュニケーションを取る姿から、孤食の問題が解消されるかのような様子を目の前で実感しました。私も地域のために何かをしたいと思うようになったのが大きなきっかけですね。

下尾さん:私の原体験は、学生時代にフリースペースで出会った友人に助けられたことです。私は滋賀で大学生活を送り、コロナ禍で大学が対面授業を行えなくなった時期に、オンライン授業などのサポートがなく苦しい状況でした。この問題に対して、同期や後輩たちと共に署名を集め、大学や県議会に大学の環境改善や支援を求める活動をしたんです。この活動を支えてくれたのが、フリースペースで出会った他大学の友人や大人たちでした。大学等所属は異なりますが、「なんとかしたい」という思いを受け止めてくれた彼らの応援のおかげで、インターネット環境の整備予算等を確保することができ、後輩たちのために一定成果を残すことができました。

もうひとつは、仲間と共に自分のやりたいことを追求できるネットワークです。大学時代、フェアトレードをテーマに卒論を書き、課外活動としてフェアトレードについて学ぶイベントを開催する学生団体に所属していました。参加者として初めて参加した勉強合宿で、仲間たちと夜遅くまで語り合う楽しさを知りました。フェアトレードという1つのテーマを通して、真剣に議論し合える仲間と出会えたことが自分にとって大きな喜びでした。その後、運営側として関わるようになり、自分が参加者として感動したような場を作りたいと尽力しました。

学生時代、自分の弱さをさらけ出し、ありのままの自分を受け入れてもらえた経験から、他の人が自分らしくいられる場を作り、その人たちを応援できる自分になりたいと思うようになりました。

思いの源泉をもとに、応援する側になりたい

住民ワークショップのファシリテーションを担当する下尾さん

Q,お二人は、どんな経緯でまちとしごと総研と出会い、入社されたのでしょうか?

内村さん:地元にも地域の課題はありましたが、まちづくりに関わる仕事や団体が少なかったんです。そこで、まちごとの活動を知り、私がやりたいことができると感じて応募しました。

まちごと総研のホームページを見たとき、京都にはこんなまちづくりに取り組んでいる団体があるんだと驚きました。コロナ禍で実際に訪れることはできませんでしたが、地元にこだわらず、やりたいことを追求するために思い切って京都に来ました。結果として、出てきて良かったと感じています。

下尾さん:私は現在の仕事が2社目で、前職は塾の営業をしていました。しかし、その仕事では一回限りのお客様との関わりで終わってしまい、その後どうなったかを追うことができませんでした。

まちごと総研が紹介されていた記事で、「地域住民の言葉にならない願いに寄り添う。」という内容が書かれており共感し、日常的な関わりを大切に人間関係を築きながら働けることに魅力を感じました。

三木:下尾さんは、特に見学や事前訪問を推奨したり案内していたわけではないのに、自ら問い合わせて見学を希望してこられ、当時の採用担当者がその姿勢を印象深く感じてましたね。

根本の部分はとても大事にしているチーム


Q,実際に働いてみて、まちとしごと総研は期待に応えてくれていますか?笑 どんなところという印象ですか?

下尾さん:自分の仕事に信念を持って取り組んでいる方が多いなと感じます。仕事という言葉は「仕える」と書きますが、「志事」という言い方が適している方が多いなと感じます。

印象的だったのは上司の三木さんの「誰もやりたがらない難しいことに意義がある」という言葉や、伏見いきいき市民活動センターのセンター長の藤本さんが「困難は成長のチャンスだから、常に困難を感じていたい」とおっしゃっていたことです。そのような姿勢で、どんな困難にも前向きに取り組み、解決策を考え行動する姿はかっこいいと思いました。

ただ目の前のタスクを片付けるのではなく、先を見据えて取り組む姿勢があるからこそ、難しいことにも前向きに取り組めるのだと感じます。チーム全体がそのような姿勢を持っていると感じ、その環境に身を置けることに感謝していますし、自分も力になれるようになりたいです。

内村さん:私が配属されている下京いきいき市民活動センターでは、全体的にラフな雰囲気がありつつも、細かいところはとても丁寧にしている印象があります。

センターはいろんな人が集まる場所で、利用されているみんなが好きな活動をしています。しかし、その一方で地域の人の困りごとや相談には、どんなに忙しくても対応し、じっくり話を聞いたり一緒に悩んだりしています。根本の部分はとても大事にしているチームだというのが私の印象です。

例えば、センターには子どもたちが来る機会が増えていますが、安全に遊べるように、何か提供できないかとセンター長に相談したところ、やりたいことがあればセンターの設備を使ってやっていいよという形で、基本的には後押ししてもらえました。

一方で、SNSやホームページに地域の出来事や行事を載せる際には、地域の人にどう伝わるか、表現や伝え方に気をつけるように注意しています。このように、自由さと丁寧さのバランスが重要なのだなと感じています。

小さな積み重ねが少しずつ物事を動かしていく

下尾さんが担当する居住プログラムの入居生のみなさんたち

Q,お二人は主にどんな業務を担当されていますか?また担当業務ではどのようなやりがいを感じていますか?

内村さん:私は下京いきいき市民活動センターに配属され、市民活動センターの運営に携わっています。センターの会議室貸し出しや、地域の方の相談対応、イベントの企画や運営なども行っています。

例えば、「Dive-in SHIMOGYO」という企画を担当しました。市民活動団体がどうやって活動を継続していけるかを考えるために、ビジネスの考え方を取り入れることをテーマに私は企画を行いました。センターでも、イベントを1回開催してみる団体は多いのですが、その後の活動の継続がうまくいかないこともあります。同じような課題を抱えている市民活動団体もあるのではないかと思い企画しました。参加者には新しい考え方を伝えられたと思うので、個人的にはイベントが成功したと感じています。

地域の相談対応として印象的だったのは、スマートフォンを新しくしたおじいちゃんが「使い方を教えてほしい」と窓口に来たことです。一緒に操作方法を教えたのですが、こうした小さな困りごとにもセンターを頼ってくれるというのは、信頼されているからだと思います。これからも、何かあったらセンターに来て相談してもらえるような場所にしていきたいです。

下尾さん:私が主担当を務めているのは、市営住宅への大学生居住プログラムです。これは、大学生が市営住宅に住み、地域住民と一緒に自治会行事を行ったり、地域との交流を深めたりするプログラムです。

大学生居住プログラムは今年度で6年目を迎え、卒業生も10名ほど出ています。卒業生たちは、地域に住み続けている現役の学生や住民に対して、常に気にかけてくれる存在となっています。これは私自身が学生時代に受けた経験とも重なり、非常に嬉しい循環だと感じています。

日常業務としては、学生の相談対応や自治会活動、イベントの企画運営、新入居生の募集などを行っています。また、月に一度、学生、自治会、大学関係者が集まる定例会を開き、今後の予定を確認・相談したりしています。

業務は大変ですが、多くの関係者の思いを汲みつつ、方向性を見出して進めています。自治会とのやり取りでは、事務所に通い続けて話し合いを重ね、時にはご飯を食べながら意見を交わすこともあります。こうした小さな積み重ねが大切であり、それが少しずつ物事を動かしていくのだと感じています。

相手の事情や状況を踏まえ寄り添う姿勢で接する

ワークショップの企画・進行を担当する内村さん

Q,お二人は地域で様々な方々に関わっていく機会も多いと思います。関わるうえでどのようなことを大事にされていますか?

下尾さん:会いに行って話をすることが大事だと思っています。足を運んで実際に顔を合わせることで、すぐには変わらないことを念頭に置きつつ、コミュニケーションを取り続けることが重要だと感じています。

人と人との付き合いの中で相手の考えを聞くことが大切だと感じました。例えば、ある住民さんが強く意見を伝えてくれた際の背景には、深い思いや理由があったのだと、3年目になってやっとわかってきました。こちらの都合ばかり押し付けず、相手の事情を聞いて推察することを心がけています。

1年目は目の前のことで一喜一憂していました。提案が受け入れられずに落ち込むことも多かったです。しかし、少しずつ伝え方を工夫し、相手の事情や状況を踏まえた対話が大事だと学びました。

内村さん:私が地域の方々と関わる上で大事にしているのは、まず地域の歴史や背景を知ることです。私が働いているセンターの周りにはフェンスが立っている場所がいくつかあります。最初は、こんなに賑やかな京都駅の近くになぜフェンスがあるのか疑問でしたが、調べてみると様々な背景があることに気づきました。

この地域に来た当初は、外から見た地域の印象しか持っていませんでした。しかし、実際に住んでいる人々の生活や日常が見えていなかったことを反省しています。

また、聞く姿勢も非常に重要です。センターには様々な人が訪れます。施設を利用する人や地域の人、下京区で活動している人など、様々な相談や声があります。例えば、施設の利用者が改善点を求めることもあれば、ただ話を聞いてほしいというだけの人もいます。対応する際には相手が何を求めているのかを考え、その人に寄り添う姿勢で接することが必要です。

まちづくり領域で成長するチーム

対談グラフィックレコーディング by 三宅 正太

Q,お二人のまちとしごと総研で、今後どのようになっていきたいという意気込みをお聞かせください!また、担当業務の展望もお聞かせください!

内村さん:私はこれから事業や新しいことを始める際には、地域の人々を忘れずに活動を進めたいと考えています。事業規模が大きくなると意識が他に向かいがちですが、このセンターのある場所には住民がいて、生活があります。困ったときにセンターに来てくれる人たちをおろそかにせず、活動を展開していきたいと思っています。

センターの近くには2023年の10月から市立芸大が移転して来られ、学生が多く入ってくるエリアになりました。芸大は地域に開かれた大学を意識しているようで、地域の方と学生が良い関係を築き、一緒に地域を盛り上げる活動を作っていければと思っています。そのためにセンターがコネクタとして、地域の人々と学生を繋げる場所として機能することが、町にとっても住民や学生にとっても良いのではないかと考えています。

下尾さん:3年目に突入した今、これまでを振り返ると、目の前のタスクに追われて一喜一憂することが多かったです。今後はそれは何のために行っているのかを考え、取り組んでいきたいと思います。チームの皆さんそれぞれに得意分野があるので、それを活かしていけるとよいのではないかと思っています。私はまだそういった面で貢献できていないかもしれませんが、自分の強みを見つけて、チームにもっと力を活かせるようになりたいです。

また、大学生の団地居住プログラムでは、京都市内に残っている卒業生もいますが、離れた進路先で頑張っている皆さんも、現役生や地域住民のことを気にかけてくれています。離れていても顔の見える関係を築き、気軽に声掛けしあえたり、応援しあえるコミュニティを作りたいと思っています。そのために、気軽に帰ってこれる場所、現役生やOBOGがつながり続けられるような場を作り続けていたいと思います。

ーーーありがとうございました!

※2024年の採用は9月ごろにリリースする予定です。詳しくはホームページをご覧ください。
【公募終了】まちとしごと総合研究所では伏見いきいき市民活動センターの事業コーディネーターを募集しています。関心を持っていただけた方はぜひ以下のURLをチェックしてください。  https://machigoto.org/2023/12/19/fushimi-wanted_2024/


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