見出し画像

#6最近の女児カルチャーの変遷について研究

自由研究日誌:#6平成から令和にかけた女児たちのトレンド研究

みなさんこんにちは、自由研究家まちどりこのみです。
以前、トー横キッズという存在がこどもたちにも広がっているという記事を出しました。その記事を出す際にインターネットを見ていろいろ調べていたのですが、とある画像が目に止まりました。それがこちら。

えっ…!!!?

これは2022年11月号の少女漫画雑誌「りぼん」の表紙です。「最近の女児たちはみんな病んでるのか??」と当時かなり賛否両論が巻き起こり、話題になっていたそうです。
私は幼い頃から「ちゃお」派であったことと、2022年当時私は高校3年生で少女漫画雑誌は卒業していたことも相まってこの話題は全く知りませんでした。
もしかしたら、私が読んでいた「ちゃお」や「なかよし」も?と思い検索をかけてみるとこれまたびっくり。

最近の御三家は!!!色が!!!おしゃれ!!!

私が小学生の頃の御三家といえば、

このようにビビッドで、水色とか緑とか黄色とかいわゆる「ポップ」なカラーリングが多かったイメージです。
純粋な疑問として、なぜこんなに変化したのでしょう?

ということで本日は!平成と令和の女児向けコンテンツから見る女児たちのトレンドについて研究してみようと思います。


「最近のこどもたちは何が好きなの?」と聞かれる理由がやっとわかった

私がこどもの頃に聞かれた「最近学校で何が流行ってるの?」という質問をされた時、
「え?なんでわからんの?」と私は本気で思っていました。
「今余裕でトレンド追えてるんだから大人になっても小学生のトレンドくらいついていけるはず!」とも思ってました。
今となってはもう3回卒業式を終えたので、今のこどもたちのトレンドなんてまるで触れる機会がないのですが、小学生の頃は時代や環境や触れるものが変わっているという実感がなく、6年間も同じ場所で過ごしたので卒業式が来るまで小学生としての生活が永遠に変わらないものだと錯覚していたんです。実際トレンドはその時その時によって目まぐるしく変わっていきます。
今回は平成中期(2010年代)から令和の現在までの女児トレンドを見ていこうと思います。

2010~2015

アイドル戦国時代が起こした「お姉さん」への憧れ

私が小学生時代を過ごした2010年代前半。ある時代が幕を開けました。

それが、「アイドル戦国時代」です。

AKB48や嵐をはじめ、ももクロ、乃木坂、EXILEやE-girlsなどのLDH系のパフォーマンスグループ、さらに少女時代やKARAなどの韓国アイドルも日本にやってきた時代でした。その影響があり「アイドル」という職業にフォーカスしたこども向けコンテンツが続々登場しました。
例えば、「プリティーリズム」「アイカツ!」「リルぷりっ」「プリパラ」などがあげられます。

左から 「プリティーリズム」「アイカツ!」「リルぷりっ」「プリパラ」

セーラームーン、プリキュア、おジャ魔女どれみ、CCさくらなどの従来の女児アニメに比べて「魔法少女」的な要素や「悪との戦い」などは少なく、
いつもと違う姿に変身して輝くという「アイドル」という職業柄を活かしたコンセプトになっています。

このアイドルアニメの4作品、この4枚の画像を見ただけでもたくさんの共通項が見受けられます。

  • センターの子のイメージカラーがピンク

  • センターの両隣にちょっとクールなキャラデザの子が2人いる

  • 全員、服の袖がパフスリーブか肩を出すデザインになっている

  • 必ず1人はヘソだししている

  • センターの子は胸元や頭に大きなリボンがある

  • イメージカラーが紫の子が必ずいる

などなど。
他にもミニハットやシュシュやうさみみリボンなど、当時の小学生よりも上の世代で流行したお姉さんたちのファッションアイテムが多数登場しています。2010年当時のポップな原宿系を彷彿とさせます。
恋愛的な要素はありますが、その度合いは作品によってまちまちです。あまりメインストーリーとして押し出している印象は無く、あくまで「恋模様」はサブ要素として取り入れられている印象でした。

2016~2019

日常が特別になる「恋」と「アオハル」

「6秒動画」で話題になったVineや、mix channel(現ミクチャ)、TikTokなどのショート動画が人気になり始め、小学生がインターネットに触れられるようになった2010年代後半。
「アオハル」「エモい」という言葉が出始めたのもこの頃で、若者たちが日常を非日常的に切り取って楽しむようになりました。
私は当時動画の中で、中高生たちが恋に遊びにキラキラしている様子を憧れの眼差しで見ていました…。クラスの女子の間ではHoneyWorksが流行しており、電車通学っていいよね…花火とかイルミとか夜にデート行けるの羨ましいよね…と小学生では実現できそうにない「アオハル」に想いを寄せていました。

「病名恋ワズライ」とか「東京サマーセッション」とかめっちゃクラスで流行りました。

そんな中、2012年から2019年までちゃおにて連載されていた、まいた菜穂先生による少女漫画「12歳。」は多くの女児たちに「恋」の楽しさと、小学生ならではの「アオハル」を教えてくれました。この漫画に影響されて小学生で初めて彼氏彼女を作ったという人もいるのではないでしょうか(小学生時代の彼氏・彼女はカウントしない人も多いようですが笑)。
私の周りにも5年生あたりから何組かカップルができていて、イベントごとがある度にその子たちの恋バナを聞くのが好きでした。

ちなみに「12歳。」はその人気ぶりから漫画だけでなくアニメ、実写ドラマ、ゲームなど様々な
メディアミックス展開を広げました。

ちなみにこの頃は「ボカロ曲×ストーリー展開」によるコンテンツが充実した頃でもありました。同時期に流行した「カゲロウプロジェクト」もコンセプトは全く違えど、部類的には似たコンテンツです。アニメでもゲームでもなく、ボカロ曲でストーリーを展開していくという新しいコンテンツに若者だけでなくこどもたちまで興味を持ちました。

2020~現在

誰もが輝いて見える画面の向こうの世界

コロナ禍が始まり、世の中の常識が全て変わった2020年代。これまで憧れていた「アオハル」はどこかへ消え去ってしまいました。友達と一緒にご飯が食べられない、外に遊びに行けない、学校行事は中止・短縮、みんなマスクで友達がどんな顔か知らない。想像を絶するような学校生活が待ち受けていたわけです。
ステイホームな中こどもたちが見ていた「Youtube」「TikTok」などの動画配信サービスで、こどもたちに瞬く間に人気になったのが、
「V tuber」です。
正式には「バーチャルユーチューバー」と言います。
2016年に生まれた日本初のVtuber・キズナアイがこの言葉を広め、現在はVtuberのアイドルグループや事務所まで立ち上がるなど新たなジャパニーズカルチャーとして世界中からも人気を博しています。

アニメキャラクターは声優さんが声を演じているので「存在している」という実感がないのですが、Vtuberの中の人的な情報は、ものすごく調べあげない限り公には出てきません。
さらにVtuberはリアルタイムで生配信を行うので、実際に画面の向こうに「存在している」という実感を得ることができるのです。

最近では、2週間という史上最速のスピードでチャンネル登録者数100万人を達成した壱百満天原サロメなどが有名です。

お嬢様に憧れる一般人系Vtuberとして活動されています。初配信では胃カメラの映像

さらに、前から存在はしていたものの2020年代に入ってから女児たちに爆発的な人気を博したカルチャーが、
「歌い手グループ」です。
結成当時から多くの人気を集めた元祖歌い手グループすとぷりをはじめ、いれいす、SIXFONIA、Knight A-騎士A-、めろんぱーかーなどなど。多種多様なイケメンがいる歌い手グループは小中学生の女の子たちの心を掴みました。

彼らは自身の姿を表さず、二次元の仮の姿でアーティスト活動をしています。最初はオリジナル曲などは出さずに、ボカロやヒット曲のカバーを配信するいわゆる「歌ってみた動画(歌みた)」を投稿していたことから「歌い手」と呼ばれるようになりました。
あの「令和の歌姫」と称されるAdoも、メジャーデビュー前は歌い手として活動していました。
歌い手はグループによってリアルライブを開催することもあり、そこでは仮の姿ではない三次元の姿を生で見ることができます。
歌い手もVtuber同様、「存在している」という実感があるのです。



また、「トー横界隈」などの日本の裏社会問題がニュースでもSNSでも大きく取り上げられ、それがこどもたちにも大きく広がった2020年代前半。
とある漫画が、2023年1月に第68回「小学館漫画賞」少女向け部門を受賞します。
漫画「明日、私は誰かのカノジョ」です。

レンタル彼女、パパ活、整形、風俗、ホス狂など裏社会で生きる女性たちのリアルを描いた作品です。

かつてのこどもたちがココアシガレットを持ってタバコを吸う真似をしたように、この怪しげな大人の世界にこどもたちが目を輝かせるのもなんとなく分かります。(きっとコロナで青春のキラキラが見られなくなったから、都会のネオンのキラキラに憧れを抱いたのではないかと思います。)
令和の女性たちは強かで、
「男受けより自分受け」
「推しに貢ぐためならどんな手段も厭わない」

この作品ではそんな価値観を伝えているように思えます。

また、最近の「推し活」ブームにより、かつて「アオハル」を伝えていたHoneyWorksも「推し活に励む地雷系コンカフェ嬢」をモチーフにした曲
「可愛くてごめん」をヒットさせました。

「オタ活」が「推し活」に変化した令和。ここからオタクファッションの一つであった
「地雷系ファッション」がこどもたちから人気を得ます。

2010年代に人気だった青、水色、ミントカラー、黄色などのポップで爽やかな色とは対照的に、2020年代ではピンク、紫、黒、白、くすみ系の色が流行しました。これらの色は少しガーリーで毒っ気のある雰囲気を醸し出しています。

まとめ

いかがだったでしょうか?比較的最近のカルチャーをまとめたので、この記事を見ている方は全く世代じゃない人も多いのではないでしょうか。最近は、初代プリキュアやおジャ魔女、ラブベリなどいわゆる平成女児コンテンツと呼ばれるものが大人向けにグッズ展開されていますが、この辺は1999年〜2008年くらいのコンテンツなので、上記の2010年代の女児カルチャーが好きだったというとお姉さんたちに言うと、

「は?めちゃくちゃ最近じゃん!!何が懐かしいだよ!こんな最近のが懐かしいとか言われたらショック!」と返ってきます…(泣)


だって本当に懐かしいんですもん!大好きなんですもん!そんなつもりで言ったわけじゃないのに…。こっちもショックを受けちゃうんです。早く2010年代の女児カルチャーを、堂々と思い出話として語れる日が来ればいいなって思います。

ということで今回の自由研究は以上です!
また次回の研究でお会いしましょう!

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは研究の活動費に使わせていただきます!