6.メンタル崩壊と"闇"の話

⚠️こちらもだいぶ長めですが、最後まで読んで頂けたら嬉しいです。言わゆる、ミソです。


出稼ぎに逆戻りになったのは、2022年10月後半。

なぜか仕事する気にならず、出稼ぎ先も見つからず。だったので、お姉ちゃんのように慕っているお友達のお家で、ふたりで1週間ゆっくり過ごした。
最高なご飯を毎日ありがとう。



11月に入り、すぐ出稼ぎに行く事に。
花粉症かと思いきや、単純にものすごい風邪を引いていただけだった😌
三重県の皆様、移してたらごめんなさい。


「絶対に誕生日にこんな仕事したくない、無理」と思っていた為、2ヶ月前の名古屋での出稼ぎ中に、飛行機の往復チケットを取っていたわたしは、誕生日を1週間後に控え、地元であっという間の1週間を過ごした。
食べすぎて体重戻らんのどうにかしてもらいたいが。



地元から関西に帰ってきてすぐ広島の出稼ぎに行った。ここには、ソープで最も最短であろう、35分コースというものが存在する。初めて聞いた。ビックリした。
店舗を確定する表記にはなかったもの。
そして面接で「15時間待機(オープンからラスト)」と言われたが、は?え?聞いてないですけど。と、断固拒否したものの、喧嘩になりそうだったので、渋々(土)(日)だけは15時間待機することに。
(マジでどれも聞いてねえんだが)


期間は7日間だったが、3日間仕事をして、メンタルが限界を迎えた。

「もうこんな仕事辞めたい、もう嫌だ、お願い、助けて下さい」と、待機中にひとりで神様と仏様に向かってブツブツと呟く始末。

客層が合わなかったのも一理あるし、35分コースでフリーなのにNSという、言わばクソばかりなのも一理あるし、きっと広島が全ての原因ではないと思う。

いつも、意地と根性だけで、完走してきた。

どれだけ体調が悪くても、下が痛くても、下から血が出ても、乳首が取れそうなぐらい痛くても、ベロベロとキスされすぎて唇がたらこ唇になっても、生理中でも海綿突っ込んで出勤して、偏頭痛で吐きそうでも、「仕事だから。自分で決めた期間だから。」それだけで耐えてきた。

本当に体調が悪くて仕事が出来る状態じゃなくて途中で帰ったのは、和歌山での偏頭痛と、佐賀での溶連菌に感染した時だけ。
あれだけ全国各地回ってて、2回だけ。

コロナにかかる事もなく、インフルエンザにかかる事もなく、性病になる事もなく、1年間走り続けた。
歯食いしばって、泣きたくても我慢して愛想笑い振りまいて、全力で目の前のお客様に快楽を提供してきた。

なのに、広島の4日目でまさかの不正出血。
ピルを飲んでる為、不正出血することはまずない。
生理周期も安定して月に1回乱れることなくくる為、尋常じゃないストレスがかかってると思い、早急に「不正出血してるので帰ります」と帰宅することに。
海綿なんか持ってきてなかったしね。

いつものわたしなら、不正出血したとしても、お客様にバレないことを願いながら黙って仕事をしていただろうし、海綿を買いに行ったと思う。
その選択をせずに、思考よりも体が帰る決断を下した。

耐えてきた細い糸が、目の前でブチッと音を立て切れ、スルスルと零れ落ちていった瞬間だった。

なぜか、泣きたいのに、涙が出てこない
笑っている自分は居るが、心の底から笑ってない
死んだ魚の目をしている
わたしのメンタルは完全に崩壊したことに気づいた。

見ないようにして、働き続けた結果がコレ。
この仕事が自分には合ってると思い込むようにしていた。
自分のストレスとは向き合わないように、必死に目を逸らして、お酒で忘れてリセットされた気でいた。

出稼ぎという仕事は、確かに規約さえ守れば保証金額が確約している分、その分・もしくはそれ以上に仕事をしなければならない。

どれだけ苦しくても、どれだけ痛くても、どれだけ意地悪で傲慢で乱暴なお客様でも、こなさなければならない。 それがわたし達のお仕事だから。

ここだけの話、どんな仕事よりも性産業はキツい仕事だと思う。
相手は生身の人間で、相手の気持ちを汲み取り、性的快感を与え、射精へと導かなければならない。
どれだけ、こちらが望まないお客様だったとしても、パネルで選ばれてしまったら最後、拒めない。
普段の生活をしていたら絶対に関わることの無いような人種でも、選ばれたコース分はきっちり仕事をしなければならない。
言いたくない事も言わなければならない、ひたすら耐えて笑顔を振りまき、膣を貸しながら演技するお仕事。

ましてや、わたしはスタートからNSだったが故に、そのコースがついて回る。
そのコースの方が、ぶちゃけお客様の食いつきはいい。
だが、失うものの方が多い。

一番最初に失ったものは、感情。
OL時代、喜怒哀楽の激しかったわたしは、感情をまず失った。
喜びは一瞬で火が消え、怒りがパワーに変わり、哀はそもそも消した、楽は喜びと同じく一瞬で火が消える。
笑えない、泣けない、怒りが湧かない、悲しくもない、緊張なんて全くしない。
NSだろうが、S着だろうが、何とも思わない。

今後の人生で、感情は戻って来るのだろうか。

キャリアを捨て、地元を捨て、家族や友達を捨て、出会いと別れをひたすら経験し、感情を失い、一般常識さえも失いかける。


毎月のピル代、性病検査代、ドレス代、下着代、ヒール代、ウエトラ代、お客様用のボディーソープ代、歯磨き粉代、入浴剤代、高い保湿クリームや化粧品、、、
わたしは、上記に加えて、生活必需品は自宅用と出稼ぎ用で分けてた。
買うものも多く、全てが消耗品。


お給料は、一般職に比べたらそれは高いに決まってるが、これだけの出費や精神を削り、人生の時間を消費している割に合わない安さ。

男性方に質問です。
60分の女の子のバック、なんぼか知ってますか?
基本が、¥10,000です。
NSがついたらそこに+¥3,000が基本です。
値段の安さ、分かりますか?
どれだけの覚悟が必要か、知ってますか?


店舗はどんどん安売りしていってるのに、コロナ禍で若くて可愛い女の子がどんどん入ってくる。
12時間待機していて、どれだけ日記をあげたって、ネットが、コールが、鳴らない日もある。お給料ゼロ。
そんな苛立ちと恐怖と、戦った事はありますか?


お願いなので、女の子に優しくしてください。
相当なストレスと戦って、でも会いに来てくださったあなた様を癒し、快楽へと導く為に必死で頑張っています。
どうか、優しく、丁寧に。
女の子が嫌がることや、A〇のような気持ち悪いことはしないでください。反吐が出る。


わたしは、もう、戦うのをやめました。
本当は、2022年〜2023年にかけての年末年始をこなして、シレーっと上がろう。貯金してから辞めよう。と、思ってました。
こんな出稼ぎ3日間だけで帰ってきてしまうなんて、わたしのプライドが許しませんでした。
そこも追い込みすぎて、メンタルを更に崩壊させてしまった結果、もう完全に風俗という仕事が出来なくなりました。


今は、電車で隣に座られたり、目の前に立たれるだけで、そのオジサンがどんなプレイをするのか想像がつき、吐き気と、泣きそうで泣けないあのモヤモヤしたものが込み上げてきます。


わたしにとって、ソープ嬢という仕事は、好きで嫌いなお仕事。
まさに「闇」という言葉が良く似合う、そんなお仕事です。


つづく

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