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はれのひの詩 6/?

ぼくは生まれて初めて
親父に反抗した。

そこまで強い意志があって
行動したわけではないけど。

裏切りとも取れる反抗。

弓道部に入ったことは
オカンに伝える。

顔面蒼白でうろたえるオカン。

弓こそ学校の貸し出しであったが
袴、カケ、矢など先行投資も必要で。

親父に言えるはずもなくオカンに伝える。

オカンはどんな気持ちで親父に伝えていたのか。

今となっては細かい思い出はないが、旅費や試合参加費など必要経費の申請はすべてオカンに伝えていた。

弓道部に入って
今思っても良かったことがある。

それはぼくの性根に合っていたこと。
それと、素敵なメンバーに出会えた事。

地道な訓練から
的前に立って弓を引くまで。

遊んだり怒られたり練習したり。

まさにぼくは青春を謳歌していた。

2年生になった頃には
レギュラーに入り試合に出ていた。

他校との交流戦にも赴いた。

試合となると一気に空気は張り詰め
静寂の中で試合は執り行われる。

シーーーンとした会場で
的を射抜く矢の爽快な音。

パンっ!!

「よーしっ!!」

的を射抜いた仲間へ贈る歓声。

それが応援席にいる仲間からの掛け声。

ある日
隣の進学校へ通う幼馴染から連絡が来る。

弓道部に入ったんやって?
隣の隣の高校の
〇〇ちゃんって知ってる?
ファンがいるから写真撮ってくれへん?
売れるねん!

ぼくは名前を聞いてもピンと来なかった。
同い年の子の写真を買う人がいんの?!

けど、幼馴染に頼まれたからには
ミッションを遂行させたい。

そんな思いで次の交流戦の時に
〇〇ちゃんを探す。

初めて見る顔💦
ぼくは
「初めまして!写真撮らせてもらっていいですか!」
と、訳のわからない声をかける。

不審そうにこちらを見る顔。
「ええ、良いですが、、、」
と苦笑いで写真に応じてくれる。

あぁ〜良かった💦

これで幼馴染も喜ぶだろう!

これが4年後、ぼくに生きる希望を与えた
ひと言をくれた彼女との出会いである。

つづく。

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