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『おばあちゃんの家』

  美女もイケメンも登場しない韓国映画『おばあちゃんの家』を観て、泣いた人は世界中にいるんだと、Amazonのレビューを見て知った。10年以上前、わたしはこの映画をたまたまつけたテレビの映画専門チャンネルで観た。何故かテレビをつけたらタイミングよく放映されていて、何回か観る機会があり、その度に号泣した。
 『おばちゃんの家』はセリフが極端に少ない。だからかドキュメンタリー映画のような感じがした。当時検索したら、出演者の子役以外は一般人で、なるほど、と合点した。おばあちゃん役の外見や素朴さは演技を超えていた。
 映画の中のおばあちゃんは、山奥の「ぽつんと一軒家」で暮らしている。腰も曲がっているが、孫が食べたいと言ったフライドチキンを作るため、生きた鶏を捌くところから始める。というホラーなところもあるが、孫の為に無償の愛を捧げるおばあちゃんに、世界中が涙したのだと思う。
 
 「この家にはおぢいちゃんとおばあちゃんがいるのに、なんで〈おばあちゃんち〉って言うの?たしかにこの土地はおばあちゃんのだけど、家はおぢいちゃんが働いたお金で建てました」                                                                                                    
わたしが小学生低学年の頃、祖父に言われた言葉である。夏休み、蝉がうるさく鳴いている「おばあちゃんの家」の庭で、いつもは優しい祖父の真剣な眼差しを思い出す。

                                                                     

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