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2022年 坂道シリーズの雑誌・本10選

 この企画も3年目になって参りました。
 今年も100冊以上読みましたので、その中から特に好きだったものを10冊選んで紹介したいと思います。
 読んだその時に味わった感動の大きさ(発見の感動や情報量の感動なども含む)を基準に選出しました。以下、順番は発売順です。

1. 乃木坂46 北野日奈子2nd写真集 希望の方角

 巻末インタビューが非常に良かったです。今まで読んできた全てのインタビューの中で一番泣きました。あまりにも泣きすぎてインタビューを途中で読み進めることができなくなってしまい、心を落ち着けてから読むのを再開する、なんてことをしたのは初めてでした。
 オーディションに入るきっかけから始まり、アイドル活動における出来事を一つ一つ振り返ると共に、アイドル人生について総括的に話してくれています。学生時代のいじめ、劣等生だったレッスン、困ることばかりだった初選抜、アンダーと選抜の行き来、休業、卒業を決めた経緯。選抜のフロントには立てなかったけれど、『日常』という自分の代名詞になる曲に出会えたこと。ファンへの感謝。これでもかと言うほど思いがギュッと詰まっています。
 読んでいて非常に良い感情を貰えます。最高の感情でした。これを感動と言うのでしょうか。しかし単純に「感動した」と言うのは、こんなにも苦しみもがいてきた人生を、消費の対象としてしまっているようで抵抗感があります。だからしっくりする表現が見当たらないのですが、とにかくそれは良い感情でした。
 北野日奈子さんは乃木坂メンバーの中でも非常に独特な言い回しをする方だと思います。だからこそ彼女の言葉には、独特の重みが感じられるのかもしれません。

 「アンダーの3期生に奮い立って欲しい」という話からは彼女が自らのアイドル人生を肯定的に捉えていることが伝わってきます。
 高い評判を耳にすることが多かった2022年のアンダーライブの始まりは、北野日奈子卒業コンサートの翌日から行われた、29thSGアンダーライブでした。あの時あんなにも熱さを感じられた理由の一つには、メンバーにも観客にも、北野さんの思いが乗り移っていたからだろうという気がしてなりません。

 しかしただ一つ分からないのは、彼女が卒業を決めた理由です。このインタビューでは「天命」「やるべきことに向き合わないといけない」という言い方がされており、意図的に曖昧にされているように感じます。
 その後しばらく経って10月に行われたファンクライブイベントに私は参加したのですが、彼女にはどうやら卒業を決めた明確なきっかけがあるようでした。それについてはおいおい話すと思う、とのことでしたのでその時をゆっくりと待ちたいと思います。

2. 日向坂46 河田陽菜1st写真集 思い出の順番

 私が今までに読んだことのある坂道シリーズの写真集史上、最高傑作でした。河田陽菜さんは私の特に好きなメンバーの一人なので贔屓目が入ってしまう面は否めないのですが、それを差し引いても最高傑作と言っていいんじゃないかと私は思っています。

 まず、私としてはこんなにもコンセプトが明確な写真集は初めてなのです。読んでいてこれは「彼女との思い出のアルバム」そのものだと感じます。そのコンセプトの下に写真がセレクトされていて、さらに河田さん本人の言葉が一つ一つの写真に添えられているという新鮮な試み。そして物凄い量のページ数と、飽きることが一切ないあまりにも多彩なシチュエーション。全てが最高な形で結集した一冊になっています。
 もともと私は写真集の中でも「彼女感」が強い写真集が好きでしたから、このコンセプトはたまりません。精神的に近距離なカメラ目線の写真ばかりです。そして私にとって新鮮な発見だったのが、写真に一文が添えられているのってこんなにも良いのかと。そこには河田さん自身の言葉のセンスの良さがあるのかもしれませんが、私としては全ての写真集をこの形態にして欲しいと感じるほどでした。私がたぶん言語優位ということもあるのかもしれませんが、一文があることで写真の理解が深まるというか、写真一枚一枚が奥行きを持って感じられるのです。
 また、この一文にも様々なパターンがあって非常に面白いのです。詳細は発売直後に書いたnoteに書いたので良かったらご参照ください↓

 写真集と言えば私は巻末インタビューを楽しみにしているので、それが無い(撮影の思い出について語られた、河田さん本人の直筆のあとがきのみ)のが強いて言えば残念な点かもしれません。しかし、写真集のコンセプトを考えるとむしろそれが正解なのだと感じられます。それほどまでにコンセプトがしっかりした写真集でした。

 河田さんのインタビューという点だと、『BRODY 2022年12月号』が良かったですね。「ステージ上で、心の中は楽しいのに笑えていない時がある」「まわりから他のメンバーよりも頑張っていないように見られていると思っている」といった話は、普段はなかなか聞けない気持ちでグッとくるものがありました。

3. N46MODE vol.2 乃木坂46 デビュー10周年記念公式ブック

 なんと言っても久保史緒里さんの手紙が最高でした。
 発売日は5月10日。4月27日に行われた『第2回 5期生お見立て会』にて5期生は11人での活動をスタートさせますが、ファンの間にはまだ動揺が残っているように感じていた時期でした。「乃木坂らしさ」という言葉が、メンバーを攻撃する手段として利用されてしまっていた、そんな記憶も新しい時期でした。
 そのような中で久保さんは、「乃木坂らしさ」とは、様々な個性を認め許す「優しさのカタチ」なのだという独自見解を語り、「それに救われてきた」「これからも絶やさずにいたい」「誰かを救う力となりますように」と言います。そして、「全員を守りたい」「全員で前へ進みたい」「そんな乃木坂46を応援して頂きたい」と、宛名は「乃木坂46様」という形ですが、ファンにも伝わる形でメッセージを発したのです。
 久保さんはそれを「わがままでしょうか」と言いました。私は「とんでもない。むしろ、それは私の望みなのです」と思いました。

 当時の動揺を反映したメンバーの言葉が、あの段階で出版物に載ったのはこれが唯一だと思います。また、「乃木坂らしさ」という言葉について見解を発し、さらに「ファンに望む態度」のようなものにまで踏み込んで語っているのは、全ての機会を通しても、私が知る限りでは久保さんのこの手紙が唯一であり、非常に貴重だと思います。
 キャプテンなどは自分の意見がグループの意見になってしまうという難しい立場に置かれていたでしょうから、一個人として意見を発せられる立場の久保さんだからこそできた素晴らしい発信だったのではないでしょうか。

 私は3月に行われた『Time flies』のスペシャルイベントに参加する機会があり、そこでも久保さんは当時の状況を受けて改まった形で挨拶を行い、乃木坂への愛や自らの決意について語ってくれました。
 私はこの手紙と、あの挨拶、その2つを経験したことで、久保さんのことが大好きで大好きで仕方がないのです。絶大な信頼を寄せています。

 何度読み返しても名文というより他ないです。私の要約によってねじ曲がった形で彼女の言葉が受け取られることだけが怖いので、是非原文を読んでください。
 しかし当時、このような内容の手紙を、たくさんのファンが購入する雑誌に寄せるのは、相当に勇気が必要なことだったのではないかと思うのです。読んで感動したすぐ後には、私は心配を覚えたほどです。私の観測範囲では特に叩かれていなかったので、非常に上手い形でメッセージを発してくれたということになるでしょうか。

 ここまで久保さんの手紙についてのみ触れてきましたが、雑誌全体としても、5つのメンバー対談や、5期生全員インタビューなど、非常に充実度の高い最高の一冊となっています。
 『N46MODE』はこれまでにvol.0、vol.1、vol.2と3号出ていますが、回を追うごとにインタビューが充実する形に変わってきていて非常に嬉しいです。ただグラビアは、vol.1が割と男ウケも良い形になっていたのに対し、vol.2は女性向けファッション誌のテイストに戻ってしまっていて少し残念でした。

4. BRODY 2022年8月号

金村 今回、9人で『BRODY』さんの表紙を務めさせていただくことは奇跡に近いものがあるんです。

 小坂菜緒さん活動復帰後、渡邉美穂さん卒業前、というここしかないタイミングで実現した2期生全員の特集。
 2万6000字という大ボリュームで全メンバーの証言と共に、2期生の活動の歩みを振り返るドキュメントが掲載されています。

 私が日向坂のファンになったのは2019年途中くらいからでしたので、いくつかのドキュメンタリー作品で見聞きしたことやその他断片的な情報として過去の一部については知ってはいたものの、知らないことも多くて。そのような身としては、日向坂(けやき坂)2期生の様々な出来事が時系列で整理できて非常にありがたい機会となりました。
 さらには、小坂さん復帰の理由に言及があったのはかなり貴重なことでした。小坂さんの復帰後のインタビューは他に日向坂46新聞くらいしか世に出ていないという状況で、彼女がどのような思いで復帰したのかということには非常に関心があったので。その全てを知ることができたわけではないですが、非常に難しい状態の中、日向坂で活動したいという想いの強さを力にして復帰を果たしたことが伺い知れました。

 結成当初の話からは、2期生はライバル心が強かったということが改めて感じられて。特に渡邉さんが小坂さんについて、少なからず意識していたしお互いに高め合える関係だったと言及しているのがいいなと。そんな2人が『DASADA』の撮影期間に壁が壊れたと話しているのがまた素敵でした。
 また縦軸として感じられるのは、金村美玖さんの物語です。自己嫌悪に陥りがちだった加入当初。『キュン』では3列目に。しかし前に行きたいという想いを隠さず発信し、『ってか』ではセンターに。加入予定の4期生に対して「『私のように最初はガムシャラさだけの子でも、いつかはセンターに立てるんだよ』と伝えたい」という言葉は、そんな自らの歩みに誇りを持っているからこそ言えることだと思います。私はその誇りに胸を打たれました。
 さらに、前年のBRODY1期生特集で言及があった、『ひらがなくりすます2018』での『ひらがなけやき』を1期生だけで歌いたいの件について、2期生側の視点が聞けるのも貴重だと感じます。2期生に「本当に気にしなくていいからね」と声をかけたという齊藤京子さんはイケメンですね。

 インタビュー後のページの、渡邉さんと各メンバーの楽しそうな2ショットがグッときます。ラスト、渡邉さんのダブルピースのソロショットも最高です。

5. BUBKA 2022年8月号

 櫻坂2期生のドキュメントが4万字という超絶大ボリューム! 現在所属する全メンバーの証言と共に、2期生の活動の歩みが振り返られています。
 私が欅坂のファンになったのは2020年のことで、また映画も1期生のことが中心でしたから、2期生の歴史は知らないことばかりでしたので、新しく知ることが非常に多く、ありがたい機会となりました。各メンバーの葛藤がたくさん描かれていて、とてもグッとくる内容となっていました。

 特に、先に加入した2期生と、後から加入した新2期生の距離感の変遷が印象的でした。最初はそんなに距離感があったのかと。しかし今ではみんながお互いに声を掛け合って支え合っているというのが伝わってきました。
 リハーサルで先輩と2期生は何曲も踊って体が熱くなっているから冷房をつけていたけど、新2期生はずっと待機しているから寒くて6人で体を寄せ合っていたという増本綺良さんの語りは、まるで映画のワンシーンのようです。

 私が好きなのは、「制作大好き二期生」と呼ばれるほど2期生が制作過程が大好きだという話。これには、2期生がなかなか制作に携わる機会を得られなかったという歴史とともに、欅坂に憧れて入ってきた人たちだからというのがあると感じるのです。
 そしてまた、次に入ってくる3期生は、そんな櫻坂に憧れた人たち。どんなグループになっていくのか、非常に楽しみですね。

6. Seventeen 2022年夏号

 復帰を果たした小坂菜緒さんのインタビューが掲載。休養と復帰についてこれほど語られたのは初めての機会で、大感動で泣きながら読みました。

 特に感動したのが、ファンに支えられた話。焦りを感じたり落ち込んだりもしていた休養中、ファンから届くメッセージを読んで、「私がおひさまをよろこばせるぞ」という気持ちを忘れないままでいられたと。復帰をたくさんのファンが喜んでくれて、「あたたかなおひさまがいるからこそ、私はアイドルでいられるってことをあらためて実感できた」と。復帰した東京ドーム公演でファンを見て、「私の帰る場所はここだ」と確信したと。ファンとの関係が素敵だと思いました。
 さらに、アイドル活動への思いの強さに大感動しました。彼女は、「この休養期間を経て、あらためて"日向坂46が好きだ"と思ったし、"アイドルをめざして、アイドルになりたくてこの場所にきた"って思いがよりいっそう強くなった」と語っています。めちゃくちゃ嬉しいです。

 その他にも、グッとくるエピソードが詰まっています。「絶対に戻る」というビジョンがあったから、休養期間中も美容面や体系維持は休まずに継続していたこと。自分が出ていない日向坂のライブを見て、焦ったこと。でもメンバーからの連絡に支えられたこと。東京ドームに立ちたいという気持ちは揺らがなかったこと。東京ドームの『JOYFUL LOVE』で渡邉美穂さんに手をギュッと握られて見つめられた時の気持ち……。
 また、小坂さんはところどころにアイドルとしてのプライドが滲み出ていて非常に格好良いです。先述の「アイドルになりたくてこの場所にきた」という話もそうですが、「"ライブをみにきてくださった人を笑顔にしたい"とい思いが強いから」涙を見せたくないという話なども。やはり私は、そういうプライドに強い魅力を感じてしまいます。

 小坂さんの復帰インタビューとしては他に『B.L.T. 2022年11月号』も充実しているのでぜひ読んでいただきたいです。特に、ファンレターを読んで「アイドルの自分だけが、私じゃないんだ」と思えたというのが最高でした。そうやって"人"の部分でファンとアイドルは心を交わすことができるんだ、というのが私はとても嬉しくて。
 『Seventeen』の方が発売時期的に先で発見が多かったことと、具体的な話が多かったことから、今回はこちらを10選に入れさせてもらいました。(『B.L.T.』では精神世界の抽象的な話が多く、これはこれで非常に面白かったです。)

7. philme 1st anniversary book

 これは推しメン贔屓の選出です。乃木坂46を卒業してから約1年、初めて大園桃子さんのインタビューを読む機会がやってきました。これがどれだけ嬉しかったことか。

 大園さんがアパレルブランド「philme」の立ち上げを発表したのは卒業後のことでしたから、実は、ブランド立ち上げの経緯や、卒業を決めた経緯にブランドのことがどう関わっているかは、この機会で初めて聞くことができたのです。
 大園さんは卒業を発表した際、新型コロナウイルスによる「自粛期間」がターニングポイントになったと何度も語っていましたが、実はこの期間に「自分が本当にやりたいことは何だろう」と考える機会があり、そこで洋服を作りたいという思いに気付いたとのことでした。逆に、洋服を作ろうと思わなかったらおそらく卒業はしていなかったと。
 好きなブランドのポップアップショップに行った時に、その場にいた社長さんに「急にすごい熱量で話しかける変な人」だったそうです。その結果、手取り足取り教えてもらうことになり、自分のブランドをオープンできたと。そんなに熱い想いがあったんだな、としみじみします。
 また、現在の仕事の様子が伺えるのも非常に嬉しいところです。洋服ができる最初から最後までの工程において自分の目が届く範囲でやりたいとのことで、そういう意志の強さが彼女の魅力なのですよね。

 そして何より感動したのは、「やる気次第で頑張れば、なんでも挑戦できるということにやりがいや魅力を感じています」という言葉。こんなに前向きな言葉を彼女から聞いたのは初めてな気がして、私は泣いてしまいました。大きな不安もあった中、全てを自分でやると決めてブランドをオープンし、こうして1周年を迎えられて本当に凄いなと、非常に嬉しく思っています。

 大園さんの卒業の経緯についての私の理解は以下のnoteに書いてあるので良ければご参照ください↓ 今回のインタビュー発売前に書いたものですが、インタビューを読んでも大きなズレはなかったと思っています。

8. B.L.T. 2022年12月号

 これは傑作インタビューです。菅井友香さんが卒業を決めた経緯に加え、いろんな角度から欅坂・櫻坂での活動7年間を振り返っています。かなり赤裸々に語ってくれている印象があり、彼女の抱えていた想いというのを知ることができて嬉しく思います。

 特に印象深かったのは、話題が移り行く中で何度も欅坂の話になり、櫻坂と対照的に語られていたことです。欅坂は、まとめるのは難しかったからこそ魅力的だったこと、ある種視野が狭くて本気で命をかけて取り組んでたこと、いきなり注目して貰えて等しく失うものもあったこと。どちらが良いということではないと思いますが、彼女は櫻坂では全く違う感覚を抱いているようで、興味深く思います。
 また、「もし1日だけタイムリープしてやり直せるとしたら、いつ頃に戻ります?」という問いに対して、「日本武道館のライブをもし自分達ができていたら、どうなっていたのかなっていうのは今でも考えることがあります。あの時に武道館ライブができなかったことで、いろいろと運命が変わったと思うので……。」と答えているのが、"本気の答え"だという感じがしてドキリとしました。そういう認識があるのだというのは大きな発見でした。

 自身のポジションへの思い(センターの砂塵が一度きりの披露になってしまっていること)、『不協和音』でセンターに立った時の話も興味深かったです。このあたりの思いが、東京ドーム公演のアンコールでの選曲に繋がっているのでしょう。(但し、のちに出版された『Wアンコール』にて、『不協和音』の選曲はスタッフの提案によるものだったことが明かされています。)
 さらに、足の靭帯が切れてしまって満身創痍の状態であることも衝撃的でした。また、スタッフさんが「菅井の活動の最後に東京ドーム、叶えたいよね」と言ってくれて奇跡的に会場を押さえられたという話には感動しました。
 そしてインタビューの〆に痺れました。最後に言い残したことがあるかと聞かれ、彼女はこう答えたのです。

欅坂の楽曲は、これからもグループに残るメンバー達には歌い継いでいってほしいですね。あの素敵な楽曲の数々が、特別感なく披露される時がくる日を楽しみにしています。

 欅坂の楽曲については各メンバーが様々な思いを抱えていることでしょう。菅井さんは『Wアンコール』でも、欅坂をなかったことにしたくないという思いと、披露時に観客が驚いてくれたことへの喜びを語っていました。一方で『月刊エンタメ 2023年2月号』を読むと、松田里奈さんは欅坂が求められているのかなという悔しさを語ってもいました。
 だから、「特別感なく披露される時がくる日を楽しみにしています」。それに尽きるのだと思います。

 菅井さんの卒業に関しては、他に『大切なもの』『Wアンコール』と書籍が出版されていて、どれもが必見の内容になっていると思います。しかしその中でも、先着の利があって発見が多かった点と、欅坂の活動についてかなり赤裸々に振り返っている印象があった点から、こちらの『B.L.T.』を10選に入れさせて頂きました。

9. BRODY 2023年2月号

 10選を決めると言うのは非常に難しいです。しかし、2022年の乃木坂46において一番存在感があったのは、私にとっては梅澤美波さんなのですよね。副キャプテンとしての1年目、彼女の名前を後輩メンバーのインタビューで目にする機会が非常に多かった。だから、梅澤さんが乃木坂の2022年を振り返る特集は10選に入れなければならないなと。BRODYさんは絶好のタイミングで素晴らしい特集を組んでくれたと思います。

 内容としては、2022年の乃木坂46の重要なトピックスを、少し聞きにくいけれどファンとしては気になっていたことをひとつひとつ受け答えしてくれていて、非常に貴重なものとなっています。
 5期生加入時のグループの動揺、バスラのOG登場の形、神宮での3期曲披露途中でのファンへの注意……。
 あの頃の動揺については全てを話すことはできないでしょうが、梅澤さんが副キャプテンとしてメッセージを発する必要性を感じたものの「自分の心の整理もできなくて」「結果的に先輩に任せてしまいました」と自身を振り返っているのはリアルな心境が聞けた気がして嬉しかったです。私は梅澤さんに乃木坂のファンとして絶大な信頼を寄せてますから、別にそれが良いとか悪いとかじゃなくて、その時の心境を少しでも聞いて見たかったんですよね。
 神宮でファンへ注意したことについては、「今後、こういうことを背負っていくんだろうなと感じました」と語っているのがまた考えさせられるというか。ファンとしては、なるべく背負わせないようにしたいものです。

 また、各期への洞察も非常に鋭いです。
 3期生については「いまが一番苦しい子もいるだろうし、集まった時に矛盾した気持ちでいる子がいるかもしれない。そこは難しいところだな、と考えてしまいます」と課題感を語っていて、私にとってはあまり思ってもいないことだったので新しい発見でした。
  4期生については「いまが頑張り時だな」と感じているとのこと。「間違った言葉を投げることはできないな、と思います」というのが素晴らしい先輩だなと。それだけ熟慮して言葉をかけてくれる先輩って素敵じゃないですか。
 5期生については「恵まれた環境にいることをどこまで理解しているのかな、とは思います」という言葉や、『プリンシパル』に挑戦してもらいたいという考えが非常に梅澤さんらしくて興味深かったです。さらに、菅原咲月さんが梅澤さんのような役割を担っていきそうなことについて、「いまはもっと自分中心でいいんじゃないか、と思ってしまいます。じゃないと、私みたいになっちゃうから(笑)」という言葉には哀愁を感じてしまいます。切ねえ……。

 他にも、自身の『シンクロニシティ』センターの話や、齋藤飛鳥さん卒業の話、自身の目標についてなど。非常に充実した内容になっているので、是非読んでみてください。

10. 日経エンタテインメント! 乃木坂46 Special 2023

 毎年発売される全メンバーインタビュー。インタビューファンにとって、こんなに幸せな一冊は他にないです。ひとりひとりの1年の活動を振り返る内容になっていますから、それらを知ることで乃木坂というグループ全体の解像度がグッと高まるんですよね。

 印象的だったポイントは以下のツイートのリプ欄にまとめているので、興味がある方は読んでいただければと思います。それにしても、遠藤さくらさんの変化は特に印象深かったです。
 あと一つ挙げるなら、山下美月さんの「私が乃木坂46に所属する現役アイドルとして朝ドラを完走すれば、後輩たちのチャンスにもなると思っています。私が両立できることを証明したいんです」というのが格好良いなと。そしてこれは『モデルプレス』のインタビューで明らかになりましたが、さらに「朝ドラをやりながら別の作品にも関わる、というのを朝ドラが決まったとき、一つの目標に掲げていた」と言うんですよ。とんでもねえ。

次点

10選には入れられなかったものの、その他にも好きだった雑誌・本を簡単にご紹介します。

B.L.T. 2022年5月号
最高の表紙。さらにインタビューページのデザインも格好良い。内容としては、藤吉夏鈴さんの「BACKS LIVE!!」に対する葛藤などが興味深かったです。彼女の、変に人に合わせず、自分の思いを大事にしていて、噓の無い言葉を語ろうとするところが私は好きです。

櫻坂46 渡邉理佐 卒業メモリアルブック 抱きしめたくなる瞬間
インタビューがとんでもなく充実していて、しかもグラビアも他のメンバーと撮るなど非常に充実して、それで通常の写真集と変わらない値段でコスパがあまりにも良すぎます。普段なかなか見る機会のない、グループ外の方へのインタビューや対談もあって嬉しかったです。

EX大衆 2022年7月号
10thバスラ後のインタビューとしては初めて世に出た雑誌で、久保史緒里さんと柴田柚菜さんの対談が良かったです。さらに、菅原咲月さんや髙橋未来虹さんのグラビア、金村美玖さんや東村芽依のインタビューなど、全体を通して非常にレベルが高かった一冊です。

新R25 5周年フリーペーパー
Webにも掲載があるので是非。
秋元真夏さんのキャプテン観を聞けたのが非常に面白かったです。普段とは異なる読者層に向けたインタビューだったからこそ、初めて聞けた話と言いますか。嫌われてもいいからグループのために言いたい、と思うようになるんだなあと。
新R25で言うと、久保史緒里さんのインタビューも、彼女の考えている乃木坂46観が知れて非常に面白かったのでおススメです。

乃木坂46新聞2022
コスパ最強。読み応えのあるインタビューばかりで充実していました。井上和さんと菅原咲月さんの対談では2人が支え合っている様子が印象的でした。齋藤飛鳥さんと賀喜遥香さんの対談は、齋藤さんの鋭い分析が印象的。3期生4人のお互いの分析も面白かったです。秋元真夏さんの話からは菅原さんが5期生のまとめ役だと伺い知れました。

B.L.T. 2022年11月号
本文でも触れた通り、小坂菜緒さんのロングインタビューが掲載されており、休養中のファンとのエピソードや精神面の変化を知ることができる充実の内容となっています。また、日向坂の強みとして、「いろいろなことを経験してきた人にしか分からない踏ん張り強さみたいなもの」と話しているのも興味深かったです。

BRODY 2022年12月号
これも本文でも触れた通り、河田陽菜さんのインタビューが普段は聞けないような話で興味深かったのと、巻頭グラビアが非常に可愛かったです。
富田鈴花さんについても、休養前後での気持ちの変化やポジションについてなど踏み込んだ話が聞けます。さらには高瀬愛奈さん・高本彩花さん・東村芽依さんの鼎談も。選抜制になるかも?ということについてメンバーがどう思っているか聞けるのも貴重でした。

櫻坂46 菅井友香 卒業写真集 大切なもの
渡邉理佐さんのに続いてこちらもインタビューがとんでもなく充実していました。TAKAHIROさんが菅井友香さんの努力ぶりを称えてたのが印象的でした。本人インタビューは、「周りを信じられなくなってしま」い「心から笑えなくなって」いた時期があったというのが痛切。櫻坂になって後輩がまっすぐ一生懸命についてきてくれたから「もう一度みんなを信じよう」と思えたという話に感動しました。

BUBKA 2023年1月号
櫻坂東京ドーム特集が最高。欲を言えば3人以外のインタビューもじっくり読みたかったけど、小林由依さん・大園玲さん・山﨑天さんというチョイスはこれ以上ない3人だと思うし、全員分のアンケート(結構なボリューム!)があったので大満足。TAKAHIROさんからの厳しい言葉や、欅坂の曲披露についての考えが興味深かったです。

櫻坂46・菅井友香卒業記念書籍『Wアンコール』
卒業後に出版されたため、東京ドーム公演の振り返りがあるのが貴重。『不協和音』を披露すると決めた経緯など。櫻坂の活動振り返りでは、2ndシングル期の微妙な空気について触れられていてそうだったのかと発見でした。東京ドーム後に平手友梨奈さんから長文のメッセージが届いたというのも、1文で触れているだけですが印象的でした。


昨年までの結果は以下から

グラビアのみの10選は以下から

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