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あの頃の友に会いたい  マカピーの日々 #1089

マカピーです。
友がいるというのは、本当にありがたいものです。

スズキが校門のイチョウの木の下にいたのは学園祭が終わって木枯らしが吹くころでした。

その頃マカピーは学校の最終学年で、先生になるチャンスだった「教職過程」も取らず、就職活動もせず、卒業単位はほぼ「卒論」を残すだけだったので神奈川県の厚木市から丹沢山地に入った清川村という神奈川県唯一のも村の養豚場での住み込みバイトをしていたのでした。

学校へは週に1度くらいの割合で、その山から世田谷の学校に通い所属していた研究室に顔を出し大学院に残った友達と会ってくる程度だったのです。

マカピーは1年間の米国の農業研修(派米研修)を終えて帰って来ると、同級生は卒業してしまってたので、学科は違っても一緒に米国に行った連中とばかり付き合っていました。

地元に帰って農業をする連中もいましたが、一応皆で集まると「おい、卒業したらどうすんだ?」と口にはするけど、誰も目くじら立てて面接に行くような奴がいなかったのはどうしてでしょうかね。


おや、ここにもキジがいたよ!

マカピーは同じ派米仲間だったスズキの所属していた農村社会学の研究室の先生にも気に入られ、そこで時間を過ごすことが多くなり、最終的には卒業論文の仕上げはそこでスズキと一緒に寝起きしたのでした。

マカピーは米実習から帰国すると、所属研究室の植物病理でのラボ作業には興味が無くなっていたのでした。

それでも帰国後挨拶に研究室に戻ると、さっそく所属研究室助手から「ボクが研究課題をやるから、それで卒論を書くように」と言われたのが気に食わなく「結構です!」と断ってしまったのでした。

それで実習先の米国で見聞きした「土壌流亡」に関するテーマで卒業論文を書くことにして、担当の先生も「拓殖」学科の先生を紹介してもらいました。

それで寒天培地に菌株を培養したり、電子顕微鏡を覗いたりするラボ研究から一転して「土壌流亡と不耕起栽培」がテーマとなったのでした。

最終的に、所属研究室を変更しないので卒業論文の発表会では「植物病理」とは関係ないプレゼンで、ますますアウエー感たっぷりだったのでした。

ところがその発表会にはマカピーに輪をかけて異質の発表をしたのがいました。何と彼の卒論は日本の「能」の歴史と発展に関する研究だったのです!

そもそも、卒業年次生だったのに彼の姿を見たのはその時が初めてでした!

どうなってんのじゃ?


ネギ坊主をマクロで見るとこんなんですよ!

そういえば、女性の同級生に「幼児心理学」をやっている人がいました。しかも農業の学校なのに、学内には遊戯室がありその様子を観察できる施設があったのには驚きました。

いったいどんな学校なの?

もっとも卒論を見てくれる先生も、かなりいい加減な方で論文の趣旨を伝えると「うん、いいんじゃないの」と言って仕上がるまで進捗状況も何も聞かれませんでした。

それでも、たまに先生の部屋へ行き挨拶すると「ちょっと海外の仕事の報告書が忙しくってね」と頭をかいていました。

この時先生が関わっていたのが国際協力事業団(現:国際協力機構 JICA)の仕事で、まさか将来自分もそれに関わることになるとは思いもよりませんでしたけど。


そろそろ田植えのシーズンです

マカピーの行っていた学校は、なんだか得体のしれない妙な学校だったようです。


さて、久々の学校の用事を終えてバスに乗って小田急線の千歳船橋駅まで行こうと校門を出たところにスズキがいたのでした。

スズキ:「おお、マカピー。学校で会うとはめずらしいなあ」
マカピー:「ああ、ブタの面倒を見ながら卒論準備はしているからね」

着古した臙脂(エンジ)色のセーターに、手に持っているハトロン紙の包みが何やらあやしい。

マカピー:「何だい、その手に持ってるヤツは?」
スズキ:「あ、これか。一番安いウイスキー」
マカピー:「じゃあ、これから?」
スズキ:「そうなんだよ。土産さ。最近あちこちの学科の先生から呼ばれるんだよ。オレだって学生なんだぜ。卒業したいんだけどなあ」


朝日に畑のスギナが光ってました

スズキは入学前に色々やって来た経験を持つ苦労人だったので、新潟北部出身の彼の話はとても面白く、学生だけでなく学校の先生方をも魅了していたのでした。

彼の所属する農村社会学の先生を通じて、別の学科の「酒の席にお呼びがかかる」というこれまた非常識な飲み会があったのでした。

ちなみにこの学校の雑多な研究室の場所を一番知っているのは守衛と「酒屋」だと言われていました。

当時は飲酒に関しても大らかで、夕方ともなると常に学内のどこかで「コンパ」があり煌々と明りのつく部屋からは奇声が上がっていました。

もちろん研究室だけでなくクラブの部室でも学科の「収穫祭本部」でも気炎が上がるので、もはや学校全体が「アル中状態」だったのかも知れません(笑)

(マカピーはあまり飲めないので、飲むと苦しい思い出が多いですけど)

その供給元である酒屋の軽トラは、電話一本で研究室に酒を届けるわけですから当然学内の「酒飲み場所」をくまなく熟知しているのでした。

もっとも、それを運転する配達人も同じ学校のバイト生だったけどね。

マカピーの所属していた研究室では、酒を買う金がないので研究室にある「エチルアルコール」を薄めて飲んでいる猛者もいたと聞きます。

ヤレヤレ


デブネコのお出ましだ!

さて、スズキがマカピーに近づいてきてこういうのでした。

スズキ:「オレさ、びっくりしちゃったよ!」
マカピー:「何だよ、嬉しそうに?」
スズキ:「この間ストリップ劇場に行って来たんだよ」
マカピー:「相変わらず好きだねえ。それで?」
スズキ:「ほら、舞台に上がるヤツがあるじゃんか?それで希望者でジャンケンしたんだ」
マカピー:「ほー、で勝ち残ったんだ!」
スズキ:「それが惜しい事に、決勝で負けちゃったんだよ!」
マカピー:「ハイハイご苦労さん。で何なんだよ嬉しそうにしてるのは?」
スズキ:「その舞台に上がったやつが、さっきオレの前を通ってったんだ。あいつも同じ学校だったんだよ!すごいと思わないか?」
マカピー:「アホくさ。オレは帰るぜ!」

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。次回に続きます。




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