磐越戻って、米に次ぐ米に酔え。 【きっぷ1枚で日本横断:#13】
日本横断13日目、大宮駅から。
おはようございます。現在時刻は午前6時過ぎ、自宅をほぼ始発の時間帯で出て、大宮駅まで戻って参りました。
この旅は長崎県の佐世保駅に向かう日本横断の旅ですが、これから数日間は既に通ってきた新潟と東北を、異なる経路でもう1度堪能していきます。経路取りのメチャクチャさも見どころですが、新たな新潟や東北の魅力に出会えることを楽しみに、本日も日本横断の行程を進めていきましょう。
ちなみに今日からは、高校同期に同行してもらっての2人旅です。昔話に花を咲かせつつ、進んでいきます。
新潟の米が忘れられなくて
朝から1杯いきたいよね
日本横断の行程で、本日最初に乗り込むのは、上越新幹線のとき号。こちらに乗って、まずは高崎駅へ向かいます。高校同期には東北へ行く、と伝えてあるので、乗る新幹線を間違えてるんじゃないかくらいに思われていた可能性がありますが、これで合っています。さっそく乗り込んでいきましょう。
やはり新幹線は速いですね。25分ほどで、あっという間に高崎駅へ到着です。ここからは、地道に在来線を利用していきます。
高崎駅から乗り込むのは、上越線の普通列車。これに乗って、群馬県の北の方にある水上駅を目指します。
道中、同行人と2人してあまりにも眠過ぎたので、全然記憶がありませんが、目が覚めた頃にはだいぶ景色の開けた区間に突入していました。
列車は1時間ほどかけて、終着の水上駅に到着です。温泉地として名高い街ですが、夏も谷川岳への登山客が多く訪れる街です。
せっかくの天気なので、谷川岳でハイキングをしても良かったのですが、以前やったことがあるのと、この後の旅程的にちょっと急ぎたいので、本日は泣く泣くカットです。引き続き上越線の普通列車に乗り込んで、越後湯沢駅を目指します。
水上駅からの上越線の県境超えの区間は、1日に5〜6本ほどしか電車が来ない超閑散区間ですが、県境を貫く新清水トンネルの中に2つの駅があり、こちらは一見の価値があります。特に、2つ目の駅である土合駅は、いつの日からか人気に火がつき、今や駅自体が一大観光地のような様相を呈しています。ちなみに土合駅自体にはもう既に3回も降りたことがあるので、今回は車内から眺めるだけにしておきます。
新清水トンネルを抜けると、新潟県に突入です。厳密にはちょっと違いますが、この県境のトンネルは、川端康成の『雪国』の書き出しで有名なところです。
まあ今は8月なのでトンネルを抜けた先が雪国なはずはないのですが、その代わりに、新潟県最初の駅の土樽駅あるある、「真っ白な結露で何にも見えない現象」を観測することができます。何でこんなことになるかと言えば、土合駅含む新清水トンネル内の気温が、1年を通じて18℃くらいしかないから。土合駅、ドアが開くと結構寒かったですね。
そんな訳で、30分ほどの乗車でしたが、エンタメ要素満載で、あっという間に越後湯沢駅へ到着です。
さて、越後湯沢駅といえば、新潟の米を最大限に味わうことのできるぽんしゅ館が有名です。
さっそく、オープンとほぼ同時に唎酒番所で日本酒の飲み比べをしに行きましょう。朝9時半からお酒が飲める幸せを噛み締めながら、新潟の美味しい地酒を味わいます。
僕は口当たりの甘い日本酒が好きなので、上善如水を中心に穏やか目のオーダーでいただきました。あとは、まだほとんど飲んだことのなかった焼酎にも挑戦してみました。
やっぱり新潟でいただく日本酒はどれも美味しいですね。お酒も入って、ご機嫌で唎酒番所を後にします。
お米そのものもいきたいよね
しかし、ぽんしゅ館はこれだけで終わりではありません。お米は日本酒として飲むだけでなく、やはりお米のまましっかりと食べておきたいものです。ぽんしゅ館名物の、爆弾おにぎりを調達しにいきましょう。
しばらくして、渡された爆弾おにぎりとやらがこちら。ちなみに僕も同行人も、具無しの海苔おにぎりを注文しています。
写真だと大変わかりにくいですが、こちらのおにぎり、お米を1合分使っているので、普通にめちゃくちゃ大きいです。齧り付くのも一苦労な爆弾おにぎりをテイクアウトできたところで、駅に戻って日本横断の行程を再開します。
過去の自分をギリギリ掠める
越後湯沢駅からは、引き続き上越線に乗車して、長岡方面を目指します。
とここで、これまでの記事を読んでくださっている方で鋭い方であれば、「前もこいつ長岡の方行ってなかったか…?」とお気づきになるかもしれません。それはご名答で、僕は何日か前に、同じ片道乗車券で長岡の方をすでに通っています。
《参考》以前、新潟を同じ片道乗車券で訪れた時の記録はこちらから。
片道乗車券は、ルールとして当然ながら同じ駅を2度通ることが許されません。それなのに長岡の方に向かってしまって大丈夫なのか、という疑問については、以下の画像をもってお答えすることにしましょう。路線図はいつも通り、JR東日本の公式HPから引用しました。
画像の黄色い線で示したのが以前信越旅を行った際(#8)の経路、赤い線で示したのが本日(#13)の経路です。画像にもある通り、終着の長岡駅まで行かずに途中の小出駅というところで只見線に乗り換えることで、片道乗車券のルールである「同じ駅を2度通らない」を守っているのです。長野や野辺山、甲府や富士、御殿場、横浜などを経て、ぐる〜っと何日か前訪れた場所を再び掠めにやってきた感じですね。この旅の壮大さに呆れるしかありませんが、そんな訳で小出駅を目指して普通列車へ乗り込んでいきましょう。
大人気ローカル線の功罪
オーバーツーリズムを痛感する
列車は40分ほどで、小出駅に到着です。小出駅からは、土休日限定で走っている只見線の臨時列車に乗り込みます。
これから乗り込む只見線は、秘境路線として名高く、美しい車窓を持ちながら比較的容易にアクセスできることも相俟って、今では大人気のローカル線です。そのため、小出駅では列車の座席争奪戦が繰り広げられ、「小出ダッシュ」と命名したくなるほどの殺伐とした乗り換えが展開されていました。これから乗り込む列車には1時間15分ほど乗車することになりますので、僕たちも流石に座りたいですから、流れに身を任せて大急ぎで跨線橋を渡ります。
乗り込んでみたら、車内やはり混んでいまして、ローカル線にも関わらず2両編成つないで立ち客が続出していました。全然ローカル線じゃないみたい。オーバーツーリズムという言葉がありますが、なんだかその一翼を担ってしまっているみたいで、ちょっと居た堪れない気持ちになりました。とはいえ、これに乗らないことには致し方ありませんから、こちらに乗って終着の只見(ただみ)駅を目指します。
とここで、オーバーツーリズムの弊害を実感するような出来事が起こります。こちらの列車、ローカル線を走るタイプの気動車で、そもそもこんなにたくさんの乗客を乗せて走ることを想定していませんから、直射日光が車内に降り注いでいたことも相俟って、徐々に車内の冷房が人と日光の熱気に負けてきたのです。途中の大白川駅を発車する頃には、車内の気温計がとんでもない気温を記録するほどに。
窓を開けて乗車していた冷房非搭載の北海道の列車の方がまだ涼しかったような気がします。この車両は確か窓を開けられないタイプの車両なので、むしろしんどかったですね。直射日光がモロに降り注ぐ中、車窓の綺麗さからほとんどの乗客が窓のカーテンを閉めなかったことも影響しているのかもしれません。
思いがけず過酷な道中になってしまいましたが、列車は定刻通り終着の只見駅に到着です。こちらで一旦途中下車をして、この先へ行く列車を待つことにします。
最早積極的にお米縛り
只見駅では50分ほど乗り継ぎ時間がありましたので、駅前にある観光案内所的なところでしばらく時間を過ごすことにします。こちらの観光案内所には食堂が併設されていましたので、越後湯沢駅で爆弾おにぎりをいただいたことを忘れたのかというレベルのペースですが、再びおにぎりをいただくことにしました。こんなん、なんぼあってもいいですからね〜(ミルクボーイ風)。
越後湯沢駅で購入した爆弾おにぎりはあえて具なしのものを購入しており、新潟のお米のおいしさをたっぷりと味わうことができました。冗談抜きで、爆弾おにぎりは具が余計と思うレベルにお米が美味しいです。皆さんも、もしご賞味になる機会があれば、1度は具なしのものを選ばれることを強くおすすめします。1合のお米があっさり胃の中に消えます。
そして、只見駅で購入したこちらの辛味噌おにぎり、お米はもちろん美味しいのですが、何よりも印象的だったのは具の辛味噌。
圧倒的な味噌の美味しさはそのままに、辛味噌という名前に相応しすぎるほどの辛味が口内をひたすらに刺激し続けていました。安いレトルトカレーで食べるような人工的な辛味とは一線を画す、自然食材で生み出された辛味は、じっくりとピリピリとした辛味が尾を引く感じがしました。しかしながら、辛味の奥には味噌の圧倒的に深い旨味があって、1口食べるごとに水を文字通り2杯いってしまうレベルに辛かったですが、クセになる美味しさでした。
あと、一緒に購入したエゴマソフトクリームは、「よく混ぜて食べてくださいね」という店員さんからいただいた指示を全くもって履行できないレベルにねっとり濃厚なソフトクリームへ、むせそうになる程大量にかかったエゴマの風味が合わさっており、こちらも絶品でした。磐越の地の恵みをたっぷりといただいたところで、観光案内所を後にして、駅に戻ります。
今度こそ只見線をゆったり満喫
さて、只見駅から乗車するのは、臨時で運行している快速「只見線満喫号」です。こちらは指定席を事前に取っていますので、殺伐とした座席争奪戦なくゆったりと列車に乗ることができそうです。
そういえば、只見駅に到着した時点で、実は新潟県を抜けて福島県に突入しています。散々過去に東北旅をしてきたのに、同じきっぷで再び東北へ訪れている事実に困惑するばかりですが、ここからは只見線に乗車して会津の魅力をしっかりと味わっていきましょう。
只見線は只見川に沿って走るのですが、やはり人気に火がつくだけの絶景でした。2時間半も乗車していましたが、全く飽きることなくひたすらに車窓に心奪われ続けていました。指定席で落ち着いて心洗われる車窓を楽しむことができ、本当に良かったです。その代わりと言っては何ですが、会津の市街地に入るや否や、お酒が入っていることもあって途轍もなく眠くなってしまいましたね。
そんなわけで、いつの間にか終着の会津若松駅に到着です。
無為な時間も旅情
指定席でゆったりいこう
会津若松駅では1時間半ほど接続時間があったのですが、すぐに思いついた鶴ヶ城は駅から思いのほか遠いらしく、お手洗いに行っている間にバスが行ってしまったこともあって観光は時間的に厳しそうだったので、結局会津若松駅でそのまま次の列車を待つことにしました。レンタカーやレンタサイクルの選択肢も一瞬頭をよぎりましたが、冷静に考えて朝がっつり日本酒を嗜んできているのでアウトです。時折お土産を見にいきつつ、待合室でひたすら次の列車までの時間を過ごします。
積極的に待ち時間を作る必要はないと思いますが、旅先の駅の待合室で次の列車をぼんやりと待つ時間、僕は割と嫌いじゃないです。小さい頃は嫌でしょうがなかったですが、大学生になって貧乏旅経験を重ねるにつれ、こうやって知らない駅の待合室で過ごす時間も、旅情を構成する大事な要素だと思えるようになってきましたね。まあ飽きるには飽きるのですが、ここまでで撮った写真を見返しながら、脳内の記憶を思い返していく時間の重要性を再認識できました。
しばらく待合室で時間を過ごしたところで、列車が入線してくる頃合いを見て、ホームに戻ります。これから乗り込むのは、磐越西線の快速あいづ号。東北でよく見る普通の通勤電車ですが、快速あいづ号で使用される車両は、1号車の半分を改造して作った指定席がついており、本日はこちらを予約したので指定席に乗車していきます。
磐越西線の車窓からは、雄大な磐梯山を望むことができます。今日は晴れていたので、無事じっくりと磐梯山を拝むことができました。
もはや定番のスタバムーブ
さて、こちらの列車におとなしく乗っていれば普通に終着の郡山駅まで行けるのですが、今日はあえて1つ手前の郡山富田駅で途中下車をします。
さて、なぜこんなところで急に途中下車したかというと、駅から20分ほど歩いたところにあるスタバへ行くためです。このシリーズでは完全にお馴染みのムーブですが、この旅は全国のスタバ巡りを兼ねているので、こういうスタバを見逃すわけにはいかないのです。若干距離はありますが、ここまででたくさん食べてたくさん寝ていますので、元気は有り余っています。早速向かっていきましょう。
たっぷり20分歩いて、お目当てのスタバに到着です。
フラペチーノを飲んだら、駅に戻ります。結構遠かったので郡山駅までバスで行ってしまおうか、とも話をしたのですが、あまり良いバスがなくてやめました。おとなしく郡山富田駅まで再び夜道を歩きます。
列車は走ること4分ほどで、終着の郡山駅に到着です。すっかり夜も更けてしまいましたので、今日はこのまま寝泊まりするネットカフェに向かいます。
列車は40分ほどで、終着の1個手前、南福島駅に到着です。というわけで、本日の日本横断の行程はここまで。
いや〜今日も長かった。今日の摂取カロリー、ほとんど米ばっかりでとんでもないことになっていそうな気がしますが、スタバとネットカフェに向かう道中で結構歩いているので大丈夫と思い込むことにしましょう。明日も実は食べてばっかりになりそうで、体重の推移以外はとても楽しみです。
それでは、おやすみなさい。
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