マブ(st)

実在しないお話ですよ?

マブ(st)

実在しないお話ですよ?

最近の記事

詩『この先行き止まり』

気怠い朝を迎えて俺は起きた 昼を過ぎても彼女は眠ったままだった 一日が終わる前に何かを取り戻そうとした俺は彼女を揺り起こした 目を開いた彼女は安眠を妨害された怒りと寝過ごしてしまった羞恥を抱えきれないように精神安定剤が抜けていない身体をフラフラとさせながらキッチンへ行き昨夜のワイングラスを洗い始めたがすぐに手を滑らせて割ってしまった 彼女がお得意の舌打ちをしたかは憶えていない 俺は空虚な気持ちで彼女の後ろ姿を眺めていた ※ヘッダー画像は本文と関係ありません

    • 『花束みたいな恋をした』雑感

      最初に謝辞を ニンパイさんとタローさんのPodcastがなければ僕はまだしばらくこの作品を放置していたでしょう。二人のPodcastを聴きたかったのでこの作品を優先的に観ました。 そしてさらにこのエントリーを書くこともなかったでしょう。お二人のおかげですありがとうございました。 前情報ほぼ0%。有村架純主演の恋愛映画でありおそらくは恋して別れる話と予想。そして評判が良いらしいというところからつまならくはないだろうと思って観始めました。 冒頭から、「寒い寒い、あざといあざ

      • 2022.07.15 元朝参りの思い出

        すごく若い頃の話なんだけど、仕事先で知り合った女の子と仲良くなって毎週のように遊んでて、その年の年越しに元朝参り(年が明けた夜のうちに初詣すること。方言らしい?)に誘った。 当日、彼女は立派な晴着姿で髪もばっちりセットして来た。可愛らしかった。 それで増上寺まで行ってさあお参りしようと門をくぐったんだけど、そこで彼女は止まって「ここで待ってるね」って言ったんだよね。 俺は意味が分からなくて何度か誘ったんだけど彼女は困ったような笑顔をして、それでも頑なに「待ってるから」と言っ

        • アムスの記録

          これは1995~6年でインターネットが今ほど普及する前の話。 俺はまだまだ若かった。 アムスは最終目的地で、その頃の俺たちはまったくの無計画で宿の事前予約をして旅行するという発想がなかった。 (列車の切符はどういうふうに買うと安くなるとかはマシェリがちゃんと調べていた) パリ北駅から列車に乗り、ベルギーのブリュッセルやアントワープを回ってオランダに入りアムステルダムにたどり着いた頃には、という話は割愛する。 中心地的な所、確か旧教会前に広場があって、駅からそこまで歩いた

        詩『この先行き止まり』

          在りし日の下北沢

          ちょっと解説しておこう。今から書かれるのは18年前に書かれた15年前の記録なので30年以上前の話です。下北沢が再開発されるずっと昔の話。 2004年12月10日記述 今から15年近く前。 先輩のバンドマン連中が下北の駅前で路上ライヴをやるというのでビデオカメラ片手に美鈴という女の子を誘って見に行った。美大に通っていた美鈴は何やら大層な一眼レフをぶら下げてやってきた。 路上ライヴというカルチャーはいつの時代も無くならないが、当然違法行為なので、そのときもすぐ警察がやって

          在りし日の下北沢

          20220526 年代的価値観なのかも?

          まだ現場が開いていない間は時間が自由なので出来る限りニンパイさんを追い掛けてみようかと思いました。インスピレーション! 今回ニンパイさんは「昭和的価値観」というエントリーでお子さんへに対してシンプルに「頭ごなしじゃない」振る舞いをしていると書かれている。 これを自分に当てはめて「頑固にならない」と書き換えてみた。 若い頃から今もだが、年上の人の頑固さに辟易することが多くて、自分は大人になっても絶対に頑固にはならないと頑固に誓って今もそれを意識している。 マブ流「頑固に

          20220526 年代的価値観なのかも?

          アルバイトいくつか

          ニンパイさんに乗っかる形で自分もアルバイト経歴を少し披露してみます。 https://note.com/shinobuk/n/nce407d7c31db 盛岡市在住の16歳のとき喫茶店でアルバイトしたのが初めて。 もう38年前のことですが、その店はまだ存在する。のをこのエントリーを書くにあたって調べてみて初めて知りました。グルメサイトには写真も多く載っていて什器の更新はあっただろうがほとんど何も変わっておらず変な声が出そうになった。いや懐かしくて。 この店で憶えていて話せ

          アルバイトいくつか

          怖い話「夜、訪ねてくる音と」

          こちらも2004年頃に自分のwebサイトに掲載したものです。 「音」に関係する怖い話なので静かな夜に読んでください。 「夜、訪ねてくる音と」 都会の真ん中に住んでいても、夜が深くなると自分の立てる音しか聞こえないような静かな夜がある。静かな夜というより、生きているものの躍動が感じられない、人の息づかいのしない夜だ。 そういうとき(そういうふうに感じたとき)僕はベランダに出て外を眺める。住宅地なので深夜になるとまったく人の動く姿が見えない。眼前にいくつもいくつも部屋の灯

          怖い話「夜、訪ねてくる音と」

          8月19日 バクティとともに

          バクティとともに 8月19日は僕のモナミ、フレンチブルドッグのバクティの命日です。 もう10年近く前に亡くなりました。でも、今でもそのぬくもり、手触りはこの身体が憶えてます。なので、いつでも呼び出せる。呼び出して足元に居てもらったりします。そうすると本当に手で触れることが出来ます。 人間に媚びるから犬は好きではないという人もいます。それはそれで真理。でも犬飼いなら知っている。腹を出しているのは人間の方だと。 僕はバクティと友達になりたかっただけし、今でもマブダチだと思っ

          8月19日 バクティとともに