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生きづらさのどん底にいる時に救われた意外な1冊

生きづらさの始まり

生きづらいと表現し始めた時、ずるずると明るみになっていく今まで自分が抱えていた生きづらさに気づいてしまって絶望した。

この本を読んだ当時は、23歳頃だったと記憶している。フリーターをしながら、お金を貯めては一人で海外旅行へ行っていた。バイト先の飲み屋では、”オジサン”からセクハラ発言をされることは日常茶飯事で、お酒を提供しながら、この社会で生きるということはこうしてアルコールに浸り、現実逃避をし、無神経に人を傷つけ、そうして、「酔ってたから」という言葉を免罪符に次の日を迎えることなのだろうかとぼんやりと感じていた。

生きづらかった。
生きづらいのに、どう生きたらいいのかわからなくて。

“オジサン”が何か自分のことについて褒める度に、バイトの女の子が、こういう人は笑顔でお礼言っておいたら大丈夫だと言わんばかりの貼り付けた笑顔を見せる度に、何故自分はこんなところにいるのだろうという思いが消えなかったのだ。たまに読む本も最後まで読めず、このままずっと何も見えない、打破できない暗闇を歩くのかと思っていた。

そんな時期に出会ったこの本を、書店で、どんなふうに手に取ったのかもう忘れてしまった。もしかすると、こいつもまた綺麗事言ってんじゃねえのなんて、懐疑的な姿勢から購入していたのかもしれない。

「お金」が欲しい

生きづらさを考えながらも、やはり心の奥底には、お金があれば解決できるのにといった浅はかな考えも眠っていた。やりたいことを始める、何かに挑戦をする、今の自分ではない自分に出会うことというのは、お金があってやっと始められることで、今の自分には結局無縁なことのように思っていた。

そんな考えというのは、今思えばその思考の幅が自分が生きていた世界の狭さを表しているかのように、ちっぽけなものだなあと思うのだけれど。

そんな時に、出会ったのだ。
「生きづらさ」についてなど一言も書いていないけれど、
「あゝ自分の生きる価値がやっとわかった」と思えたこの本に。

投資家が「お金」よりも大切にしていること | 藤野英人

この本について感想を述べている人は皆、お金について学べる良い本だと言うのだけれど、お金よりもまず、自分の存在価値を改めて知れる本なのだと私は声を大にして言いたい。

もちろん、本書で触れている内容というのは最初から最後までお金についてであるし、著者自身も「人生で一番大切なカネの話をしよう」と表現しているほどに、これは紛れもなくお金についての本である。

お金が、お金こそが全てだと、お金を稼いでからではないとこの生きづらさからは解放されないと信じていた自分を救った言葉は、お金についての学びの中に転がっていた。

生きてるだけで偉いは事実

当時を生きる自分は今よりも変な方向に尖っていたので、兎にも角にも苛立っていたのだとろうと思う。自己啓発本の言葉に、成功者の苦労話に、変わらないこの社会に。

そして、たったの一度たりとも自分のことを、生きているだけで偉いだなんて思えたことはなかった。それは、自分の中では当たり前であり、何一つ成し遂げられていない人間の一体どこをどう切り取れば偉いと言えるのだろうといった感じだった。

しかしながら、この本を読み、この世に生まれ落ちてしまっただけの自分も、この社会の経済主体なのだと思えるようになったのだ。何度も、自分がこの世に生まれた瞬間に喜んでいた人間などいるのだろうかと思いにふけてきたけれど、「一言も話せない赤ちゃんですら経済を回している」本書の中で出会ったそんな言葉に、なんだ、自分も知らない間に社会貢献とかできちゃっているのかと、肩の荷が降りたような気がした。

自分の正義に蝕まれるな

自分の生きづらさに直面した後、人は大抵いつかはこの経験を誰か悩んでいる人の為に役立てたいと思うだろう。それは、傷つけられることを避けられなかった私たちの使命であるような気もする。

そして、そんな考えに至った時、やはりお金の問題に直面するだろう。人の為だと言いながらお金を貰うのは如何なものかとか、困っている人の為なら無料でしてあげるのが普通だろうとか、なんとなく他者貢献にはお金が発生しないことの方が正しいかのような価値観が特にこの日本では多いように思える。

そして、自分自身も、お金を貰うなんてできない、私ははただ人助けができればいいなんて、そんな間違った渦に巻き込まれてしまっていないか、今一度この本を手に取り、学ぶ上で考えて欲しい。

社会貢献の幅は、お金を儲けることで広がっていくのだ。

これは、何もボランティアや、NPO団体への批判ではなく、無償でできることだけで人に貢献しようとしなくていいということである。私自身、ボランティア活動に参加する度に、違和感を拭いきれなかった。それは、自分が幸せではいられていないから、自分がお金を稼げていないから、それは、きっと、”できること”の狭さを知ってしまったからなのかもしれない。

最後に

この記事を書くにあたって、もう一度読み直してみた。この薄い文庫本を手に取った時の自分を思い浮かべるとなんだか涙が溢れてきそうになる。しんどかったね、辛かったね、本を読み切れない自分に苛立ち、荒んだ社会で大人の”先輩”が自論を並べる姿にため息し、変わりたいと立ち上がる度に自分の無力さを思い知りこの世からいなくなりたくなったよね。今でも鮮明に自分の姿が思い浮かぶ。

この小さな本の薄さと軽さに実は期待をしていたのかもしれない。もうビジネス書を読む気力も残っていなくて、韓国エッセイのような甘い言葉にも包まれたくないんだと、最後の力を振り絞り、なんとなく手に取ったこの本に私は救われたのだ。

こうして今、たくさんの想いを振り返りながら、皆さんに紹介できていることをただただ嬉しく思います。生きづらさに関係のないお金についての本ですが、誰かの人生を変えるようなきっかけになったり、ちょっとした気休めになったり、一人一人の元で何か感じられるものがあればいいなと思います。


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p.s 最後にの部分泣きながら書きました。それもまた思い出になるよね。



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