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子どもの発達

子どもの誕生から15歳頃までの発達上の出来事と、Piagetによって示された発達理論の基礎です。ついでに乳幼児の発達を測定する実験・観察の技法についても少し触れます。

1. 主な出来事

子どもが生まれてから15歳頃までに何が起こるのか、心理学的要素を抜き出して列挙しておきます。たぶん読みづらいです。ごめんなさい。

誕生:新生児に原始反射がある
2カ月:養育者と目を合わせると微笑む社会的微笑が始まる
3カ月:養育者と原初的対話を始める
4カ月:物を基本的に認知する
6カ月:養育者の顔が他の人と違うのを理解する、物を掴む
8カ月:ハイハイを始める、人見知りが始まる
1歳:愛着が成立する、歩く、初語が出る
1歳半:数十語の単語を発する
2歳:簡単な見立て遊びをする、2,3語文を話す
3歳:同年齢の子どもと遊ぶようになる、男女の違いがわかる
4歳:心の理論の成立
5歳:簡単な保存課題ができる、20くらいまで数えられる、文字に興味を持ち読み始める、遊びが男女別に分かれる
7歳:具体的なものを使えば論理的な思考ができる
9歳:集団を形成して遊びグループ内の規範を重視するようになる
11歳:抽象的な思考が始まる
12歳:性的成熟が始まる(女子の方が早い)、親から心理的に距離を取るようになる、親しい友人との関係・影響力が強くなる
15歳:自分の過去・現在・将来を統合的に理解するようになる、仲間集団の規範が中心になる


2. シェマ

シェマとは、その人個人の認知・思考の枠組みを指します。
乳児は、物を手に取って舐めたり振ったりしながら原初的なシェマを形成するのですが、様々な体験をする中でシェマは変容していきます。この変容の過程を均衡化と呼びます。
均衡化は同化調節の2つの働きによって起こります。
同化とは、新規事象を既存のシェマに当てはめて理解することです。例えば、ある子どもが「鳥は羽があって空を飛ぶ動物だ」というシェマを持っているとします。そこへ初めて目にする鳥が飛んでくると、子どもはその飛んできた鳥を見て「これは羽があって空を飛ぶ動物だから、鳥だろう」と判断するわけです。
一方調節とは、自分のシェマを改変して、新規事象を矛盾無く理解できるようにすることです。例えば「鳥は羽があって空を飛ぶ動物だ」というシェマを持った子どもが初めてペンギンを目にした時、ペンギンは空を飛ばないので既存のシェマでは鳥であると認識できないのですが、「鳥は一般に羽があって空を飛ぶ動物であるけれど、飛べない鳥もいる」というように元々持っていたシェマを改変して、ペンギンも鳥であると認識できるようになるのです。
人の認知発達は、既存のシェマが調節され、新しいシェマへと変化していく過程だということがいえます。


3. 認知発達理論

Piagetは、人間の認知発達には4段階のフェーズがあるという理論を提唱しました。
1段階目は感覚運動段階です。子どもが0~2歳頃にみられる認知で、身体感覚を通して外界を捉え、物に直接的に働きかけるなどの具体的な行動を通して外界を認識します。9~12カ月頃に物体の永続性に気付きます。物体の永続性とは、例えば目の前にあるおもちゃに布をかぶせて隠しても、おもちゃは無くなったわけではなくそこに存在しているのだと判断できることです。
2段階目は前操作的段階です。2~6歳頃です。この時期は実際に物を使わなくても思考が頭の中でできるようになり、やがてカテゴリーを伴う概念的思考が可能になります。ごっこ遊び(おままごとなど)をするようになります。しかし、自分と他人との知覚が同じだと考える自己中心化がみられます。自己中心化についての実験で有名なのは『3つの山問題』ですかね。
3段階目は具体的操作段階です。6~12歳頃に当たります。今ここで起こっている具体的な物事に依存すれば、概念を用いた論理的な思考が可能になります。そして保存の概念が獲得されます。これは、内在的な論理関係に着目して、ある属性が変化しないことを認識できる状態です。例えば同じ量のジュースを幅が狭くて長いグラスと幅が横長のマグカップに入れた時、見た目でかさが高いのはグラスの方ですが、実際には同量であることを理解します。
4段階目は形式的操作段階です。12歳以降がこの段階です。今ここで起こっている具体的な事象が無くても、概念のみでの思考ができるようになります。


4. 発達の測定

乳幼児の発達を測定するにはいくつかの方法があります。

まず、知能の測定にはウェクスラー式知能検査とK式発達検査があります。積み木で提示された形を作れるかなどのいくつかの課題をさせて、その子の発達段階を測定します。

まだ言葉を持たない乳児の測定で有名なのは馴化-脱馴化法と選好注視法でしょう。2つとも実験法のひとつです。
馴化-脱馴化法では、乳児に2つの刺激を見たり聞いたりさせて、どちらをよく注視するかによって乳児の弁別力や好みをを調べます。例えば、乳児に同じ図形をずっと呈示しておくと、初めのうちはじっとそれを見ていますが、そのうち飽きて別の方向を向くようになります(馴化)。馴化した後に新しい図形を呈示すると、またその図形を注視するようになります(脱馴化)。これによって、乳児がその図形を区別できているかどうかを調べることができます。
選好注視法は、乳児に2つのものを同時に見せ、どちらをより注視するか時間を測定して、その子の好みや弁別力を調べます。例えば、人間の顔のかたちを簡略化した図形とそうではない図形を見せると、乳児は人間の顔の図形をじっと見つめて、そうではない図形の方はあまり見ません。ということは乳児は人間の顔に興味を持っているんだなということがわかります。


発達心理学の中で有名なPiagetの基礎については動画を見つけました。
参考↓


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